アトピー性皮膚炎(AD)の小児の多<は,即時型食物アレルギーを合併し,それが皮膚炎の悪化因子となるか否かに拘わらず適切な対応が必要とされる.今回,ADにおける食物アレルギーの合併状況を明らかにする目的で,当科外来を1年間に受診し,6ヵ月以上の経過観察を経て診断を確定したAD全症例(182名,平均年齢4.9±5.1歳)を対象として,経口負荷試験や摂取時の即時型誘発症状によって診断された食物アレルギーを解析した.食物アレルギーの合併率は,0歳児85.7%, 1歳75.6%, 2歳65.4%,以後年齢とともに漸減して7歳以上では13.9%であった.原因食品は,鶏卵,牛乳,小麦,魚類等であり,誘発症状は皮膚・消化器・呼吸器症状,及びアナフィラキシーなどであった.以上の結果より,乳幼児のADには高率に即時型食物アレルギーが合併し,アナフィラキシーショックを含む即時型食物アレルギー反応の危険を回避するための食物除去療法が重要であると考える.
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