【目的】スギ花粉症患者は季節前20〜60%の高率に発症すると報告されているが, 発症の判定は自覚症状に頼り, 他覚的証明に欠けている.そこで, 我々の開発した鼻内洗浄法で, 真偽を確かめた.【方法】1997年から2005年1月, 当科外来患者を発症後短時日に洗浄し, 洗浄液中の花粉数を測定し, 季節前, 中, 後の花粉数と比較した.【結果】季節前花粉数は1箇以下が67.8%, 季節中が12.5%で, 両者に有意差があった.季節前発症に十分な花粉数をもつものは少なかった.スギ花粉以外の花粉も検出された.季節前花粉数は翌年の季節中飛散花粉総数と相関した.【考察, 結論】季節前発症には空中花粉数の測定法, 他の花粉の吸入, 個人の花粉感受性, 他の鼻疾患などの要因が関与している.しかし今回の研究結果からみて, 従来の季節前発症率の報告は高きにすぎ, 診断の正確性が問題である.
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