【背景】気管支喘息は気道の慢性炎症が原因であるため,評価法として気道内のメディエーター測定は有用である可能性がある.測定法として呼気凝縮液の有用性が期待されているが,本邦での報告は少ない.【目的】EBC回収の安全性を検証し, EBC中のcysteinyl leukotriene(cysLTs)と気管支喘息の指標との比較を行う.【対象,方法】相模原病院アレルギー科治療中の安定した気管支喘息患者53名を対象とし,非気管支喘息患者11名を対照とした.呼気一酸化窒素濃度(eNO),呼吸機能後EBCを回収しcysLTsを分析した.同意の得られた症例に関してEBC回収後呼吸機能,気道過敏性(PC_<20>, acetylcholine),尿中LTE_4を測定し比較した.【結果】64例全例で症状の誘発は皆無で,うち48例においてEBC回収前後の比較では1秒量の変化は2.27±0.77%, %MMFは14.6±3.92% (平均±SEM)で有意に増加しており安全に施行しえた.気管支喘息53例(ステロイド未治療群(naive;n=14),吸入ステロイド治療群(低用量)(low dose ICS;n=14),吸入ステロイド治療群(高用量)(high dose ICS;n=25)において, EBC中cysLTsは対照群と比較しhigh dose ICS群で有意な高値を認めた(p=0.0037). high dose ICS群がnaive群, low dose ICS群と比較し有意に高値であった(naive vs. high dose ICS, p=0.041, low dose ICS vs. high dose ICS, p=0.021).また,尿中LTE_4と弱い正の相関を認めた(n=34, r=O.32, p=0.0435). naive群でeNOと弱い負の相関を認めたが(r=-0.57, p=0.0369), 1秒量,気道過敏性(logPC_<20Ach>, n=49)と相関は認めなかった.【結語】EBCは安全に回収できた. EBC中cysLTs濃度は気管支喘息の重症例で増加し,治療検討の指標となる可能性がある.
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