【背景・目的】近年本邦では加水分解コムギ含有石鹸の使用後に小麦依存性運動誘発アナフィラキシーを発症したとする症例(HWP-WDEIA)の報告が相次いでいる.そこで,加水分解コムギ含有石鹸の発症への関与について調査しその後の経過についても検討した.【方法】2010年1月〜2011年6月に当院を受診しWDEIAと診断した患者を対象とし,問診,プリックテスト,血液検査およびその後の臨床症状の経過を調査した.【結果】WDEIA患者36人中30人に同じ銘柄の加水分解コムギ含有石鹸の使用歴があった.HWP-WDEIAでは顔面のかゆみや紅斑,血管性浮腫の割合が高く,血圧低下の割合は低めであった.ω5-グリアジン特異的IgEは陰性例が多く,グルテン特異的IgEの陽性率が高かった.ヒスタミン遊離試験は測定した15人では全例加水分解コムギに陽性であり,従来の小麦成分ではグルテニンの陽性率が高かった.またグルテン特異的IgE値,グルテニンに対するヒスタミン遊離は石鹸の使用中止により経月的に改善した.【結語】HWP-WDEIAと石鹸の使用には関連があり,石鹸の使用中止によりその過敏性は低下し,治癒することもある.
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