【症例】39歳女性,介護老人保健施設看護師.自身に白癬なし.近医で非アレルギー性喘息として加療を受けたが,改善せず当科紹介.問診上,白癬患者に接する機会があり,出勤と喘息症状悪化との関係が示唆された.トリコフィトンに対する特異的IgE抗体が陽性であり,トリコフィトンの職業性曝露が増悪の原因と考えられたため,薬物治療に加え,総合病院の手術室への職場転換を行うことで,症状は改善した.喘息管理においては,原因アレルゲンの探索及び回避指導は必須と考えられるが,喘息悪化の原因となりうるトリコフィトンの検出はしばしば見落とされがちである.従って,特に白癬を伴う患者との接触機会のある職業では,トリコフィトンによる喘息悪化の可能性も念頭に置くことが重要と考えられた.
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