【はじめに】乳児期や早期の幼児期においては,気管支喘息のみならず喘鳴発作を呈することが知られており,異なる表現型が存在すると考えられる.【目的】喘鳴発作で入院した年少児の臨床背景の特徴をもとにクラスター分析を用い臨床分類を行い,その頻度を明らかにする.【対象と方法】2歳未満の喘鳴発作で入院した患児53例を対象に,臨床背景をもとにクラスター分析を行い,臨床病型の分類を行った.【結果】下記の4群に分類された.cluster 1(n=26,49.1%)喘鳴の既往のないRSV陽性率の高い群.cluster 2(n=10,18.9%)月齢が低い男児が多く,喘鳴の既往やアレルゲンの感作ない群.この群では,父母の喘息罹患・既往がなく,受動喫煙の割合は高く,同胞がない傾向にある.cluster 3(n=11,20.7%)月齢の高い男児に多く,喘鳴を繰り返している,アレルゲンへの感作率の高い群.cluster 4(n=6,11.3%)月齢が低い女児に多く,父母の喘息罹患・既往があり,受動喫煙率の高い群.この群は,保育園に通所していないものが多く,完全母乳栄養の割合が多い.【考察】本検討では対象数が限られているものの,クラスター分析は病型分類の有効な手段と考えられ,十分な病型分類がなされていない乳幼児期の喘鳴性疾患において,この手法を用いて病型分類を明らかにできる可能性がある.
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