【背景】重症心身障がい者(重症者)は今後増加していくと見られており,アレルギー専門医も診察する機会が増えていくと思われる.しかし重症者は様々な合併症を有し評価が困難な上,アレルギー学的評価についての報告は少ない.【方法】長期入院中の重症者41名,並びに外来定期通院中の重症者26名の背景,血液検査,呼気NO等について調査した.【結果】生涯有症率は気管支喘息13.4%,アトピー性皮膚炎3.0%,食物アレルギー3.0%,アレルギー性鼻炎23.9%,アレルギー性結膜炎10.4%,薬物アレルギー6.0%であった.外来患者は入院患者に比べ花粉抗原感作率,アレルギー性鼻炎,アレルギー性結膜炎の有病率が有意に高かった.喘息群,アレルギー性鼻炎群はそうでない群に比べマルチブレス法による呼気NOは有意に高値を示した.【結論】外来患者は長期入院患者に比べて花粉抗原に感作されている率が高く,花粉症に留意する必要がある.呼気NO測定が重症者においても標準化されれば,より正確な喘息の診断と治療方針決定の補助になる可能性がある.
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