症例は33歳男性.咳嗽を主訴に近医を受診し,胸部CTにて肺門・縦隔リンパ節腫大を指摘され,当院へ精査・加療目的で紹介,入院となった.血清ACE値上昇,経気管支肺生検で非乾酪性肉芽腫の存在,BALF中のリンパ球比率増加とCD4/CD8比の上昇から肺サルコイドーシスと診断した.また,BALF中で好酸球比率が3%,非乾酪性肉芽腫を認めた同一標本内に杯細胞の過形成,気管支上皮への好酸球浸潤および基底膜肥厚があり,呼吸機能検査にて軽度の気道可逆性も認めたことから気管支喘息合併と診断し,組織学的にサルコイドーシスと気管支喘息の合併が確認できた.Th1/Th2バランスを考えると,サルコイドーシスはTh1優位,気管支喘息はTh2優位の病態である.本症例は,Th1優位の病態とTh2優位の病態の共存が可能であることを,組織学的に証明した興味深い1例であった.
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