【目的】非発作時にも閉塞性換気障害を呈する喘息患者に対して,吸入抗コリン薬を投与し,その効果を検討する.【対象と方法】当院外来で管理している喘息患者で,高容量吸入ステロイドや長期間作用性の気管支拡張薬の投与にもかかわらず,安定期のFEV_1/FVC%が70%未満であり,HRCTにおいて気腫性変化は認めず,過去に抗コリン薬の投与がないものを対象とした.気管支拡張薬の急性効果として,サルブタモール(400μg)吸入前と15分後,イプラトロピウム(40μg)吸入前と30分後のFEV_1を測定した.チオトロピウムを希望する11例(男性5例,女性6例,平均年齢63.6±10.7歳)は,それまでの治療に加えて1日1回18μgのチオトロピウムを吸入し,チオトロピウムを希望しなかった7例と合併症のために使用出来なかった6例,計13例(男性9例,女性4例,平均年齢64.9±11.1歳)はそれまでの治療を継続し,1年後の肺機能を2群間で比較した.【結果と考察】FEV_1,V^^._<50>は,1年間のチオトロピウム吸入で,有意に増加した.また,長期効果におけるFEV_1の増加は,イプラトロピウムによる急性効果でのFEV_1増加と相関した.抗コリン薬の長期投与は,リモデリングを生じている喘息においても,気管支拡張作用を呈する.
抄録全体を表示