【目的】長期管理薬を要する気管支喘息児の受診継続を調査し,実態を明らかにする.【対象と方法】初めて長期管理薬を開始した73例, 0〜15歳(平均6.1±4.0歳)の気管支喘息児に対し,病態と慢性気道炎症の存在や抗炎症薬継続の必要性を説明し, 180日の観察期間中はおおよそ30日毎に定期受診するよう指導した.その上で,実際の治療継続の状態を前方視的に30日毎, 180日にわたり追跡を目指した.【結果】1) 30日毎の受診継続率は,治療開始後30日の時点で90.4%, 60日で82.2%, 90日で78.1%, 120日で67.1%, 150日で54.8%, 180日で38.4%と日数が経つとともに低下した. 2)年齢別受診継続率は, 2歳未満では80%以上維持したが, 2〜5歳では治療開始後150日の時点で57.6%, 180日で33.3%, 6〜15歳では60日で63.3%, 120日で46.7%, 180日で30%と低下した. 2歳未満に比べ2〜5歳では治療開始後180日の時点で, 6〜15歳では60日の時点から180日まで有意に低下した. 3)重症度別受診継続率は,軽症持続型では治療開始後150日の時点で75%, 180日で64%,中等症持続型では治療開始後120日の時点で65%, 180日で39%, 重症持続型では治療開始後60日の時点で60%, 180日で40%と低下した.軽症持続型に比べ,中等症持続型では治療開始後120日と180日の時点で,重症持続型では治療開始後15日, 60日, 90日, 120日の時点で有意に低下した.【結語】喘息を専門とした医師の集団での検討であったが,受診継続率は,日数が経つとともに低下した.受診継続率を高めるためには,今後アドヒアランス不良例の原因分析と,それに対する具体的対策の検討が必要である.
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