【背景】ヴィディアン神経切断術は血管運動性鼻炎や難治性通年性アレルギー性鼻炎に有効であるが,一方で,ドライアイや三叉神経痛などの合併症の問題からほとんど施行されなくなった.これに代わり,内視鏡下に後鼻神経を切断する術式が開発され,最近では一般的になりつつある.今回,当科で後鼻神経切断術を行った症例にアンケート調査を施行し,当手術の妥当性,反省点を明らかにすべく検討を試みた.【対象と方法】2005年4月から2009年3月に当科で後鼻神経切断術(下鼻甲介手術を併施)を行った20症例にアンケート調査を行った.【結果】アンケートは17症例から回収した.鼻閉,水溶性鼻漏,くしゃみの症状NRSスコアは術後有意に改善していた.また,睡眠障害や精神集中不良など生活の質に関係する項目も術後有意な改善が認められた.一方で風邪をひく回数,鼻乾燥感などの好ましくない症状については,術後の増悪は認められなかった.【結語】内視鏡下後鼻神経切断術(下鼻甲介手術を併施)は症状のみでなく,生活の質に影響する因子も改善させることが確認された.
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