アレルギー
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64 巻, 9 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
専門医のためのアレルギー学講座 ―バリア機能の破綻とアレルギー―
ガイドラインのワンポイント解説
綜説
特集
  • Timothy Craig, Emel Aygören Pürsün, Konrad Bork, Tom Bowen, Henrik Boy ...
    2015 年 64 巻 9 号 p. 1215-1241
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/08
    ジャーナル フリー
    遺伝性血管性浮腫(HAE)は希な疾患であるため,医師や他の医療従事者により正しい診断と適切な治療法が知られていない,あるいは入手できないことが少なくない.そのため我々は,世界中からHAEの専門家を集め,HAEの診断と治療方針についての合意(コンセンサス)を得るとともに,同意事項に関するエビデンスのグレード分け,エビデンスの強さ,および分類を行った.コンセンサスはエビデンスグレードに基づいて形成されており,本文書はガイドラインとしての基準を満たす.このガイドラインの目標は,世界中のHAE患者の診断と治療を改善し,HAE患者全員が,その所在に関係なく,同様の対応と治療を受けることができるようにすることである.
原著
  • —ImmunoCAP®の意義—
    飯島 弘晃, 金子 美子, 増子 裕典, 山田 英恵, 谷田貝 洋平, 坂本 透, 金本 幸司, 石川 博一, 斎藤 武文, 遠藤 健夫, ...
    2015 年 64 巻 9 号 p. 1242-1253
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/08
    ジャーナル フリー
    【目的】MAST®と比較しImmunoCAP®は特異的IgE抗体検出力が高い.MASTでスクリーニングされた喘息患者に対しImmunoCAPによる精査が推奨される患者の特徴を検討する.【方法】MASTにて14種類の吸入抗原特異的IgE抗体がすべて陰性の48名(A群)とダニへの強い感作が認められた44名(B群)の喘息患者を対象とし,ゴキブリやガなどに対しImmunoCAPを実施した.【結果】A群の27.1%においてImmunoCAPが陽性となった.少なくとも一つのアレルゲンに対するImmunoCAP陽性と総IgE値とが関連した(p=0.0007).B群では,ゴキブリ,ガのImmunoCAP陽性率は各々27.8%,52.3%であり,これらの感作も総IgE値と関連した(p=0.0003).【結論】総IgE値が一定の値を超える喘息患者では,MASTが陽性でなくても,ゴキブリやガを含め幅広く吸入抗原に対し感作されている可能性があり,ImmunoCAPによるアレルゲン精査が有用である.
  • 磯部 全, 原 健一郎, 前野 敏孝
    2015 年 64 巻 9 号 p. 1254-1260
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/08
    ジャーナル フリー
    背景:MostGraph-01は,日本で開発された強制オッシレーション測定機器である.簡便に呼吸インピーダンスを測定できることから普及が期待されるが,体格の影響も示唆され,パラメーターの標準化が確立していない.目的と方法:本研究は,2014年1月から10月までスパイロメトリー,MostGraph-01を施行した呼吸器疾患のない外来患者63名に対して各パラメーターの相関を統計学的に分析し,肥満群(body mass index:BMI>=25),非肥満群(BMI<25)に群別し,相関の相違を検討した.結果:Rrs at 5Hz(R5),Xrs at 5Hz(X5),frequency of resonance(Fres),low-frequency reactance area(ALX)は,肺活量,努力肺活量,一秒量と有意に相関した(p<0.05).非肥満群に比べ,肥満群はより低いX5,より高いFresおよびALXを示した(p<0.05).また,Spearman順位相関分析の結果,肥満群に比べ,非肥満群では,肺活量,努力肺活量,一秒量がR5およびX5,Fres,ALXと高い相関を示した(p<0.05).結論:肥満は呼吸インピーダンス,特にXrsに影響することが示唆された.
  • 田中 稔彦, 平郡 真記子, 秀 道広, 平郡 隆明
    2015 年 64 巻 9 号 p. 1261-1268
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/08
    ジャーナル フリー
    【背景・目的】蕁麻疹の予後に関する報告は少なく,特に特発性の蕁麻疹の初期治療と予後に関する検討は乏しい.そこで,発症早期に皮膚科診療所を受診した特発性の蕁麻疹患者の予後を後ろ向きに検討した.【方法】皮膚科診療所に初診した5000人の診療録から特発性の蕁麻疹と診断された患者の情報を抽出し,カプラン・マイヤー法により治癒までの期間を解析した.また,年齢,初期治療の内容との関与を一般化Wilcoxon検定で検討解析した.【結果】解析対象となった特発性の蕁麻疹患者386人のうち284人(73.6%)が発症から7日以内に治療を開始した.それらの患者の発症1週間後,4週間後,1年後の非治癒有病率はそれぞれ26.8%,15.0%,6.7%であった.また,発症後1年以内の非治癒有病率について検討すると,20歳以下の患者ではそれ以上の年代より有意に低かったが,性別,ステロイド使用の有無では明らかな違いは見いだせなかった.一方,いずれか一種類の標準量の抗ヒスタミン薬のみで治療された患者では,何らかの他の治療薬を併用された患者よりも1年後までの非治癒率が低値であった.【結論】発症から7日以内に治療開始した特発性の蕁麻疹の多くは早期に治癒に至るが,約7%の患者では1年以上遷延し,遷延化は初期治療で標準量の抗ヒスタミン薬以外の薬剤を必要とする例に多いことが示唆された.
症例報告
  • 花井 俊一朗, 佐藤 健夫, 武田 孝一, 永谷 勝也, 岩本 雅弘, 簑田 清次
    2015 年 64 巻 9 号 p. 1269-1273
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/08
    ジャーナル フリー
    症例は18歳女性,主訴は多関節痛.16歳より尋常性ざ瘡に対してミノサイクリン200mg/日(ミノサイクリン塩酸塩錠® 50mg,1回2錠,1日2回)を内服していた.入院約3カ月前より発熱を認め,1カ月前より手指や膝などの関節痛を自覚した.近医で抗DNA抗体高値を指摘され,膠原病が疑われ当科へ紹介となった.また,入院約1カ月前より残薬がなくなったためミノサイクリンの内服を自己中断していた.初診時,抗核抗体640倍(homogeneous pattern),抗ds-DNA抗体20.1IU/mLと高値であり,肝逸脱酵素上昇を認め,精査のため入院した.入院時,発熱および関節痛は改善し,血球減少や血清補体価の低下,紅斑や重要臓器障害は認めなかった.薬剤中止後に症状が改善したことから,ミノサイクリンによる薬剤誘発性ループス(drug induced lupus:DIL)と診断した.その後も発熱や関節痛の再燃はなく,抗ds-DNA抗体は約3カ月後に3.4IU/mLと陰性化した.また,肝逸脱酵素も正常化した.今回,尋常性ざ瘡治療での長期ミノサイクリン内服によるDILの1例を経験した.ミノサイクリンによるDILの報告は本邦では少なく,貴重な症例と考え報告する.
私のアレルギー史
アレルギー用語解説シリーズ
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