アレルギー
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65 巻, 1 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
専門医のためのアレルギー学講座 ―アレルギー専門医のための免疫学―
ガイドラインのワンポイント解説
綜説
原著
  • 相良 博典, 田中 明彦, 大田 進, 神野 恵美, 内田 直樹, 三邉 武彦, 肥田 典子, 末廣 豊, 土居 悟, 亀田 誠, 吉田 之 ...
    2016 年 65 巻 1 号 p. 32-40
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    気道過敏性検査で用いられる薬剤として国外で承認販売されているメタコリン塩化物(Provocholine®)について,日本における気道過敏性検査の承認を取得するため,メタコリン塩化物(治験薬コード:SK-1211)による気道過敏性検査の有効性,安全性ならびに薬物動態について検討を行った.【方法】15例の健康成人,15例の成人気管支喘息患者および10例の小児気管支喘息患者に対して,日本アレルギー学会標準法に準じて,SK-1211を用いた気道過敏性検査を実施した.【結果】PC20の基準値を8mg/mLとした場合,成人気管支喘息患者における感度は66.7%(10/15例),健康成人における特異度は86.7%(13/15例)であった.また,小児気管支喘息患者における感度は70.0%(7/10例)であった.気道過敏性検査を実施した被験者に軽度の有害事象が認められたが,気管支拡張薬の使用により速やかに消失した.重篤な有害事象は認められなかった.【結語】SK-1211を用いた気道過敏性検査において,安全性に特別の懸念はなく,気道過敏性を確認するために有用な検査であると考えられた.
  • 浅海 智之, 飯倉 克人, 柳田 紀之, 佐藤 さくら, 海老澤 元宏
    2016 年 65 巻 1 号 p. 41-47
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    【背景】European Academy of Allergy and Clinical Immunology(EAACI)では慢性蕁麻疹の評価に簡便に使用できるUrticaria Activity Score(UAS)の使用を推奨しているが,我が国では小児の慢性蕁麻疹の評価法は統一されていない.UASは慢性蕁麻疹での膨疹の数と皮膚のかゆみのスコアであり,その7日間の合計であるUAS7は,皮膚のQOLを評価するDermatology Life Quality Index(DLQI)と相関があるため,慢性蕁麻疹の評価に有用と考えられている.【目的】我々はUASを和訳し,小児の慢性蕁麻疹のQOL評価に対する有用性を評価した.【方法】2014年2-9月の期間に,当科で加療した慢性蕁麻疹患者42人を対象とした.和訳したUASを患者の保護者が自宅で毎日記入した.Children's Dermatology Life Quality Index(CDLQI)の日本語版を受診日に保護者が記入した.我々は,UAS7とCDLQIの関係性を調べた.【結果】男女比は1:1,年齢の中央値は7.5歳,罹病期間の中央値は5.5カ月であり,抗ヒスタミン薬の使用率は75%であった.調査開始日のUAS7とCDLQIは有意な相関を認めた.また,調査開始日と再診日間のUAS7の変化量とCDLQIの変化量も有意な相関を認めた.【結語】小児の蕁麻疹患者において,UASは簡便なQOL評価として有用である可能性が考えられた.
  • 伊藤 浩明, 佐藤 さくら, 宇理須 厚雄, 漢人 直之, 中川 朋子, 柘植 郁哉, 近藤 康人, 伊藤 節子, 東浦 匡仁, 海老澤 元 ...
    2016 年 65 巻 1 号 p. 48-56
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    【背景・目的】全自動型好塩基球ヒスタミン遊離試験(アラポート®HRT)における自然ヒスタミン遊離率(SHR/T)及びlow responderについて検討した.【方法】鶏卵,牛乳,小麦の経口負荷試験を施行した101人(負荷陽性79人)を対象として,SHR/Tとの関連を解析した.また,従来のlow responder(27人)を,抗ヒトIgE刺激によるヒスタミン遊離率が濃度依存性であり,その最大ヒスタミン遊離率が10%以上を示す“LOW”responder(10人)と,その条件を満たさない“NON”responder(17人)に分類して,その意義を検討した.【結果】SHR/T≧20%を示す34人中32人(94%)が負荷陽性であり,負荷試験の結果も低閾値で強い誘発症状を認めた.今回定義した“LOW”responderの中で,4人はアレルゲン特異的最大ヒスタミン遊離率も10%以上を示した.一方,“NON”responderでは,濃度依存的なヒスタミン遊離曲線が得られず,好塩基球の機能を検出できていないものと考えられた.【結語】SHR/Tは,生体内での好塩基球の活性化や過敏性の指標となることが示唆された.また,“LOW”responderは,弱いながらも有意な好塩基球の機能を検出しており,“NON”responderと区別する価値のあることが示唆された.
  • 松根 彰志, 猿谷 昌司, 澤木 誠司, 大塚 博邦, 大山 義雄, 蓑輪 仁, 小山 守, 生井 明浩, 吉岡 友真, 若山 望, 石田 ...
    2016 年 65 巻 1 号 p. 57-65
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    【背景・目的】ロイコトリエン受容体拮抗薬の成人のスギ花粉症に対する初期療法の有効性は既に報告されているが,小児特に就学前後の児童に対する有効性を臨床現場で検討した報告は認められないので今回検討することとした.【方法】就学前後のスギ花粉症児童を対象に2013年,2014年のスギ花粉飛散シーズンに,ロイコトリエン受容体拮抗薬による初期療法を行い,花粉飛散後に同薬剤を投与開始した場合の効果と比較検討した.【結果】2シーズンとも初期療法を行った群では夜間の睡眠状態が有意に良好であった.また,花粉飛散量の少ないシーズンの方が,多いシーズンと比べてより多くの症状に対して初期療法が有効であった.【結語】ロイコトリエン受容体拮抗薬は,就学前後の小児のスギ花粉症に対しても,初期療法の薬剤として有効であった.
  • 二村 昌樹, 山本 貴和子, 齋藤 麻耶子, Jonathan Batchelor, 中原 真希子, 中原 剛士, 古江 増隆, 大矢 幸弘
    2016 年 65 巻 1 号 p. 66-72
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    【目的】アトピー性皮膚炎患者が抱えるステロイド外用薬を使用することへの不安を評価する質問票として,12の設問で構成されるTOPICOP(TOPIcal COrticosteroid Phobia)がフランスで開発されている.本研究ではTOPICOP日本語版を作成し,その実行可能性を調査した.【方法】原文から翻訳,逆翻訳の工程を経て日本語版を作成した.次にアトピー性皮膚炎患者(小児患者の場合は養育者)を対象にして,TOPICOP日本語版とともにその回答時間と内容についての無記名自記式アンケート調査を実施した.【結果】回答者は287人(平均年齢38±7歳,女性83%)で,TOPICOPスコアは平均41±18点であった.半数以上の回答者が,ステロイド外用薬が血液に入る,皮膚にダメージがある,健康に悪いと考え,特定部位に使用する不安,塗りすぎの不安,漠然とした不安を感じ,安心感が必要としていた.TOPICOPは全体の68%が5分未満で回答できており,87%が記入に困難は感じず,79%が内容を理解しやすいと回答していた.【結語】TOPICOP日本語版は短時間に回答できるステロイド不安評価指標で,日常診療や臨床研究に今後広く活用できると考えられた.
アレルギー用語解説シリーズ
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