【背景と目的】近年,蕁麻疹の病態と凝固機能異常の関連が報告されているが,小児での検討は少ない.蕁麻疹患児のプロトロンビンフラグメント1+2(PTF1+2),フィブリン分解産物(FDP),D-dimer,平均血小板容積(MPV)を測定し,凝固機能異常との関係を検討した.【方法】急性蕁麻疹7例,慢性蕁麻疹25例を対象に,PTF1+2,FDP,D-dimer,MPVを測定した.慢性蕁麻疹は採血前5日以内に皮疹を生じた群(皮疹群18例)と認めなかった群(非皮疹群7例)に分けて比較検討した.【結果】PTF1+2値は,慢性蕁麻疹の皮疹群は慢性蕁麻疹の非皮疹群より高く(
p<0.01),急性蕁麻疹群でも慢性蕁麻疹の非皮疹群より高かった(
p<0.05).FDP,D-dimer,MPV値は各群間に有意差は認めなかった.【結論】PTF1+2値は蕁麻疹の症状出現時に高値となり,蕁麻疹の病勢の指標として有用であると考えられた.
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