アレルギー
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65 巻, 2 号
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専門医のためのアレルギー学講座 ―アレルギー専門医のための免疫学―
ガイドラインのワンポイント解説
綜説
原著
  • 西村 幸士, 楠目 和代, 加賀田 優紀
    2016 年 65 巻 2 号 p. 118-122
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/16
    ジャーナル フリー
    【背景と目的】近年,蕁麻疹の病態と凝固機能異常の関連が報告されているが,小児での検討は少ない.蕁麻疹患児のプロトロンビンフラグメント1+2(PTF1+2),フィブリン分解産物(FDP),D-dimer,平均血小板容積(MPV)を測定し,凝固機能異常との関係を検討した.【方法】急性蕁麻疹7例,慢性蕁麻疹25例を対象に,PTF1+2,FDP,D-dimer,MPVを測定した.慢性蕁麻疹は採血前5日以内に皮疹を生じた群(皮疹群18例)と認めなかった群(非皮疹群7例)に分けて比較検討した.【結果】PTF1+2値は,慢性蕁麻疹の皮疹群は慢性蕁麻疹の非皮疹群より高く(p<0.01),急性蕁麻疹群でも慢性蕁麻疹の非皮疹群より高かった(p<0.05).FDP,D-dimer,MPV値は各群間に有意差は認めなかった.【結論】PTF1+2値は蕁麻疹の症状出現時に高値となり,蕁麻疹の病勢の指標として有用であると考えられた.
症例報告
  • 内藤 龍雄
    2016 年 65 巻 2 号 p. 123-127
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/16
    ジャーナル フリー
    症例は47歳,女性.AERDにて通院中,胸痛発作が夜間,早朝につづくようになり,ときに失神した.胸痛はニトログリセリン舌下では効果不十分であった.ホルター心電図にて胸痛時ST上昇が認められ,冠動脈造影では左前下行枝(#7)に75%の狭窄が認められたが,ニトログリセリン冠注にて消失した.以上より異型狭心症と診断し,冠血管拡張剤(ジルチアゼム塩酸塩,ニコランジル,一硝酸イソソルビド)を投与したが,胸痛はつづいた.経過中,好酸球増加が認められたため,プレドニゾロンを投与したところ胸痛は消失した.AERDの気道外症状としての異型狭心症にはプレドニゾロンが有効であった.AERDは,気道外の諸臓器に好酸球増加に起因する病態を合併しやすい特異な気管支喘息であり,冠動脈疾患を含めた全身性疾患としての病態の把握が必要と思われる.
  • 清水 麻由, 今井 孝成, 山崎 さやか, 矢川 綾子, 宮沢 篤生, 中村 俊紀, 北條 菜穂, 石川 良子, 神谷 太郎, 板橋 家頭夫
    2016 年 65 巻 2 号 p. 128-133
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/16
    ジャーナル フリー
    【目的】インフルエンザ予防接種ガイドラインには,鶏卵完全除去中や鶏卵摂取後にアナフィラキシー歴がある児は専門施設へ紹介するとし,安全性についての記載はない.今回,特に重症な鶏卵アレルギー児を対象に当科でインフルエンザワクチンを接種した後の副反応について検討し,17例のケースシリーズとして報告する.【方法】対象は平成25年度にインフルエンザワクチンを希望し,当該ワクチンの接種歴がなくかつ重症な鶏卵アレルギー児(鶏卵完全除去中かつ卵白またはOvomucoid(OVM)特異的IgE値がスコア4以上である児〔以下完全除去児〕,または鶏卵摂取にてSampson分類でGrade III以上の強いアナフィラキシー症状の既往のある児〔以下アナフィラキシー児〕)とした.接種前に10倍希釈ワクチン液でプリックテストを施行し,2分割接種を行った.主要評価項目は,接種後30分以内,24時間以内の副反応の出現状況とした.【結果】17例(完全除去児9例,アナフィラキシー児8例)を対象に,のべ33回接種を行い,接種後の副反応は,分割接種30分以内,24時間以内とも認めなかった.【結論】重症な鶏卵アレルギーであっても,インフルエンザワクチンは安全に接種できる可能性が高い.
  • 酒井 啓行, 門脇 麻衣子, 本定 千知, 森川 美羽, 安斎 正樹, 梅田 幸寛, 飴嶋 慎吾, 石塚 全
    2016 年 65 巻 2 号 p. 134-137
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/16
    ジャーナル フリー
    症例は62歳,男性.咳と喘鳴を主訴に当院を受診した.胸部CTですりガラス影と小葉中心性粒状影が認められた.気管支鏡検査や採血などの結果から,マイコプラズマ肺炎を合併した慢性好酸球性肺炎と診断した.しかし,その後の経過から両肺の粒状影は好酸球性細気管支炎と考えられた.本例は中枢気道から肺胞までの広い範囲に,好酸球性気道炎症が同時に生じうることを示唆する貴重な症例であると考え報告する.
アレルギー用語解説シリーズ
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