アレルギー
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65 巻, 3 号
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専門医のためのアレルギー学講座 ―アレルギー疾患の修飾因子―
ガイドラインのワンポイント解説
綜説
原著
  • 柳田 紀之, 佐藤 さくら, 海老澤 元宏
    2016 年 65 巻 3 号 p. 193-199
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/19
    ジャーナル フリー
    【背景・目的】食物経口負荷試験(以下負荷試験)のための負荷食品の用意は煩雑である.相模原病院小児科において実施した準備が容易な日本ハム株式会社製の全卵1/2個に相当する全卵粉末入りジュース(以下鶏卵ジュース)を用いた負荷試験の結果および陰性者の自宅での鶏卵1/2個相当に対する摂取可否について検討した.【方法・対象】2014年9月から2015年4月に診断および耐性獲得のために鶏卵ジュースの入院負荷試験を行った116例の結果を前方視的に検討した.【結果】陽性率は33%で,症状の内訳は消化器症状76%,皮膚・粘膜症状58%,呼吸器症状40%,神経症状5%,循環器症状3%でアナフィラキシーは16%であった.陰性者78例が自宅での全卵1/2個に相当する食品を複数回摂取した結果,うち92%は症状がなく,8%で症状が誘発されることがあったが,治療は不要であり,その後,全例で鶏卵1/2個相当を無症状で摂取できることが確認できた.【結語】鶏卵ジュースを用いた負荷試験は陰性を確認後,比較的安全に自宅で全卵1/2個相当の摂取を進めることができる方法であると考えられた.
症例報告
  • 森川 みき, 金光 祥臣, 塚本 宏樹, 森川 昭正, 富岡 佳久
    2016 年 65 巻 3 号 p. 200-205
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/19
    ジャーナル フリー
    症例は,牛乳アレルギーおよび気管支喘息既往歴を有する6歳女児.インフルエンザB型に罹患し,ラニナミビルオクタン酸エステル水和物吸入粉末剤(イナビル®)を使用後にアナフィラキシーを起こした.プリックテスト並びに薬剤刺激好塩基球活性化試験を実施したところ,イナビル®と添加剤の乳糖水和物に陽性を示し,ラニナミビルオクタン酸エステル水和物は陰性を示した.本症例では,添加剤の乳糖に夾雑する乳タンパク質がアレルゲンとなった可能性が考えられ,その同定を試みた.ウェスタンブロット(WB)により,添加剤の乳糖水和物中からβ-ラクトグロブリン(β-LG)が検出され,その分子量およびin vitro実験の結果から糖鎖付加体であると推定した.さらに患者血清を用いたWBの結果から,本症例のアレルゲンが,糖鎖付加されたβ-LGである可能性が高いと判断した.本研究は,吸入粉末製剤の添加剤乳糖が乳アレルギーを起こす危険性を示す結果となった.本症例のようなインフルエンザ患者は,気道過敏性が亢進しているため特に注意が必要である.
アレルギー用語解説シリーズ
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