アレルギー
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66 巻, 10 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
専門医のためのアレルギー学講座 XXVIII.各subspecialtyからみた新たなアレルギー専門医の役割と育成
ガイドラインのワンポイント解説
綜説
症例報告
  • 薄場 彩乃, 駒瀬 裕子, 大山 バク, 粒来 崇博, 檜田 直也
    2017 年 66 巻 10 号 p. 1230-1235
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/15
    ジャーナル フリー

    百日咳の診断において,百日咳菌の分離培養は検出感度が低いため,一般的には抗pertussis toxin(PT)抗体価,抗filamentous hemagglutinin(FHA)抗体価の血清診断,polymerase chain reaction(PCR)法,loopmediated isothermal amplification(LAMP)法による遺伝子診断によって確定診断がなされることが多い.成人では遷延性咳嗽を呈し,発症から3週以上が経過しているために菌の分離が困難で診断が遅れがちである.また,遷延性咳嗽を示す疾患として気管支喘息との鑑別も重要となる.当院において,百日咳菌が分離培養された成人症例を経験した.この患者においては,過去にリツキシマブによる加療がされ,長引く咳嗽に対してステロイド加療が行われていた.経過中,抗PT抗体価は全く上昇しなかった.

  • 石川 利寿, 河﨑 勉, 島矢 和浩, 安部 由希子, 片 佑樹, 岡安 香, 鵜浦 康司, 中村 陽一
    2017 年 66 巻 10 号 p. 1236-1239
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/15
    ジャーナル フリー

    症例は同居中の64歳女性(症例1)および37歳の長男(症例2).症例1は,6月より咳嗽,微熱を認め,症状増悪をきたし,9月に臨床症状,画像所見,気管支肺胞洗浄液と経気管支肺生検の所見,血清抗トリコスポロン抗体陽性,環境誘発試験陽性から夏型過敏性肺炎と診断した.その後12月に同一理髪店に勤務する症例2も咳嗽の増悪をきたし,血清抗トリコスポロン抗体陽性を含む診断基準を満たし,夏型過敏性肺炎と診断した.症例1は,帰宅誘発試験が陰性で,職場環境誘発試験が陽性であった.本症例は夏型過敏性肺炎の家族内発症例であるが,原因環境要因は,住居ではなく同一の職場にあると考えられた.また症例2は冬季診断例であった.

    夏型過敏性肺炎は,大半が夏季に発症し診断され,家族内発症のほとんどが住居環境に起因すると考えられてきた.特に専業主婦に多くみられ,本症例のように女性での職場環境による発症や冬季診断例は,夏型過敏性肺炎の臨床像が,社会環境の変化に伴い従来とは異なってきている可能性を示唆し,貴重な症例と考えられる.

  • 新垣 智也, 平口 雪子, 玄 茉梨, 吉野 翔子, 熊谷 雄介, 海老島 優子, 大和 謙二, 尾辻 健太, 近藤 康人, 末廣 豊
    2017 年 66 巻 10 号 p. 1240-1243
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/15
    ジャーナル フリー

    症例は10歳女児で既往に鶏卵アレルギーがあった.4歳時,鍋料理のエノキタケを摂取後に口腔内の痒みを訴え,以降はエノキタケを摂取していなかった.10歳時に学校給食でエノキタケの入ったすまし汁の汁のみを飲んだところ,口腔内の違和感と痒みが出現し20分間程度持続した.精査のために当科で実施したprick to prick testではエノキタケの生,加熱,茹で汁がいずれも陽性であった.

    患者血清を用いてアレルゲンの同定を試みた.western blottingを行ったところ,75kDaで特異的な反応がみられ,本症例のアレルゲンと考えられた.

    過去に報告のあったエノキタケアレルギーとは症状の程度,他のキノコ類への感作,抗原のタンパク質分子量などで違いがあり,新規のアレルゲンが関与しているものと推定された.

  • 宇野 浩史, 関本 員裕, 喜多村 哲朗
    2017 年 66 巻 10 号 p. 1244-1247
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/15
    ジャーナル フリー

    ペクチンは添加物として種々の食品に使用されており,意図しない摂取によってアナフィラキシーを呈した報告が散見される.しかし,ペクチンを多く含む温州ミカンそのものの摂取で発症した報告はない.

    症例は7歳女児.給食から2時間ほどして全身紅潮,犬吠様咳嗽をみとめ,本院に搬送された.既往にカシューナッツのアナフィラキシー歴があったため,ペクチン含有量が高いとされる冷凍温州みかんを原因として考えた.市販の手作りジャム用のLow Methoxyl(LM)ペクチンを用いたプリックテストおよび好塩基球活性化試験で陽性の活性反応を示し,さらに経口負荷試験で果皮を含む果実摂取時のみに消化器症状を呈したことから,本症例は温州ミカンに含有されるペクチンがアレルギーの原因になっていると推察された.

    カシューナッツアレルギーのある患者の原因不明のアナフィラキシーではペクチンを原因物質として想起する必要があるが,ペクチンを多く含む温州ミカン摂取が原因となることもある.

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