【背景】1970年代後半頃よりスギ花粉症が各地で増加し,厚生省は花粉症対策をとり,その一環として空中花粉の全国調査が開始された.
【目的】花粉症の効果的な治療・予防に役に立てるために各地の重要な木本類の空中花粉調査結果をまとめたので報告する.
【方法】各施設で1986年7月よりDurhamの花粉捕集器(重力法)を設置して空中花粉を採取した.当施設に郵送されたサンプルをカルベラ液で染色し光学顕微鏡下で算定し,1cm2当りの花粉数に換算した.
【結果と考察】スギ花粉が最も多く,全体の40%以上,ヒノキ科は約20%で,木本花粉抗原の大部分を占め,著しい年次変動をしながら漸増している.ブナ科花粉は漸増し全体の10%以上を占め,カバノキ科花粉は北海道地区で多く地域性があった.
重要抗原花粉のスギ・ヒノキ科は気候変動とともに漸増し,カバノキ科と交差抗原性のあるブナ科も漸増している.花粉感作関連食物アレルギー(口腔アレルギー症候群)の出現に注意する必要がある.
【結論】今後も空中花粉調査の重要性が示唆された.
気管支喘息大発作の幼児2例に対しヘルメット型マスクを用い非侵襲的陽圧換気法(noninvasive positive pressure ventilation:NPPV)を施行した.従来の口鼻マスクでは小児に合うサイズの種類が少ないことや顔面に直接接触する不快感などからNPPVの使用が困難となることが多かったが,今回使用したヘルメット型マスクのフィッティングは首周りのサイズだけで行え,体動によるマスクの密着性が損なわれることがないため本症例のような幼児においても使用可能であった.今回,気管支喘息大発作の幼児においてヘルメット型マスクを用いたNPPVによる治療は有効で気管挿管を回避できた.今後,本症例のように呼吸不全まで至らない状態で呼吸補助筋の疲労や薬物治療に反応不良を示す気管支喘息大発作時には,気管挿管前の治療法の選択肢としてNPPVによる人工呼吸器管理を検討してもよいと考える.