アレルギー
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66 巻, 7 号
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専門医のためのアレルギー学講座 XXVII.肥満とアレルギー
ガイドラインのワンポイント解説
綜説
原著
  • 野村 理, 森川 和彦, 萩原 佑亮, 伊原 崇晃, 井上 信明, 榊原 裕史, 赤澤 晃
    2017 年 66 巻 7 号 p. 945-952
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/18
    ジャーナル フリー

    【背景・目的】小児の気管支喘息発作の治療においてイプラトロピウム臭化物 (IB) 吸入は, 標準的な急性期治療への追加療法として国際的には用いられるが, 日本国内では一般的ではない. 本研究の目的は小児気管支喘息発作に対するIB吸入の有効性と安全性を検討することである.

    【方法】2015年9月15日~2016年3月15日に気管支喘息中発作・大発作・呼吸不全のために当院救急外来を受診した4歳以上の症例について, IB投与群と非投与群の入院率を比較した. 解析の際にIB投与に関与する交絡因子を調整するため傾向スコアマッチングを行った. IB吸入は中発作以上の症例に対し短時間作用型β2刺激薬吸入と副腎皮質ステロイド薬全身投与による標準治療に追加して, 吸入補助器具を用い40μg/回を3回まで反復した.

    【結果】調査対象の175例 (IB投与102例, 非投与73例) から, IB投与に関し傾向スコアマッチングを行い, 各群63例を抽出した. マッチング後の入院率について両群に統計学的有意差を認めなかった (12.7% vs 9.5%; p=0.78). IB投与群の1例 (1.0%) に口渇が認められたが, 自然軽快した.

    【結語】IBによる気管支喘息中発作・大発作・呼吸不全症例の入院率低減効果は認められなかった. 投与量が国際標準量よりも少ないこと, 交絡因子の内在が本研究の限界であり, これらに対応した前方視的研究が期待される.

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