アレルギー
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67 巻, 2 号
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専門医のためのアレルギー学講座 29 アナフィラキシー
ガイドラインのワンポイント解説
綜説
原著
  • 齋藤 真理, 菊池 豊, 瓦井 レフォーアラン, 島村 若通
    2018 年 67 巻 2 号 p. 117-123
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/16
    ジャーナル フリー

    【背景】アレルゲン感作は地域性があり,自国のアレルゲン感作状況を知ることは,アレルギー診療に有用である.

    【目的】本邦で報告の少ない生後60カ月以下の喘鳴反復児のアレルゲン感作状況を把握する.

    【方法】2010年4月から2016年4月に,多項目アレルギー検査を受けた喘鳴反復児204例を後方視的に解析した.

    【結果】喘鳴反復児の75%が,解析時までに気管支喘息と診断された.生後12カ月以下では食物アレルゲン感作が多く,生後12カ月を過ぎると吸入アレルゲン感作が増えた.特に,ダニとスギ感作は1歳代から2歳代にかけて急増し,生後36カ月を過ぎるとダニ,スギ感作が最多になった.また,ダニとスギの重複感作が多かった.

    【結語】本邦の生後60カ月以下の喘鳴反復児において,スギ感作は幼児期早期から成立し,頻度が高く,ダニ感作と類似した特徴がみられた.

  • 渡辺 哲生, 鈴木 正志
    2018 年 67 巻 2 号 p. 124-128
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/16
    ジャーナル フリー

    【背景・目的】鼻噴霧用ステロイド薬が鼻アレルギーの治療の主流にならない要因の一つとして使用感があると考え,その評価を行った.

    【方法】健常者45名を対象とした.点鼻薬はフルチカゾンフランカルボン酸エステル点鼻液(FF)とモメタゾンフランカルボン酸エステル水和物点鼻液(MF)を使用した.試験薬を噴霧した直後と2~3分後に質問紙の記入,その後30分間のウォッシュアウト期間を設けた後,被験薬を入れ替えて再び噴霧し,同様に質問票に回答してもらった.

    【結果】FFの方がMFよりも使用感が良好であった.ロジステック回帰分析でFFとMFともに使用感に有意に影響するのは噴霧時の刺激であった.FF,MFの使用感は継続使用ができないというほど悪くなかった.

    【結語】鼻噴霧用ステロイド薬の使用感は想定していたほど不良ではなかった.

  • 加藤 泰輔, 田嶋 直哉, 北村 勝誠, 高里 良宏, 田島 巌, 小野 学, 田上 和憲, 酒井 一徳, 古田 朋子, 杉浦 至郎, 伊藤 ...
    2018 年 67 巻 2 号 p. 129-138
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/16
    ジャーナル フリー

    【背景と目的】近年増加傾向にある,小児果物アレルギー患者の臨床像を明らかにする.

    【対象と方法】あいち小児保健医療総合センター通院中の果物アレルギー患者265人と,キウイまたはバナナの食物経口負荷試験(OFC)を行った32人を口腔症状群と全身症状群に分類し,臨床的特徴や経過をカルテから後方視的に検討した.

    【結果】原因果物はキウイが139人で全体の21%と最多,口腔症状誘発率はメロンが97%,全身症状誘発率はバナナが46%と最高であった.口腔症状群は花粉症有症率が54%で,66%の患者が複数果物に同症状を呈した.全身症状群は花粉症有症率が24%で,77%の患者が単独果物に同症状を呈した.バナナアレルギーは65%が乳児期発症で,20人中7人が6カ月から13年後のOFCで耐性獲得を確認した.

    【結論】果物摂取で,口腔症状を伴い花粉―食物アレルギー症候群を疑う患者群と,全身症状を主体とする患者群は臨床的な背景や病態が異なる病型と考えられた.食事指導や安全管理,予後を推測する上でその鑑別は重要である.

  • 秀 道広, 福永 淳, 前原 潤一, 江藤 和範, James Hao, Moshe Vardi, 野本 優二
    2018 年 67 巻 2 号 p. 139-147
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/16
    ジャーナル フリー

    【背景】遺伝性血管性浮腫(hereditary angioedema,HAE)は,皮膚,消化管粘膜及び上気道に発作性に浮腫を生じる遺伝性疾患である.

    【目的】HAEタイプI又はタイプIIの日本人患者の急性発作に対する治療薬として,選択的ブラジキニンB2受容体拮抗薬のイカチバントを評価する第III相単群非盲検試験を行った.

    【方法】急性発作後,患者又は医療従事者がイカチバント30mgを腹部に単回皮下投与した.【結果】皮膚,腹部,又は喉頭に発作を生じた計8名(それぞれ4名,3名,1名)にイカチバントを投与した(うち自己投与は3名).症状緩和までの時間の中央値は1.75時間(95%信頼区間:1.00,2.50)で,全患者で投与後5時間以内に症状が緩和した.イカチバントの最高血漿中濃度到達時間は1.79時間と推定され,最高血漿中濃度は405ng/mLであった.7名に注射部位反応が認められ,3名に有害事象(HAE発作2名,頭痛1名)が認められた.

    【結語】患者数は少ないものの,日本人HAE患者の急性発作に対し,イカチバントは自己投与または医療従事者による投与に関わらずその有効性と忍容性が示された.

症例報告
  • 薄井 摩稚子, 明石 真幸
    2018 年 67 巻 2 号 p. 148-152
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/16
    ジャーナル フリー

    1993年に初めて報告された,ダニ混入食品による全身性アナフィラキシー,Oral mite anaphylaxis(以下,OMA)は,その後症例報告などが集積され一般的に知られるようになった.海外ではアスピリン不耐症との関連も指摘されているが,日本での報告は少なく,特に小児での報告例はまだない.今回,我々はダニアレルギーとアスピリン不耐症の関連を疑わせる小児例を経験したので報告する.症例は10歳男児.ダニ混入のたこ焼きミックス粉摂取後に呼吸困難・腹痛・嘔吐を認めアナフィラキシーを発症しOMAと診断した.その1カ月後にロキソプロフェン摂取後に眼瞼腫脹・蕁麻疹・咳嗽を呈しNSAIDs過敏症を合併した.皮内テストでロキソプロフェン陰性であり,過去に被疑薬の内服既往がないことからNSAIDs過敏症のなかでもアスピリン不耐症の合併を疑った.ダニアレルギーとアスピリン不耐症を関連付けるその機序は現時点で不明であり,今後,症例の集積と病態解明をしていく必要があると考えられた.

アレルギー用語解説シリーズ
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