アレルギー
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70 巻, 3 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
専門医のためのアレルギー学講座 42.接触皮膚炎,蕁麻疹
ガイドラインのワンポイント解説
綜説
原著
  • 湯田 厚司, 小川 由起子, 鈴木 祐輔, 神前 英明, 清水 猛史
    2021 年 70 巻 3 号 p. 186-194
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/18
    ジャーナル フリー

    【背景】小児通年性アレルギー性鼻炎に対するダニ舌下免疫療法を検討する目的に,1年目の効果と安全性について成人と比較した.

    【方法】ダニ舌下錠(10000JAU)で治療した15歳未満の小児121例(5-14歳,中央値12歳,男性81例)と15歳以上の成人77例(15-65歳,中央値26歳,男性36例)で治療前と治療1年後を比較した.鼻眼症状と総合症状を視覚的アナログ尺度(VAS)と日本アレルギー性鼻炎標準QOL調査票(JRQLQ No1)で評価した.評価時の併用薬も比較した.また,1年間の副反応も調査した.

    【結果】小児と成人ともに1年後に改善があり,成人眼症状のJRQLQ No1を除く全評価項目で有意に改善した.小児と成人の間では治療前と1年後ともに差がなかった.併用薬スコアも同様であった.副反応は小児の57.9%と成人の58.4%にあったが,重篤な副反応はなかった.

    【結論】ダニ舌下免疫療法は小児と成人で効果と安全性に差がなく,ともに1年後に症状の改善が認められた.

  • 牧田 英士, 黒田 早恵, 板橋 佳恵, 菅原 大輔, 市橋 光
    2021 年 70 巻 3 号 p. 195-203
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/18
    ジャーナル フリー

    【背景】我々は,嘔吐後の血清thymus and activation-regulated chemokine(TARC)値が固形食物によるFood protein-induced enterocolitis syndrome(FPIES)の診断における有用なバイオマーカーである可能性を報告した.しかし,FPIESの重症度と血清TARC値の関係についての報告はない.

    【方法】対象はFPIES 13例(鶏卵10,小麦1,米1,アサリ1)による計22エピソード(救急外来受診7件,経口負荷試験陽性9件,陰性6件)で,抗原摂取6時間後と24時間後の血清TARC値について後方視的に評価し,有症状と無症状の2群間,軽症―中等症と重症の2群間で比較した.また,嘔吐持続時間と血清TARC値の相関を評価した.

    【結果】無症状,軽症―中等症,重症の3群における血清TARC(pg/ml)の中央値は,摂取6時間後では546,1093,3127,摂取24時間後では910,2053,6496で,有症状が無症状よりも有意に高値で,重症は軽症―中等症よりも有意に高値だった(p<0.01).血清TARC値と嘔吐持続時間は中程度の相関を認めた.

    【結語】FPIESの重症度と嘔吐後の血清TARC値は有意な相関がみられた.FPIESの客観的な病勢評価について,血清TARC値の活用が期待される.

症例報告
  • 森 利枝, 大山 吉幸, 森田 芽生子, 中村 匠吾, 田熊 翔, 池田 政輝, 草ヶ谷 英樹
    2021 年 70 巻 3 号 p. 204-209
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/18
    ジャーナル フリー

    症例は81歳,男性.201X-2年6月に近医にて慢性副鼻腔炎に対して辛夷清肺湯が投与され,約1カ月後に肝機能障害と胸部異常陰影をみとめた.辛夷清肺湯を中止したところ,いずれも改善した.同年10月に過敏性腸症候群に対して柴胡桂枝湯が投与され,2日後に発熱と呼吸困難があり,肺炎と診断された.抗菌薬で改善せず,ステロイド投与により改善した.退院後,他院にて辛夷清肺湯と補中益気湯が投与され,2日後に発熱し,漢方薬の中止で改善した.201X年2月に下痢に対して柴苓湯が投与され,約5日後に咳嗽が出現した.胸部CTで広範なスリガラス影をみとめ,呼吸不全もみられたことから,精査加療目的にて当科入院となった.臨床経過と気管支鏡検査,薬物リンパ球刺激試験の結果などから,柴苓湯の成分であるオウゴンによる薬剤性肺炎と考えられ,同薬剤の中止のみで改善した.これまで漢方薬による薬剤性肺障害の報告はあるが,複数の漢方薬で薬剤性肺障害をきたしたと考えられる症例は貴重であり,報告する.

  • 寺西 宏美, 古賀 健史, 植田 穣, 清水 貴寛, 岡田 慶介, 小川 俊一, 盛田 英司, 板澤 寿子, 徳山 研一
    2021 年 70 巻 3 号 p. 210-214
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/18
    ジャーナル フリー

    運動誘発アナフィラキシーと診断され,アドレナリン自己注射薬(エピペン®)が頻回に使用されていたVocal Cord Dysfunction(VCD)の女子例を経験した.本例では精査目的で,運動負荷試験を実施したところ,喉頭絞扼感,吸気時喘鳴などの呼吸困難症状が出現したがSpO2低下や陥没呼吸や呼吸音減弱はなかった.これらの症状は治療として用いた薬剤に反応せず,同時に実施した喉頭内視鏡検査にて声帯奇異性運動を認めVCDと診断した.そこで,呼吸困難の状態を心拍数,SpO2,呼吸数,喉頭内視鏡検査所見を提示することで患者自身に正しく認識させた.さらに,腹式呼吸・口すぼめ吸気法を含む対処法を実践し呼吸困難の症状を制御するバイオフィードバック療法を行った.以降呼吸器症状出現時は上記療法を実践させることにより,アドレナリン自己注射薬の使用がなくなった.アナフィラキシーと診断し,症状の予防を行うもコントロールできない症例では鑑別の1つにVCDを考慮する必要がある.

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