【背景】横浜市西部地区の基幹施設である当院では,双方向連携パスを用いて気管支喘息患者を近隣の実地医家の医師と共に診療している.実地医家による普段の診療と緊急時あるいは年一度の精密検査により,受診しやすさと救急対応および正確な診療の両立を目指している.
【目的,対象】2009年1月から2018年5月までに当院の気管支喘息双方向クリニカルパスを導入しかかりつけ医に紹介した患者を分析する.
【結果】288例(女性201例)が抽出された.連携継続が188例,連携終了が37例,連携脱落が63例であった.脱落率は連携開始直後(9.37%)が最も高かった.連携終了の理由は悪化による治療再調整,他疾患の治療による終了が多く,脱落理由は低アドヒアランス,高齢化,軽症のためであった.連携回数別の継続,終了,脱落頻度の比較では有意な傾向があり(x2:26.053,p=0.0106),1回での脱落が有意に多かった.連携二回目時点で継続群,終了群,脱落群で比較すると,脱落率は15.6%であり,継続群に比較して有意に年齢が若く(p=0.0067),罹病期間が短かった(p=0.0095).連携回数別の救急外来受診,入院の頻度は連携開始直後に多かったが,有意な傾向は認めなかった.
【考案】188症例(65.2%)で連携が維持され,連携終了症例でも適切な対応がなされていた.脱落は初回に起きやすく,配慮が必要と考えられた.
現在,重症喘息に対する生物学的製剤の長期使用の報告がなされている.しかし,効果が認められる症例における必要治療継続期間,中止基準については明確な基準はない.今回,オマリズマブによる長期的なコントロール維持の後,投与間隔の延長に伴い,喘息病態が悪化を来たし,その後通常間隔投与に戻したものの,当初の効果を認めなかった重症喘息の1例を経験した.投与間隔を延長したことが,効果減弱に関与した可能性もあり,今後のオマリズマブの長期使用に関する診療の一助となると考え,報告する.