薬疹は全臨床医が遭遇しうる頻度の高い皮膚粘膜病変であり,薬剤投与者の0.1~1%に発症する.しかし,その鑑別診断や原因薬剤同定は必ずしも容易ではない.ウイルス性発疹症を含む多彩な鑑別を念頭に,詳細な服薬歴,感染流行の有無,潜伏期間および臨床型から被疑薬を絞り込むことが重要である.薬疹の中でも重症薬疹であるStevens-Johnson syndrome/toxic epidermal necrolysisは致死的となりうる急速進行性疾患であり,粘膜びらん,皮膚痛,発熱,臓器障害などの重症化兆候を見逃してはならない.原因薬剤の同定は再発予防および安全な薬物治療継続の観点から重要であり,可能な限り適切に評価することが求められる.薬剤リンパ球刺激試験,皮膚テスト,再投与試験などを臨床型や重症度,施行時期に応じて選択し,不要な薬剤アレルギーラベルの是正につなげる.
本稿では小児食物アレルギーに関して近年報告された最新のエビデンスを概説する.
AAAAI-EAACIによるPRACTALLが12年ぶりに更新され,日本のステップワイズ負荷試験についても言及された.管理領域では,GA2LENによるアナフィラキシーの定義・診断基準の統合整理,乳児特有の記載があったほか,鼻腔内アドレナリン製剤(ネフィーⓇ)が2026年2月に日本でも発売され,新たな投与形態として注目される.
疫学面では,全国モニタリング調査でナッツ類が増加し,牛乳・小麦を超えて原因抗原第2位となり,その増加傾向が継続している.予防領域では,ピーナッツ早期導入ガイドラインに伴い,集団レベルでのピーナッツアレルギー有病率の有意な減少が実臨床データで示された.ほか,治療領域では,重症鶏卵アレルギー児に対する微量負荷試験による完全除去回避戦略,ピーナッツ経皮免疫療法(EPIT)の長期経過やdupilumab経口免疫療法(OIT)の有効性など多くの報告があり,最新の動向を整理した.
好酸球は,寄生虫感染やI型アレルギー反応におけるエフェクター細胞として長く研究されてきたが,近年では外来抗原が明確でない状況下でも持続的な好酸球性炎症が成立する病態が注目され,その理解も時代とともに変化を遂げている.I型アレルギーだけでなく,上皮由来サイトカインや2型自然リンパ球を介した抗原非依存性のType2炎症,自己免疫疾患との境界病態,さらには腫瘍性好酸球増多を含め,好酸球はアレルギー,自己免疫,腫瘍性疾患といった異なる病態領域を横断して関与する免疫細胞といえる.一方,これらの疾患は多臓器にまたがるため診療領域が分散し,疾患概念や治療戦略が専門領域別に議論される傾向がある.また,生物学的製剤の臨床使用が一般化する中で,好酸球の真の役割,構造変化の可逆性,寛解の定義といった課題は,十分な研究や議論の整理がなされていない.本稿では,日本アレルギー学会に設置された専門委員会の意義を踏まえ,好酸球関連疾患(Eosinophil-Associated Diseases:EAD)という概念を,好酸球の病態やバイオマーカーへの寄与に着目した横断的枠組みとして位置づける.好酸球研究の歴史的変遷,細胞生物学的特性,EADの多様性などを概説するとともに,好酸球を共通病態軸として疾患を横断的に捉える必要性と,今後の研究・診療・学術基盤整備の展望について考えてみたい.
喘息は慢性好酸球性気道炎症を本態とする疾患で,慢性期と増悪期の二面性をもつ.適切な管理のためには,慢性期の吸入ステロイドを中心とした抗炎症療法の継続と,突然起こる喘息発作の対応の双方が必要である.有病率が高い疾患であり,プライマリケア医と専門施設,専門医の協力連携が欠かせない.喘息死は吸入ステロイドの普及などにより減少しつつあるが,良好な管理の継続にはアドヒアランス維持の工夫と努力は必要である.喘息患者のアドヒアランス向上と適切な治療の提供,救急時の速やかな管理のために病診連携が必要である.本稿では,病診連携をめぐる今までの歴史,病薬連携,病診連携の現状と今後の展望について概説する.