美術教育
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1993 巻, 267 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 永広 兆子
    1993 年 1993 巻 267 号 p. 1
    発行日: 1993/12/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    春、桜前線の北上にしたがい本校の校庭にも桜が咲いた4月1日、私は今福小学校に赴任した。
    校門をくぐった時、桜の大木が私を迎えてくれた。桜はもうすぐ満開の感を示している。子どもたちの入学式4月9日には満開になってほしいなと心待ちした。聞けば、この校門の桜は毎年入学式ごろが満開だそうである。
    入学式当日は満開の桜の下を新入生がやってくる。親子つれだって桜の木を背景にカメラにおさめている。式後、恒例で桜の木の所で入学の記念写真を撮る。撮り終ると子どもたちは黄色い帽子に散る花びらを追いかけ歓声をあげながら父母と共に校門を出ていく。何ともほほえましい光景があちこちで見られ, 明日からの子どもたちの姿が想像された。
    桜の木ってすごいな、これ一本でも子どもたちにあれだけ感動を与える。その存在の大きさに改めてこの大木を見あげたものである。青い空にやわらかいピンクの色の桜花が何ともいえない色あいで私の目を楽しませてくれた。
    新入生と上級生の対面式をした日、校庭は桜吹雪が舞って、地面は白いジュータンと化した木の下では、子どもたちが帽子に舞う花びらを受けようと駆け回る。その輪が何重にも広がって、新入生と上級生が入り交じって仲よく駆けていた。さらに私を驚かせたのは、その日の夕暮れ、二年生の男の子と母親が学校を訪れたことである。二年生の教室は今年から二階になっている。二階の窓から見る桜は子どもたちには別の視点から見ることになるので、一年生で見あげた時と違う美しさを感じることができ、大変感動したのだろう。「お母さんにも見せてあげたい」といって勤めから帰った母親を案内してやってきたのである。母と子は夕暮れ時から夜桜の鑑賞ということになった。夜桜を愛でる母と子の光景にも心おどらされた。母を連れ出した子ども、子どもの感動を一緒に、子どもの心になって感じてやろうとする母親、一日の勤めの疲れも忘れて母と子が同じ視点で桜を愛でながら語りあって帰った。本校にはこんなにも感性豊かな子どもがいるのかと思うと、私は前途が明るくなると同時に、この美しい感性を大事に育てることの重大さを痛感した。
    現在の子どもには季節感は失われがちで、感性や感受性の喪失を嘆く人がかなりいるが、しかし、この満開の桜の木をみあげながら登校し、また下校時には花吹雪の中を帰っていくこの子らは季節感を体全体で感じとることができる。これほど恵まれた瞬間を持ちあわせている子らは幸せだし、またそういった光景と出会うことになった私自身も幸せだと思う。考えてみると、一本の桜の大木の美しさが、こんなにも人々の心にやきついて美の世界へといざなってくれる一本物の美は、人々に素直に感動を与えるものか一その美の偉大さに驚嘆した。
    子どもたちは新しい学年でその適応に精一杯がんばっているうちに桜の春は通りすぎ, 葉桜の季節を迎え、また、その下で季節感を体中で感じ、個々の感動の扉を開いていく。
    校庭にメロディー流れ子どもらの桜吹雪の中の歓声
    舞い落ちる桜吹雪をあびながら幼ら何を求め歩める
    今、子どもたちは、校内で秋を見っけてノートに書きっけている。この子どもたちの感性の芽を大きく育てていきたいと願って、私も本校教育の一層の充実をめざして、日々はげんでいるところである。
  • 安土 優
    1993 年 1993 巻 267 号 p. 2-8
    発行日: 1993/12/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    生活造形とは生命あるものが生きるにあたって、よりよい環境 (生活空間) を求めて常に活動する。そして「モノ」を造る生活ツールも古代の簡単な道具から今日のハイテク道具まで進化させてきた。人間はもとより草木虫魚に至る生きもの全てが常に動いて様々なものを創り出している。その結果それぞれの生きものも長い時間をかけて少しずつ進化してきたと言える。住居に例をとって言えば人間の建築、ハチやクモの巣の造形、川に住むシジミ貝や魚もまた冬期には暖い藻の茂る浅瀬に住いを移動し、夏期には水の冷い深みに移動している。足のない生きものも常に動いている。草木虫魚から路傍の石に至る自然界の不思議さに人びとは驚き、考え、その現象と実体に迫ろうとして、いろいろな「モノ」をイメージして具現化してきた。人びとの日々の生活をより豊かにする工夫と努力がなされてきた。言いかえれば生活手段としての衣・食・住そして種族の保育とその継承発展のより良いあり方を求めて、さま様なものを創作してきたのである。自然の認識そして過去の作品の味わいと真価を認める姿勢と共に科学的な知識と分析によって、未来に向って新しい造形が開発されるであろうと考えるのである。また科学も造形美術のイマジネイションによって伸展するであろう。
  • 俵 国昭
    1993 年 1993 巻 267 号 p. 9-16
    発行日: 1993/12/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 辻 弘
    1993 年 1993 巻 267 号 p. 17-19
    発行日: 1993/12/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 中村 二柄
    1993 年 1993 巻 267 号 p. 20-23
    発行日: 1993/12/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 楽しい落書き遊びの実践
    松本 みどり
    1993 年 1993 巻 267 号 p. 36-37
    発行日: 1993/12/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 子どもの生活と教師の目 4歳の事例から
    三浦 義行
    1993 年 1993 巻 267 号 p. 38-39
    発行日: 1993/12/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 造形遊びの展開
    角 美幸
    1993 年 1993 巻 267 号 p. 40-41
    発行日: 1993/12/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 後藤 由紀子
    1993 年 1993 巻 267 号 p. 42-43
    発行日: 1993/12/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 今井 ユミ
    1993 年 1993 巻 267 号 p. 44-46
    発行日: 1993/12/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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