芸術科学会論文誌
Online ISSN : 1347-2267
ISSN-L : 1347-2267
10 巻, 3 号
第26回NICOGRAPH論文コンテスト発表論文特集
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
第26回NICOGRAPH論文コンテスト発表論文特集
  • Fumihito Kyota, Eiji Sugisaki, Hock Soon Seah, Masayuki Nakajima
    2011 年 10 巻 3 号 p. 87-97
    発行日: 2011/09/15
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー
    For improving the efficiency of 2D animation production, this paper presents a method to create in-between frames based on hand-drawn key-frames. The outlines of characters or objects on two key-frames are used as inputs. First, a skeleton linkage of the target object is automatically constructed by rasterizing each of input key-frames and then applying a pixel-based skeleton extraction method. Secondary, a pair of skeleton linkages having corresponding structure between the current key-frame and the next key-frame is constructed by applying the stroke matching algorithm. After these processes, motion transitions between the skeleton linkages are generated based on our simulation model. When the in-between frames are created only in the 2D plane, the outlines at in-between frames can be generated by a 2D deformation. In case that the in-between transitions are containing a rotation around an axis which is no perpendicular to the drawing plane, however, a 3D structure is required. For achieving such in-between transitions, our method constructs a 3D structure by inflating 2D mesh based on the input outlines. Finally, the contours from the view-point for the created 3D structure are projected onto the 2D plane during in-between transitions. In our method, we adopt the Photic Extremum Lines (PEL) to extract the 2D contours from the obtained 3D shape. In this way, we achieve the in-between creation containing spatial rotation such as hand-flipping, which has not been achieved by general ways of in-between creation method.
  • 櫻井 快勢, 宮田 一乘
    2011 年 10 巻 3 号 p. 98-106
    発行日: 2011/09/15
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー
    本論文では,異なる大きさの岩石の生成・配置手法を提案する.自然界では,大きさが異なる岩石が地面に無造作に配置されている.これまで提案された岩石の生成・配置手法では,岩石の大きさを制御できないため,大きさの異なりを表現できない.本論文では,この問題を解決する生成・配置手法を提案する.本手法では,岩石の形状を2次元のボロノイセルから生成する.母点間の距離を制御したボロノイ図を複数用意し,各ボロノイ図から指定した数のボロノイセルを選択する.これにより大きさの異なるボロノイセルを得る.このとき,ボロノイセルが重ならないように,排他的にボロノイセルを選択する.母点の配置は,Poisson-disk distribution を用いる.Poisson-disk distribution で用いる円形の排他領域の半径を指定することで母点間の距離を変化させ,セルの大きさを制御する.岩石の3次元形状を生成するために,2次元のボロノイセル内に指定した数の頂点を追加し,ドロネー三角化にてメッシュを生成する.つづいて,追加した頂点に高さ情報を付加し,岩石の3次元形状とする.本手法を用いることで異なる大きさの岩石を表現することができ,写実的な自然景観の表現と制作の効率化に貢献する.
  • 朱 暁宇, Mohdnazir Abdul Hadi Bin, 伊藤 弘樹, 菊池 司
    2011 年 10 巻 3 号 p. 107-117
    発行日: 2011/09/15
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー
    本論文では,大規模な森林景観をコンピュータグラフィクス(CG)で再現する際に重要な要素のひとつとなる「風による樹木の揺れ」を,ユーザが制御できるように生成する手法を提案する. 本手法では,樹木モデル1本分を包含するようにバウンディングボックスを配置し,葉1枚分に相当するサイズでボクセルに分割する.そして,ボクセルを構成する4頂点にパーティクル(ボクセルパーティクル)を配置し,ボクセルパーティクルを 1/f ノイズによって運動させることよってバウンディングボックスを変形させ,樹木のランダムな揺れ(以後,小揺れ)を再現する.さらに,シミュレーション空間に樹木データを複数本配置し,ユーザがスプラインを描画することによりスプラインに沿った風を生成する手法を提案する.この風とボクセルパーティクルとの衝突判定を行うことによって,風の影響による樹木の揺れ(以後,大揺れ)を再現する. 本手法により,大規模な森林景観において樹木が小さくランダムに揺れる小揺れと,ユーザが生成した風の影響による大揺れを表現することが可能となり,ユーザが思い描いたような「風の通り道」が見える,印象的なシーンを生成することができる.
  • ホルロ オユンドルゴ-ル, グンジェー ゾリーグ, ソソラバラム バトゥジャルガル, 千葉 則茂
    2011 年 10 巻 3 号 p. 118-128
    発行日: 2011/09/15
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー
    電子付録
    風工学分野において,問題の取り扱いを容易にするために,1960年代以降,一連の風モデルが提案されてきた.本論文では,この風工学分野で研究されてきた乱流モデルについて述べ,それが風による柔軟物体の様々な揺らぎ運動のコンピュータアニメーションに適用可能であることを示す.まず,実際の風の実測データに基づき,風の理論的側面について述べ,次に風の実測データに基づいて得られた風のモデルによる,単純で視覚効果の高い風の場のシミュレーション法について述べる.最後に,風による草原の揺らぎ(穂波)現象に適用し,提案手法の効率性と有効性を示す.
  • 戀津 魁, 菅野 太介, 三上 浩司, 近藤 邦雄, 金子 満
    2011 年 10 巻 3 号 p. 129-139
    発行日: 2011/09/15
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー
    映像コンテンツの需要は放送媒体の多様化から増加傾向にあり,映像コンテンツ制作に必須となるシナリオの需要も増大している.シナリオは登場人物設定や背景世界設定など多種多様に渡る情報から成り,また映像の長さに応じて膨大な文字数を記述する必要がある.そのため,執筆未経験者にとってシナリオを記述することは難しく,またシナリオライターなどの専門家でも完成シナリオは構造を持たないデータであるため情報を抽出し評価することも難しく,質の高いシナリオ制作のための支援システムが望まれていた.この課題を解決するために,本研究では,シナリオ記述を支援する文書情報管理システムの開発を目的とする.本提案システムに記述するシナリオ文書はデータベースに保存できる.このデータベース機能の特徴は,シナリオの構造の把握ができるため評価が容易であること,映像化の際に必要な情報抽出が可能であることである.本研究では,提案システムの有用性を示すため,大学院の授業及び映像業界の社会人を対象としたセミナーにおいてシナリオ記述実験を行った.これらの実験からシナリオ執筆未経験者は十分な量を持ったシナリオ制作が可能であること,シナリオライターなど専門家は映像制作のために必要な質を持つシナリオ制作ができたことが明らかになった.
  • 村岡 一信, 菊池 淳, 藤本 忠博, 千葉 則茂
    原稿種別: 研究論文
    2011 年 10 巻 3 号 p. 140-147
    発行日: 2011/09/15
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー
    電子付録
    樹木の風による揺らぎのリアルタイムアニメーション法として,著者らは1/fβノイズを葉の動きに,スプリングモデルを枝の動きに用いる手法を提案している.この手法では,葉については自然な印象を受ける動きが表現されているが,枝についてはスプリングモデルのため風下にしなるだけの単純な運動しか表現されない.実際の枝は風下へしなるだけでなく,垂直方向への動きも伴っている.本論文では,自然な印象を受ける枝の動作を表現するため,枝の運動に空気力学を適用したシミュレーション法を提案する.また,シミュレーション例によりその効果を示す.
一般論文
  • 太田 高志, 田中 潤
    原稿種別: 研究論文
    2011 年 10 巻 3 号 p. 148-156
    発行日: 2011/09/15
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー
    電子付録
    多人数が同時に関わることができるインタラクティブなメディア・コンテンツとしてKAON(顔音)を作成した.この作品は,鑑賞者の顔を顔認識技術によりリアルタイムに取り込み,音符へと加工して画面上の楽譜に表示するものである.楽譜は繰り返し演奏されるが,表示されている楽譜は,鑑賞者の顔の位置によって演奏の間にも刻々と変化する.多人数が同時に鑑賞できるようにするため,マルチディスプレイ構成で稼働するような仕組みとした.複数のディスプレイの使用では,単に領域を拡大するだけではなく,合奏への対応など複数の異なる楽譜構成を行うことも可能とした.作品の評価として,画像認識の性能評価を行うと共に,作品内容の評価を展示会における鑑賞者の観察とアンケートにより行 った.本稿では,作品の概要や機能の説明と,評価結果について報告する.
  • 岩淵 勇樹, 秋田 純一, 北川 章夫
    原稿種別: 研究論文
    2011 年 10 巻 3 号 p. 157-166
    発行日: 2011/09/15
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー
    電子付録
    電子楽器の発明以降,音色を生成する方法が数多く考案されている.しかしそれらの多くはパラメータ同士の関係が複雑であり,直感的な音色の操作が困難である.またそれらのパラメータ操作は一次元的であり,近年普及が著しいタッチパッドなどの二次元操作デバイスを有効に利用できていない.本稿では,解析信号と呼ばれる複素平面上の閉曲線図形と音声信号との対応に着目し,閉曲線に対する形状操作等の直接操作によって周期音声信号を変化させる方式による音色の操作方法を提案する.本手法は,既存の音に対する加工によって新しい音色を生成することもできる.また図形と音を対応付けることにより,視覚表現と融合した音楽パフォーマンスへの応用も考えられる.さらに,本手法に地表面軌道合成およびScanned Synthesis の方式を取り入れる拡張により,さらに多様な音色を生成することができる.
  • 薮下 浩子, 伊藤 貴之
    原稿種別: 研究論文
    2011 年 10 巻 3 号 p. 167-178
    発行日: 2011/09/15
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー
    我々は大規模な経路情報の要約可視化手法を提案する.本手法では,類似経路を線分の束として描画することで,類似経路の流量を視覚的に識別することを目的とする.我々の技術は,まず蓄積された経路情報を量子化し,それから経路線分を分類し,最後に線分の束を描画する.また,我々はGUIも実装しており,GUIでパラメータを調節することで集約度も調節可能であるため,様々なタイプのデータをインタラクティブに解析することが可能である.本手法は,動画像からの人物追跡,センサー,シミュレーションによって取得されるような時系列順に記録された連続形式の位置情報であれば,様々な種類の経路情報を可視化できる.本手法の特徴のうちの一つは,はっきりとした通路が存在しない場所において,経路を効果的に可視化できるということである.本論文は,RFIDセンサーによって取得されたデータと,動画像から取得されたデータの,2つのタイプの経路情報に適用することによって,本手法の効果を示す.
  • 井元 麻衣子, 伊藤 貴之
    原稿種別: 研究論文
    2011 年 10 巻 3 号 p. 179-191
    発行日: 2011/09/15
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー
    情報可視化の諸技術の中でも,時系列データの可視化は依然として活発な研究が続いている.時系列データ可視化手法の多くは,時系列データを折れ線で表現している.大規模な時系列データを二次元平面上に可視化すると,線分同士の交差が多くなるため,その観察が困難になる場合が多い.本論文では,大規模な時系列データを大局的にも局所的にも可視化するための,三次元可視化手法を提案する.本手法ではx 軸に時間,y 軸に数値を割り当て,算出した類似度に従って大量の折れ線群をz 軸方向に等間隔に並べて配置する.本手法では,大局的な類似度に従って折れ線群を順列化すると同時に,SAX 法(Symbolic Aggregate approXimation) を適用して局所パターンを抽出する.続いて本手法では,x 軸に時間,y 軸に数値を割り当てた三次元直交座標系を想定し,折れ線群をz 軸方向に等間隔に並べて配置する.本手法では,この折れ線グラフを2 つの視点から表示する.一つ目の視点は,折れ線グラフ群全体を大局的に観察するための,xz 平面に垂直な視点である.ここでは折れ線グラフが表す各値を色で表現し,さらにSAX 法が抽出した局所パターンも重ねて表示する.この視点からの表示において,詳しく観察したい有限本数の折れ線群をユーザが対話的に選択することができる.二つ目の視点は,ユーザが選択した折れ線群を局所的に観察するための,xy 平面に垂直な視点である.本手法で二つの視点を組み合わせながら時系列データを可視化することにより,大規模な時系列データの全体像を眺めながら,興味のある少数の数値群を選択的に注視し,折れ線グラフ同士の相関性を発見することが容易になると考えられる.
  • 渡辺 賢悟, 宮岡 伸一郎
    原稿種別: 研究論文
    2011 年 10 巻 3 号 p. 192-200
    発行日: 2011/09/15
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー
    3Dレーザーミラースキャナは,数百m規模の広がりを持つ3次元空間の物体形状を高精度な3次元点群情報として撮影できる機器で,主に測量や文化遺産のアーカイブなどに用いられている.点群情報は高精度の空間情報を持つが,その他のコンテンツへの積極的な利用が広がっていない.特に点群データを実用的なポリゴン情報に置き換えるのが難しいため,コンテンツ利用が促進されない側面がある.そこで本研究では,点群をポリゴン情報に変換せず点群情報を直接用いることで表現できる新たなコンテンツ表現手法を提案する.特に画家ジョルジュ・スーラの点描画法に注目し,描画特徴の解析を行う.点描画共通の特徴である「筆触分割」「補色対比」,またスーラ独自の「太陽光の点描」などの特徴を分析し,コンテンツに反映することでスーラの点描画の風合いで表現された点描画空間をウォークスルーできるコンテンツの構築を行う.3次元点群情報の新しい利用方法を提示し,その有用性を示す.
  • 坂井 洋右
    原稿種別: 研究論文
    2011 年 10 巻 3 号 p. 201-203
    発行日: 2011/09/15
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー
    ふるえ(生理的振戦)を基に映像•音響をリアルタイムに生成するシステムTremor Refrainを改良し,観客の手 のふるえをビデオカメラでとらえ,画像処理により検出し,サブウーファ•パーライト•LCDを通じて観客の視覚•聴覚•触覚にフィードバックするシステムを開発した.また,当システムを利用したインスタレーション作品を制作し,展示した.
feedback
Top