誰かが後ろにいる時に,何も見えていない,聞こえていないにも関わらず,その誰かの「気配」を感じたことはないだろうか.本研究では,HMD以外の特別な機器や環境を必要とせずに,標準的なHMDの視覚提示機能のみを利用して,気配のような不確実な情報提示手法を新たに提案して,またそのような不確実な情報提示が可能であるかどうか確認する.霊的な感覚を持って気配ということもあるが,ここでは対象とせずに,五感の明瞭な知覚を促すことではなく,何らかの形で無意識に知覚させて存在を認知させることを目的とする.具体的には,例えば左後方の視野外に人が現れた場合に,左側の周辺視野に薄い人型のシルエットを短い時間だけ重畳表示する.体験者による評価を行い,擬似気配提示手法の有効性と,擬似気配としてのシルエット表示の薄さや短さについて検討する.

世界的なニュートリノ観測装置であるスーパーカミオカンデのニュートリノイベントの科学的なデータに基づき,新たな手法による可視化,可聴化を行った.
スーパーカミオカンデの内部をプラネタリウム内に再現した上で,本来は光を受け止める側の光電子増倍管を光らせることで,光子の到達を視覚的に表現した.実際の現象は非常に短時間であるため,2000万分の1のスローモーションとし,位置や強度だけではなく,時間軸での変化をアニメーションで表現した.また,実際の物理現象では発生しない音については,光電子増倍管の高さと音高を関連付け,検出した光の強度を音量に関連づけて発生させた.
プラネタリウム空間において,高度,方位などを合わせた仮想現実的な可視化を行ったこと.データを音に変換する可聴化ではなく,当該現象をデータに基づいた生成音として表現することで現象への理解を深め,全体として芸術的で印象的な体験を構築したことが特色である.
