【目的】脳卒中患者の歩行所要時間に対して, 観察による歩容のどのような点が影響するかを検討することを目的とした.
【対象】装具・補助具の使用を問わず近位監視あるいは自立で20m以上歩行可能な脳卒中患者19名(男性15名, 平均年齢62.74±11.70歳)を対象とした.
【方法】5mの歩行を矢状面・前額面の2方向からデジタルスチルカメラで撮影した. 撮影したカメラ映像から, 5m歩行時間を計測した. 次に, 映像を観察し, 2名の検査者で, 25項目の観察項目で構成された歩容評価表を用いて, 歩容を評価した. 5m歩行時間を従属変数, 歩容評価表の25項目を独立変数としてステップワイズ法による重回帰分析を行った. 有意水準はp=0.05とした.
【結果】 重回帰分析の結果, 麻痺側のクリアランス(標準偏回帰係数b=0.63)と麻痺側遊脚初期(ISw)での外旋(b=0.40)が選択された(p<0.05).
【結語】麻痺側下肢の足底クリアランスが悪く, ISwで下肢の外旋が大きい者は歩行時間の長くなる傾向が明らかとなった.
抄録全体を表示