東北理学療法学
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巻頭言
目次
研究論文
  • -軽症男性患者での検討-
    越後谷 和貴, 須藤 恵理子
    2023 年 35 巻 p. 1-9
    発行日: 2023/08/27
    公開日: 2023/09/06
    ジャーナル 認証あり

    【目的】回復期脳卒中後患者の運動耐容能および栄養状態の変化と関連性を明らかにすることである。

    【対象と方法】入院後4週以内に独歩自立を獲得した脳卒中後男性患者34名を対象に,運動耐容能を Physical Working Capacity (PWC) 75%/kg で,栄養状態を Controlling Nutritional Status (CONUT) score で評価し,入院加療による変化と入退院時における両者の関連を検討した。

    【結果】入院時,退院時の順に PWC75%/kg は 0.79±0.27W/kg,1.02±0.29W/kg と有意に高値を示した(p <0.001)。CONUT score はいずれも中央値で1点と有意差を示さなかったが,正常と判定されたのは19名と18名であった。退院時の PWC75%/kg に影響を与える要因は年齢(β=-0.56,p=0.002)のみで,CONUT score は PWC75%/kg に影響を与えなかった。

    【結語】入院加療により PWC75%/kg は向上し,CONUT score は約半数が正常判定で推移したが,軽症例では CONUT score が PWC75%/kg に及ぼす影響を明らかに出来なかった。

  • 高橋 愛輔, 橘内 駿, 川名 光, 古川 勉寛
    2023 年 35 巻 p. 10-16
    発行日: 2023/08/27
    公開日: 2023/09/06
    ジャーナル 認証あり

    モバイルアプリケーション(以下,App)を用いた膝関節固有感覚検査の信頼性と妥当性を明らかにするために,アナログ式電子角度計とAppを用いた固有感覚検査を実施した。健常成人5名の膝関節部にアナログ式電子角度計を装着し,同時に下腿遠位部にAppを装着した座位姿勢で固有感覚検査を実施した。 固有感覚検査の方法は,検査者が操作した他動的な膝関節運動を検出する threshold to detect passive motion(以下,TDPM法),TDPM法に振動刺激を追加したTDPM振動法,検査者が提示した膝関節角度を対側肢で再現する Joint Position Sense(以下,JPS法)の3つをランダムに3回反復測定した。その結果,検者間信頼性は,TDPM法で高い値が得られた。また,TDPM法とTDPM振動法においてアナログ式電子角度計とAppの測定値に中程度の相関が認められたが,JPS法では弱い相関であった。以上より,Appを用いた膝関節固有感覚検査は,アナログ式電子角度計との妥当性と同等の検者間信頼性を認め,臨床導入を試みるに当たりTDPM法を推奨したいと考えた。

  • -階層的クラスター分析を用いて-
    吉田 司秀子, 川口 徹, 新岡 大和, 工藤 健太郎, 遠藤 陽季
    2023 年 35 巻 p. 17-24
    発行日: 2023/08/27
    公開日: 2023/09/06
    ジャーナル 認証あり

    【目的】在宅復帰に関連する因子は,年齢や日常生活動作,在院日数,認知機能が諸家によって述べられている。本研究の目的は,へき地において,在宅復帰が見込めると判断されたにも関わらず,実際には在宅復帰できなかったケースの基本属性,生活機能,環境要因の特徴を明らかにすることである。

    【方法】へき地医療拠点病院において2018年4月1日から2021年3月31日の3年間にリハビリテーション(以下,リハ)を行った患者を対象に後方視的にデータを収集した。

    【結果】在宅見込み群を,在宅復帰群と非在宅復帰群とで比較した結果,非在宅復帰群の特徴は男性であること,中枢神経疾患であること,要介護3および4であること,リハ初回実施時 FIM-c が低いこと,そして退院時移動能力が低いことが挙げられた。

    【考察】へき地において在宅復帰をするには在宅生活中の生活状況や必要な支援の内容,支援者の特性,好む在宅介護サービスの傾向に関する考慮が必要であるという示唆が得られた。

  • 成田 正行, 上條 正義, 藤原 孝之
    2023 年 35 巻 p. 25-35
    発行日: 2023/08/27
    公開日: 2023/09/06
    ジャーナル 認証あり

    【目的】試作T字杖の握り部の設定位置を変え,理学療法士としての国家資格を有し,杖による歩行介助に関する臨床経験がある方(有群)と国家資格がなく臨床経験が無い方(無群)に分け,杖を突く際の前腕筋群の杖への対応の違いを明らかにして,手関節に疼痛が生じる原因について考察すること。

    【対象】健常人で理学療法士免許有群12名(女性2名)と無群8名(女性0名)とした。

    【方法】研究対象者を2群に分け,変形性膝関節症による免荷歩行を模倣した実験を行い,結果を比較した。握り部の設定位置を変更した時の手関節の状態を評価するために,前腕部の筋活動量と手関節の動揺の計測およびアンケート調査による杖使用感を調査した。

    【結果】免許有群では屈筋群筋総量比が規則的で広範囲に変化し適応範囲の広い統制のとれた対応になり,無群では前腕部での動揺が増加し違和感の発生につながった。

    【結語】握り位置の変更に対し屈筋群筋総量比の結果から筋活動のバランスの獲得に2群間で違いが生じ,無群では動揺が大きいことから手関節の固定が不十分な状況下で杖を使用していることが分かった。

  • 吉田 高幸, 藤澤 宏幸
    2023 年 35 巻 p. 36-43
    発行日: 2023/08/27
    公開日: 2023/09/06
    ジャーナル 認証あり

    【目的】膝立ち位及び立位における連続的な左右重心移動動作の運動学的・力学的な差異を明らかにすること。

    【対象】健常男性10名(年齢:23.4±3.5歳,身長:171.0±5.4cm,体重:65.4±8.8㎏)。

    【方法】測定条件は膝立ち位と立位の2条件に設定した。三次元動作解析装置にて各反射マーカーの座標位置を測定し,体重心位置,左右の股関節外転角度を算出した。表面筋電図を使用して左右の大腿筋膜張筋,中殿筋,大殿筋の筋活動を計測し,姿勢条件間で比較検討した。

    【結果】立位条件と比較し,膝立ち位条件では体重心の側方移動量が大きく,その側方移動はより股関節内・外転運動に依存していた。一方,有意に大きな筋活動を示したのは大殿筋のみに限られた。

    【結語】膝立ち位はより股関節を中心とした運動制御が成されていた。しかし,筋活動の差異は姿勢に依存した慣性モーメントの影響と考えられた。左右重心移動動作を用いた運動療法は,姿勢特異性の影響を考慮する必要がある。

  • 横田 龍, 荻原 久佳
    2023 年 35 巻 p. 44-51
    発行日: 2023/08/27
    公開日: 2023/09/06
    ジャーナル 認証あり

    【目的】Instrumented Timed up & go Test ; iTUGの転倒予測運動機能評価に対する基準関連妥当性を明らかにするため,モーションセンサを使用しiTUGを測定,5相に区分し算出された変数とBerg Balance Scale ; BBS点数の関係性を分析し検証した。

    【対象】宮城県在住の通所リハビリテーションを利用している高齢者25名を対象に計測を実施。

    【方法】第3腰椎レベルに9軸モーションセンサを設置しiTUGを測定した。その後,各相毎に区分し時間変数の算出,加速度変数としてRoot Mean Spuare ; RMSで算出し各変数値とBBS点数との関係性を分析した。統計解析にはSPSS StatisticsVersion25を使用し,有意水準は5%とした。

    【結果】BBSとの相関関係について加速度変数は相関が認められなかったが,時間変数は負の相関を認めた。重回帰分析では,iTUG各相の時間変数はBBS点数値に影響する因子として選択された。

    【結語】iTUG各相時間変数はBBS点数と関係性を認め,転倒予測運動機能評価における基準関連妥当性があることが明らかになった。

  • -身体重心と床反力による解析-
    京野 優美, 木元 稔
    2023 年 35 巻 p. 52-59
    発行日: 2023/08/27
    公開日: 2023/09/06
    ジャーナル 認証あり

    【目的】本研究の目的は,歩行車歩行における停止動作時の運動学・運動力学的特徴を,身体重心と床反力の側面から明らかにすることである。

    【対象】対象者は,健常者11名とした。

    【方法】計測には三次元動作解析装置を用いた。歩行停止条件は,歩行補助具を使用しない通常歩行と,ロレータを使用した歩行車歩行の2条件とした。計測項目は,停止に要する時間(停止時間),床反力の 前後・側方成分,身体重心(center of gravity; COG)と足圧中心(center of pressure; COP)間(以下,COG-COP)の側方距離の最大値,停止時のCOG-COP前後距離とした。

    【結果】歩行車歩行では,通常歩行と比べて停止時間が有意に長く,COG-COP前後距離が有意に高値を示し,床反力側方成分が有意に小さかった。

    【結語】本研究の結果から,通常歩行と比べて歩行車歩行では,歩行車によって支持基底面が前後に広がり,側方の姿勢安定性が得られる一方,歩行停止においては時間を要することが明らかとなった。

その他
  • ~身体と外部環境の知覚に着目した介入の試み~
    相馬 美海
    2023 年 35 巻 p. 60-70
    発行日: 2023/08/27
    公開日: 2023/09/06
    ジャーナル 認証あり

    【目的】当院理学療法開始時よりPusher現象を認め,座位保持困難であったくも膜下出血術後の症例に対し,垂直性の認知的歪みと身体機能の両面を考慮し介入した結果,Pusher現象が改善,座位保持能力が向上したため報告する。

    【対象】発症後の経過で左片麻痺,麻痺側体性感覚鈍麻,非麻痺側筋力低下,右動眼神経麻痺,全般性注意障害を認めた70代女性。

    【方法】垂直性の認知的歪みと麻痺側・非麻痺側の身体機能の改善を図るため,姿勢アライメントや外部環境を調整し感覚入力・統合を促し,身体垂直軸の再学習と左右対称的な姿勢に基づき行う運動のなかで適切な筋活動を促通した。

    【結果】Pusher現象改善,座位保持能力向上に伴い,移乗介助量も軽減した。

    【結語】姿勢アライメントや外部環境の調整により,自己の身体状況に対する気づきが増加した。知覚-運動ループが円滑化され,ボディイメージ・身体図式の再構築により運動学習が効率的になされ,Pusher現象の改善と座位保持能力が向上した。

  • 酒井 尚子, 岩城 吉信, 佐藤 亘, 大戸 紘次, 今野 太陽, 渡辺 智也, 梅木 淳, 堀 星耶
    2023 年 35 巻 p. 71-77
    発行日: 2023/08/27
    公開日: 2023/09/06
    ジャーナル 認証あり

    2021年上期の職場アンケート調査で職場の「評価」に対する満足度が低い傾向だった。個人評価を数値化しフィードバックすることで職員の職場満足度向上に結び付けることができるのか検証したので報告する。対象は当院に2016年から2021年まで在籍していた理学療法士である。それぞれを2016年群・2021年上期群・2021年下期群の3群とした。

    個人評価は,2021年下期群に実施され,自身で採点した自己評価とし,所属上司が他者評価した採点を上司評価の2群とした。

    職場アンケート調査3群間と個人評価2群間を統計解析した。職場アンケート調査の結果は,2021年上期と下期は2016年と比較して職場アンケートの結果は有意に向上した。個人評価の結果は,自己評価が上司評価より低く有意な差があった。職場アンケート調査の結果が向上したのは,2021年度下期に個人評価である自己評価と上司評価を数値で見える化し,フィードバックを実施した事が一つの要因と考える。今回の調査では,個人評価を数値化することで職場満足度を向上させる可能性が示唆された。

  • 2023 年 35 巻 p. 78-99
    発行日: 2023/08/27
    公開日: 2023/09/06
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