【目的】胸椎後縦靱帯骨化症(ossification of the posterior longitudinal ligament;以下,OPLL)を呈した一症例に対して脊髄損傷の歩行予後予測式を用いた。
[症例紹介・経過]症例は47歳男性で,術前60病日より両下肢に症状が出現し,0病日と21病日に手術を施行し,術後63病日に当センター転院となった。
[入院時評価]神経学的残存高位である Neurological Level of Injury(以下,NLI)は Th12,ASIA Impairment scale(以下,AIS)は C,下肢運動スコア(Lower Extremity Motor Score:以下, LEMS)はRt./Lt. =13/10,Spinal Cord Independence Measure(以下,SCIM)は40点であった。予後予測は術後7ヶ月以内の歩行獲得困難と予測された。
[退院時評価]NLI は Th12,AIS は D,LEMS は Rt./Lt. =25/25,SCIM は91点となった。また,本症例は脊髄損傷者の予後予測を上回り,術後140病日に杖なし歩行を獲得し自宅退院となった。
【考察】本症例は脊髄損傷における予後予測式に当てはまらなかった。しかし,本報告は一症例の報告であり,一概に胸椎 OPLL に使用可能かを言及することができないため,更なる研究が必要であると考える。
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