安佐動物公園飼育記録集
Online ISSN : 2759-6567
40 巻
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 川上 裕敏
    2017 年 40 巻 p. 1-6
    発行日: 2017年
    公開日: 2025/01/17
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    広島市安佐動物公園では,1994年9月からコウノトリの飼育を開始した.最初に導入した雄と雌の間では繁殖しなかったため,兵庫県立コウノトリの郷公園と雄同士を交換し,新たなペア形成を試みた.しかし,この雄と雌でも繁殖することは なく,2012年12月,2羽とも死亡した.そこで,2013年11月,コウノトリの郷公園から,すでにペアリングできている個体を新たに導入した.導入して2年目となる2015年6月,2羽の雛が孵化し,成育した.
  • 畑瀬 淳, 川副 まりこ, 鎌田 博
    2017 年 40 巻 p. 7-16
    発行日: 2017年
    公開日: 2025/01/17
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    広島市安佐動物公園と広島市農林水産振興センターは動物公園内に生息する野生のキツネ観察を行なう場を創出するための里山整備を行なった.キツネの繁殖期から子の成長期にあたる春から初夏を除いた時期に伐採などの作業を実施し,観察者とキツネ巣穴の間を見通しよくすることができた.その結果,キツネの繁殖期に整備の影響は感じられず,狙い通りにキツネ親子の観察が可能となった.
  • 市川 彩代子, 野田 亜矢子, 川上 裕敏, 林 臨太郎, 畑瀬 淳
    2017 年 40 巻 p. 17-25
    発行日: 2017年
    公開日: 2025/01/17
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    動物園と学校の連携を目指し,動物園職員と教員が意見交換を行うシンポジウムを開催した.参加教員から,時間的な制約により動物の観察は難しいが,動物園が所有する骨格標本や写真を活用したいという意見を得られた.しかし,教員と共に,動物園活用を目指して学習指導案を作成したワークショップでは,動物の観察を指導内容に含みたいという意見があり,実際の教育現場と理想の指導案との間に齟齬があることが明らかになった.この齟齬を解消するためには,周囲の意識改革が必要であり,今後教員対象のセミナーなどを通じて実践していきたい.
  • 東 加奈子
    2017 年 40 巻 p. 26-31
    発行日: 2017年
    公開日: 2025/01/17
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    広島市安佐動物公園では,2005年からフンボルトペンギンSpheniscus humboldti の飼育を開始し,2016年現在4羽のフンボルトペンギンを飼育している.2005年から2015年までの摂餌量,体重,換羽時期,繁殖行動,既往歴について,データの取りまとめを行った.換羽時期は毎年7月下旬から8月中旬に確認され,摂餌量および体重は換羽開始前に増加し,その後は減少した.また2009年には産卵を伴った一連の繁殖行動が確認された.既往歴については2009年に低ナトリウム血症が確認された.
  • 梅田 拓也
    2017 年 40 巻 p. 32-36
    発行日: 2017年
    公開日: 2025/01/17
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    広島市安佐動物公園では,アフリカタテガミヤマアラシの雄(17歳,愛称ヒロシ)と雌(18歳,愛称サヤカ)の老齢個体2頭を通年同居させながら飼育している.これまでは,体毛の危険性から,定期的な健康診断や細かいケアは困難だった.その課題への対応策として,2013年5月2日から,オペラント条件付けを用いたハズバンダリートレーニングを実施した.誘導トレーニングについては,2頭とも2~3か月程度で誘導が可能になり,積極性も増す傾向にあった.体重測定トレーニングについては,2頭とも79日間のトレーニングで測定に成功した.その後,定期的な測定を継続したところ,季節的な体重の変化が確認された.開口トレーニングについては,2~3か月程度で2頭とも開口の持続が可能になった.前肢チェックトレーニングについては,2頭とも半月~2か月程度で前肢の提示,維持が可能になった.これらのことから,馴致やトレーニングを行なってこなかった老齢のアフリカタテガミヤマアラシでも,ハズバンダリートレーニングによる学習が十分可能であることが分かった.ハズバンダリートレーニングを実施したことで,行動学的保定や定期的な健康診断,データ収集が可能になり,それに加えて,個体が担当者や周囲の環境に対して過度に警戒する頻度も減少した.しかし,比較するデータ等が非常に少ないため,今後も継続したトレーニングの実施によるデータの蓄積が重要である.
  • 野田 亜矢子, 野々上 範之, 渡邉 舞菜弥, 久保 盛恵
    2017 年 40 巻 p. 37-41
    発行日: 2017年
    公開日: 2025/01/17
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    安佐動物公園で飼育していた同腹姉妹の雌ライオン2頭が相次いで乳腺腫瘍に罹患し,死亡した.いずれの症例も骨転移を伴った悪性度の高いものであった.ヒトの悪性乳腺腫瘍ではしばしば骨転移が認められるが,動物での報告は少なく,今後もデータを集め,罹患動物の管理に当たる必要がある.
  • 田口 勇輝
    2017 年 40 巻 p. 42-51
    発行日: 2017年
    公開日: 2025/01/17
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    ホノルル動物園から依頼を受け,第6回世界自然保護会議でオオサンショウウオに関する保全の現状について講演をおこなった.講演では,安佐動物公園の取り組みを紹介した後,本種の生態を概説するとともに保全の現状について10のトピックを紹介した.
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