安佐動物公園飼育記録集
Online ISSN : 2759-6567
42 巻
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 薬師地 康生, 渡邉 久美子, 三谷 久美子
    2019 年 42 巻 p. 1-5
    発行日: 2019年
    公開日: 2025/01/17
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    広島市安佐動物公園では,2001年度からポニー体験乗馬を行っている.2016 年度までの16年間の年度平均は,乗馬の開催回数196回,参加者数7,283人,乗馬の定員に対する参加者数の割合(参加者数÷乗馬の定員×100)を表した参加率は74.0%であった.参加率は,2001年度の66.3%と比べると,2016年度は79.1%に増加しており,また,2007年度以降は,参加率が70%以上で推移していた.入園者数別参加率をみると乗馬開催日の入園者数が2,000人台になると,参加率は約90%に達し,それ以上入園者が増えてもあまり変化がなかった.参加率を午前と午後で比べると,開催日の入園者数が2,000人未満のときは,午後の参加率がわずかに高く,3,000人以上では,午前の参加率が午後の参加率を上回り,入園者数が増えると,さらにその差は広がった.月別参加率は繁忙期が81.7%,閑散期が66.2%と,季節変動がみられた.要改善部分として,乗馬への参加希望者が多くとも,参加率が100%に達しにくいこと,入園者数が3,000人以上になると,午後の参加率が低下すること,閑散期や悪天候時の参加率に向上の余地があることの3 つが挙げられた.その対策として,乗馬券の配布方法,園内放送の内容やタイミング,閑散期の参加者に対する特典や魅力づくり等の検討をこれからの課題としていく.
  • ~特にギフチョウの産卵地への再誘致について~
    鎌田 博, 畑瀬 淳, 川副 まり子
    2019 年 42 巻 p. 6-13
    発行日: 2019年
    公開日: 2025/01/17
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    2015年,広島市安佐動物公園と広島市農林水産振興センターは,協働でギフチョウの産卵誘致や,モリアオガエルの繁殖環境の維持などを目的とした里山整備を行なった.主にギフチョウ幼虫の食草であるサンヨウアオイと,成虫の吸蜜源であるコバノミツバツツジの生育・開花促進のため,樹木の間伐を実施し,明るく開けた林床を創出した.また,モリアオガエル産卵用の樹木を移植し,安定した繁殖環境の創出を試みた.その結果,サンヨウアオイは株,葉ともに大きくなり改善が見られた.しかし,コバノミツバツツジの開花量は少なくギフチョウの産卵も確認できていない.
  • 安西 航
    2019 年 42 巻 p. 14-20
    発行日: 2019年
    公開日: 2025/01/17
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    安佐動物公園で飼育していたオオサンショウウオを用いて,骨格を染色し軟組織を透明化した“透明骨格標本”を作製した.軟骨はアルシアンブルーを用いて青色に,硬骨はアリザリンレッドを用いて赤色に染め分け,軟組織は水酸化カリウム溶液およびグリセリンで透徹した.今回の手法を用いて完成度の高い標本を2個体作ることに成功し,さらに同様の手法で他種の鳥類,爬虫類,両生類でも透明骨格標本を作製できた.染色液や透徹時間などは標本ごとに調整する必要があり,課題はまだ残るが,実用に足る手法だと言える.今後さらに標本数を増やし,企画展での展示や,解説などの教育活動への導入を目指したい.
  • 野々上 範之, 市川 彩代子, 奥山 秀輝
    2019 年 42 巻 p. 22-29
    発行日: 2019年
    公開日: 2025/01/17
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    広島市安佐動物公園における飼料経費の変遷を調べるため,2008年度から2017年度までの飼料経費を分類項目別,品目別にまとめた.調査期間で年間の総飼料経費は4,248万円から5,129万円の間で推移した.経費は乾草,青草・木の葉,ペレットなど多くの項目で増加傾向にあり,一部青果と魚のみ減少していた.飼料経費の変動には単価変動,飼育動物種・頭数の変動,飼育方法の変動が影響しており,そのうち飼育方法による変動はこれまでの記録方法では変化を追いにくいことがわかった.
  • 棚田 晃成, 野田 亜矢子, 野々上 範之, 渡邉 舞菜弥, 久保 盛恵, 南 心司
    2019 年 42 巻 p. 30-33
    発行日: 2019年
    公開日: 2025/01/17
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    塩酸エトルフィン(M99®)は,動物園で飼育している中型・大型草食獣の不動化に有効な薬剤である.しかし,塩酸エトルフィンを研究使用している園館では,1回の使用量や使用頻度の少なさから,使用期限内に使い切ることができず,使用期限を過ぎたあとにも使用することが多い.今回,当園におけるグラントシマウマを対象とした塩酸エトルフィンの麻酔実験において,使用期限後の使用による麻酔効果の変化について検討した.使用期限後の使用により,塩酸エトルフィンの麻酔効果の変化は認められなかったが,副作用の発生が増加する可能性が示された.
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