FISCHER に始まった混血集団の研究は,インドでは MAHALANOBIS により遂行されたが,最近はその進展がみられていない。著者は,イギリス人を中心にポルトガルなどの欧州人とインド人との混血者を祖先とし,その後,おおむね四世代にわたる相互通婚により形成された集団を対象として各種の調査を行なった(参考文献参照)。ここでは,男女の生体計測が取扱われている。
この結果は集計され,表1~11に示されている。又,関係人種との比較は表12と図1に示されている。色調は大きな変異を示しているが,中央値はインド人の変異内にあり,ヨーロッパ人の変異と重なっている。計測値で注目すべきことは,性差が特に大きいことである。各項目とも一般に両母人種の値のインド人に近い所にその数値がみられる(顔長•顔幅•頬骨幅•鼻幅顔示数など)が,身長はヨーロッパ人に近い。また興味あることには,形態学的顔高,鼻示数,顔示数に,先ドラビダ的なベツダ要素に近似したものをみることができる。
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