人類學雜誌
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81 巻, 4 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 増井 憲一, 西邨 顕達, 大沢 秀行, 杉山 幸丸
    1973 年 81 巻 4 号 p. 236-248
    発行日: 1973/12/01
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    高崎山生息のニホンザル群は1953年餌付けされ,3回の群れ分裂を重ねて4群に増加した。最後の分裂群は除去されたが,残りのA•B•C各群は,880-900,250-260,250-260頭と,いずれもこれまで知られているヒト以外の霊長類の最大の群れとなった。個体数は220頭から1400頭に増加し,現在もなお直線的な増加を続けている.このような状態におけるニホンザルのポピュレーション•センサスの方法と,1970-1972年の調査結果をこの報告の主題とする.今後,継続調査の進行につれて,個体群の動態を人口学的に検討してゆく.
  • 許 承貴, 高 橋恵
    1973 年 81 巻 4 号 p. 249-259
    発行日: 1973/12/01
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    一山間地方の三つの小•中学校生徒の聴覚刺激に対する発声および叩打の反応時を調査し,その分布型から,山間児童の身心機能が,小学校1~3学年,さらに小学校5~中学校1学年へと大きく発達することが推定された.また,都市児童に比し,山間児童の身心機能が小学生時遅れて発達することが明らかとなった.これは,外部からの人為的刺激の少い居住環境の影響の表われと考えられた.この場合女子の発達の遅れがより大であった.
  • P. Dash SHARMA, Bhagirath SAHU
    1973 年 81 巻 4 号 p. 260-267
    発行日: 1973/12/01
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    インド,ランキに居住する150名のオラオン族男子学生の指紋,掌紋,中•基指節紋のデータを集め,CUMMINS and MIDLO(1961)の方法によって分析した.その結果,以下の結論を得た.
    1.指紋については,whorls:100ps_??_60:40であり,ドラヴィダ語族一般に見られる結果と同じであった.
    2.掌紋については,main line DおよびAは,通常の左右差がみられ,左手に比べて右手に, ridgesの横断配列がみられる.
    3.指節紋については,基指節よりも中指節において,複合型の頻度が高かった.
    4.hookは,基指節が中指節の約3倍, angleは,中指節が基指節の約10倍頻度が高かった.
  • 酒井 琢朗, 花村 肇, 大野 紀和, 大場 芳宏
    1973 年 81 巻 4 号 p. 268-276
    発行日: 1973/12/01
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    アフガニスタンに住むPashtunとTajikの上•下顎第1切歯間の垂直的被蓋と水平的被蓋,上•下顎第1大臼歯間の近遠心的咬合関係,上•下顎第1切歯歯冠傾斜角度について日本人の値と比較した.資料は石膏模型である.その結果,1) Pashtunの垂直的被蓋はTajikと日本人のそれより小さく人種差が見られる. 2)上顎第1切歯切縁中点から計測したPashtunとTajikの水平的被蓋は日本人のそれより小さい. 3) PashtunとTajikにおけるAngle分類第1級の出現率は日本人のそれより高墾であり, 逆に第3級は低率である. 4)PashtunとTajik上顎第1切歯歯冠は咬合平面に対し日本人の歯冠より直立している. 5)各計測項目間にはかなりの相関関係が見られる.
  • 西田 正規
    1973 年 81 巻 4 号 p. 277-285
    発行日: 1973/12/01
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    遺跡から出土する木炭片からその樹種を同定する試みを行った.これを木炭分析とよぶことにする.これによって遺跡周辺の植生と当時の人々の生活を復元するための資料の一つとして利用できることが明らかになった.
    木炭試料は京都府桑飼下遺跡出土のものでこの遺跡は縄文後期中葉のものと判定されている.
    樹種同定法は,多数出土した木炭片から任意に選んだ100個の木炭片をミクロトームで切り切片プレパラートにして細胞構造を顕微鏡観察することによった.これは木材は炭化した後にも,その細胞構造の空間的配置がほとんど変っていないことが判明したからである,この研究の結果を要約すると.
    1.100個の標本中,切片作成不可能のもの5個,細胞構造が著しく壊されていたもの14個で,残る81個は同定可能であった.
    2.81個中,種名の確認ができたものは52個で15種,属名までの確認ができたものは27個で4属であった.2個は針葉樹とのみ確認できた.(表1)
    3.この中ではアカガシ亜属(Cyclobalanopsis)がもっとも多く20個,クリ(Castanea crenata)が13個,オニグルミ(Juglans mandshurica),ケヤキ(Zelkova serrata) の順である.
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