人類學雜誌
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82 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 木村 邦彦, 大森 信子
    1974 年 82 巻 2 号 p. 115-127
    発行日: 1974/08/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    木村 (1971) の改良したcollfomateurを用いて1973年に東京で調査された, 7~15歳の男152名, 女140名の外脊柱弯曲の資料から次のような知見がえられた。各部弯曲が互いに重複しない長所をも含めて, inion, cervicale, 第12胸椎棘突起とJCOBY線の高さの4点が各部弯曲の基準点として適していると思われた。弯曲の最深点の円周角と弦長に対する弦高の指数の2弯曲分析法は1%の危険率で有意な相関を示した。胸部弯曲の年齢的変化はPoles (WOLASKI, 1964) の成績によく一致した。各部脊柱弯曲の年齢的変化からは6歳前の幼年期, 7~12歳の少年期と13歳以後の青年期が区別された。少なくとも男の青年期の開始はPolesよりも約1年早いようである。
  • 埴原 和郎
    1974 年 82 巻 2 号 p. 128-134
    発行日: 1974/08/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    歯冠の計測値はいずれも相互に高い相関を示し, 各個体, あるいは各集団の変異を客観的に要約することは困難である (Table 1) 。しかし一般に, 近隣の歯の間では相関が高く, 遠くなるにしたがって相関が低くなる傾向があり, このことから, 何らかの潜存的因子の存在が予想される。このような観点から, 今回はまず, 歯数の少ない乳歯列について, その歯冠近遠心径に関する因子分析を試みた。
    分析の第1段階として, 日本人およびオーストラリア原住民のデータに, べつべつに因子分析をほどこした。その結果, これら2集団の間には, 歯の大きさならびに歯冠形態にかなり大きい差がみられるにもかかわらず同じような因子が抽出された°これは, 因子分析の結果に再現性のあることを証明するものと考えられる。
    抽出された因子は, 1) 全体の大きさに関する因子 (いわゆるsize factor), 2) 前歯と後歯の大きさを対比する因子(いわゆるshape factor), 3) とくに乳犬歯の大きさに関与する因子が主たるもので, これら3因子の全体に対する寄与率は日本人で約75%, オーストラリア原住民で約82%である (Table 2) 。
    第2段階として, 因子負荷量 (各因子と変量との相関係数, Table 3) より, 白人およびピマ・インディアンを含む4集団 (各男性15個体) について因子得点を計算した (Table 5) 。それらの平均値によって各集団の特徴を比較すると, 次のように要約される。1) 日本人の乳歯は全体として中等度の大きさであるが, 乳臼歯が比較的大きく, 乳犬歯は相対的に小さい。2) 白人の乳歯は全体として小さく (4集団中最小), とくに乳臼歯の小さいことが目立つ。乳犬歯の相対的大きさは中等度である。3) ピマ〃インディアンは全体としてかなり大きい乳歯をもち, 乳切歯および乳犬歯が比較的大きい。4) オーストラリア原住民の乳歯は全体としてもっとも大きく, とくに乳臼歯が大きいが, 乳犬歯は相対的に中等度の大きさで, その比例は白人とほとんど等しい。
    以上のように, 因子分析の結果から, 乳歯の大きさに関する特徴をかなり明瞭に比較できることがわかった。もちろん, この報告は予報的なものであり, 今後は永久歯を含めて, さらに詳細な分析を行なう必要がある。
  • 石垣島における血液型抗原の分布
    三沢 章吾, 大野 紀子, 石本 剛一, 尾本 恵市
    1974 年 82 巻 2 号 p. 135-143
    発行日: 1974/08/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    沖縄県石垣島において得られた869名の血液試料について, ABO式, MNSs式, Rh式, Q式, Lewis式, Duffy式, Kell式, Kidd式, Diego式の9種類の血液型を検査した。
    いくつかの分布の特徴を挙げると, ABO式ではO遺伝子頻度が比較的高く, MNSs式血液型の分布は本土日本人のそれとは異なるようであった。Rh陰性頻度は1.04%であり, 本土日本人とアイヌとの中間の値を示した。Jka遺伝子頻度は0.1977とかなり低く, Di(a+)型は6.45%であった。
    集団間の遺伝的距離を算出すると, 石垣島住民は本土日本人に対してより, 那覇・宮古住民により近く, 那覇・宮古住民は石垣島住民より, 本土日本人に近いという結果を得た。
  • 石垣島における血球酵素GPTおよびGOT型の分布
    石本 剛一, 鍬田 美江子, 三沢 章吾, 尾本 恵市
    1974 年 82 巻 2 号 p. 144-149
    発行日: 1974年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    九学会連合沖縄調査の一環として沖縄住民の遺伝的構成を知ることを目的に, 血液成分の遺伝形質の調査を企てた。
    本論文には沖縄県石垣島において得られた765名の血液試料について, 赤血球酵素GPTおよびGOT表現型を検査した結果が述べられている。
    GPT型では通常の3種表現が観察されたが, えられた遺伝子頻度Gpt1=0.535, Gpt2-0.465はこれまでの他の日本人集団の結果よりGpt1は最も低くGpt2は最も高い値であった。との特異な遺伝子分布について若干の考察が加えられでいる。GOT型は2種表現型.GOT1とGOT2-1のみが観察された。他の日本人集団の結果と比較するとGot2遺伝子頻度には差異を認めないが, Got3遺伝子のみられないのが特徴的であった。
  • 池田 次郎
    1974 年 82 巻 2 号 p. 150-160
    発行日: 1974/08/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    沖縄・宮古島島尻地区長墓で調査した現代人頭骨 (下顎骨を除く) 男性85例, 女性48例の計測値を示し, 琉球諸島, 本州・九州各地方人頭骨および周辺諸種族頭骨と比較した結果, 宮古人頭骨は, 本州・九州地方型と同一集団に属しながら独自の特徴を示すことを明らかにし, その特徴について南方種族, アイヌとの関連において考察した。
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