人類學雜誌
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84 巻, 2 号
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  • 石井 勝
    1976 年 84 巻 2 号 p. 93-104
    発行日: 1976/06/30
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    5名の青年男子被験者につき,100°C,20°C,25°C,28°C,2時間の曝露実験を行い,平均皮膚温(TS),産熱量(M),直腸温(TR),筋電図の測定を行った。それらの対寒反応について,いくつかの既存の民族グループの結果との比較が行われ,相違が指摘された。以上の結果から,耐寒性の指標の1つとみなされる(ΔM/ΔTs)について検討された。既存の日本人グループとの比較では,実験方法の差による影響が示唆された。白人グループとの比較では,殆ど同じ値を得たが,対寒反応の相違が議論された。10wer critical temperature については,既存の各民族グループより低い値を得たが,実験方法の相違と,寒冷適応性の関連において議論された。
  • 佐藤 陽彦
    1976 年 84 巻 2 号 p. 105-113
    発行日: 1976/06/30
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    表面筋電図のパワースペクトルの変動をみるために,等尺性収縮時の上腕二頭筋の双極表面筋電図の自己相関関数をフーリエ変換して,そのパワースペクトルを6~192Hz の周波数成分にわたって求めた。
    いくらかの個人内および個人間変動はあるものの,上腕二頭筋の筋電図パワースペクトルはかなり一定したパターンを示した。右と左の上腕二頭筋の筋電図パワースペクトルの相違は個人間変動の幅のなかにはいった。収縮強度あるいは筋長を変化させても,筋電図パワースペクトルは一定の変化を示さなかった。以上のことから,電極条件を一定にすれば,少なくとも上腕二頭筋の双極表面筋電図のパワースペクトルは,被験者,左右,収縮強度あるいは筋長とかかわりなく,かなり一定したパターンを示すと考えられる。
  • 志水 巌, 橋本 昭夫, 大中 忠勝, 楢木 暢雄, 高崎 裕治, 山崎 昌広
    1976 年 84 巻 2 号 p. 114-120
    発行日: 1976/06/30
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    室温25°C(R.H.50%)の条件で長期筋作業が酸素摂取量と心拍数及び両者の関係に及ぼす影響について研究した。自転車エルゴメーターで4強度の負荷を1時間課し,その前後に,2強度の作業を7分間ずつ負荷した。換気量,酸素摂取量,心拍数,直腸温を7分間作業時に測定した。その結果,最大酸素摂取量の50%以上の1時間作業後に引続いて負荷した作業時の酸素摂取量と心拍数はともに有意に増加し,酸素摂取量の心拍数に対する回帰直線は有意に右偏した。この結果を高温作業と比較考察した。
  • 佐藤 方彦, 坂手 照憲, 高崎 裕治
    1976 年 84 巻 2 号 p. 121-130
    発行日: 1976/06/30
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    ÅSTRAND & RYHMINGの最大酸素摂取量推定ノモグラムを,最大酸素摂取量の相異なる2群の被検者を用いて,気温20°C,30°C,40°Cの条件下で検討した。また,1群の成績より上記気温条件で使用しうるノモグラムを試作し,他の1群を加えて推定成績を検討した。試作ノモグラムがÅSTRAND & RYHMINGのそれにまさる原因について考察するとともに,ノモグラム作成上の問題やPWC170との比較についても論じた。
  • 鹿間 時夫, 林 朝〓, 下田 信男, 馬場 悠男
    1976 年 84 巻 2 号 p. 131-138
    発行日: 1976/06/30
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    右および左頭頂骨片が台湾左鎮郷菜寮渓の河原から発見された。化石化や磨耗の程度から,台湾層(中期沖積世)と崎頂層(ヴィラフランカ階)にはさまれた礫層に由来すると考えられる。
    右頭頂骨片は,矢状縫合が閉鎖せず,中硬膜動脈溝が浅く,上側頭線も弱い,また厚径も比較的小さい(4.1~5.6mm)ことなどから,若い個体のものと推測される(Fig.1,2, Table 1,2)。
    左頭頂骨片は,中硬膜動脈溝が比較的深く,上側頭線が顕著であり,厚径も右頭頂骨片より大きい(4.9~6.5mm)ことなどから,成熟した個体のものと推測される(Fig.3,4, Table 3)。この骨片の表面には,多数の鋭い条痕が見られ,人工的に形成された可能性が高い(Fig.6)。
    両骨片の形態学的特徴は,縄文時代あるいは現代日本人と本質的に差異がない。従ってこれらはHomo sapi ens sapiensに属すると考えられる。
    右頭頂骨片のフッ素およびフンガンの含有量から推定された年代は,約二万年前から三万年前である(Fig.7,8)
  • 北條 暉幸
    1976 年 84 巻 2 号 p. 139-146
    発行日: 1976/06/30
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    The author made a comparative anatomical identification of a humerus of the dugong excavated from Urasoe shellmound with Ichiki type potteries (late Jomon period) in Okinawa island. The specimen, weighing 460 g, is 195 mm long and is calcified to a little extent. In close to a big head are a short neck and two tubercles-a greater and a lesser. There is a long, narrow and shallow intertubercular groove. It has a long deltoid crest and a spiral groove of the radial nerve. In the posterior aspect there is a shallow olecranon fossa. In South Sea Islands, for instance, the Palau islands, atlases of the sea mammals have been generally used for personal ornaments. But it still remains undetermined whether this specimen was used for personal ornaments or not.
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