人類學雜誌
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87 巻, 2 号
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  • III.答志島における多型性形質の分布
    豊増 翼, 片山 一道
    1979 年 87 巻 2 号 p. 71-76
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    初報および第II報に報告した神島集団との比較を目的として,近隣集団として選んだ答志島在住二集団(答志および桃取)における血液多型性形質の分布を調査したので,その成績を報告した。血液試料は答志より約850,桃取より約550を得た。
    答志島は三重県本土と神島の中間に位置するが,神島と答志島におけるHBs抗原亜型の分布が異なることから二島間の交流が疎遠であることは予測されていた。結果の示すところでは,多型を示す形質の分布は,二島間のみならず,陸路の欠除によってたがいに交流の少い,答志島二集団間においても,また三重県本土との比較においても,それぞれ不均質であることが確認された。
    この不均質な分布は,神島,答志,桃取そして三重県本土を加えた四集団間の近縁関係を統計学的に類推する基礎的資料となり,次報に詳細に検討されるが,ここでは単に,この地域における隔離,移住,ランダム•ドリフトなどの小進化の過程が反映されたものと考えた。
  • 平沢 彌一郎
    1979 年 87 巻 2 号 p. 77-79
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
  • 平沢 彌一郎
    1979 年 87 巻 2 号 p. 81-92
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    日本人の2才から96才までの正常男子2,517名,女子2,273名について,直立姿勢の安定保持能力を,地球の重力に抗する physica lrelation としてCSFS (ContactSurface of Foot Sole 接地足蹠面積)とEGG (Electrogravitiogram重心図)から解折した。
    1. 直立能力は発達期(0才~19才),充実期(20才~49才),衰退期(50才以後)に分けられた。
    2. 直立能力に性差•地域差を認めた。
    3. 直立姿勢には,左足支持,右足補助という laterality の存在を認めた。
    4. 両足を揃えた直立姿勢時の重心位置は,加令と共に前方に移行し成人では年令に関係なく踵から47%周辺にあることを認めた。
  • 山内 公雄
    1979 年 87 巻 2 号 p. 93-98
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    平面上の直立位から,activeに自ら体を傾けた場合と,goniometerの斜面上で,Passiveに起立位をした場合の,形態学的考察として,接地足蹠面積を分析し,2•3の知見を報告した。
    (1)直立能力の評価に,接地足礁の変化による復元能力は,重要な criterion の一つと考える。
    (2)active 条件,passive 条件ともに,足指と足底中部の変動が顕著で,直立位保持の調節機構の因子として,有機的にはたらくことを示す。
    (3)active 条件と passive 条件を比較すると,総体的に active 条件での立位のCSFSの方が大きい。
    (4)前傾,後傾では,active 条件,passive 条件ともに左右差があり,接地足蹠の形態面からも,1aterality が存在することを示す。
  • 稲村 欣作
    1979 年 87 巻 2 号 p. 99-106
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    正常成人男子1名について,直立時の重心と身体各部位の動揺を同時測定し,その相互関係を周波数分析により検討した。本研究での被験者の場合,その結果は次の通りであつた。
    1)開眼時閉眼時の重心動揺と身体各部位につけたターゲットの動揺には,閉眼時重心動揺の前後方向を除き,0.2Hz近辺の周波数成分が主成分として含まれていた。
    2)これらの成分は,互いに同位相の相互相関をもち,身体部位によっては位相差をもつものもあった。
    3)閉眼すると,前後方向におけるこの成分のパワーは,重心動揺ターゲット動揺ともに減少する傾向にあった。
  • 村松 常司, 中川 武夫, 小林 章雄, 金田 誠一, 棚橋 昌子, 山中 克己
    1979 年 87 巻 2 号 p. 107-112
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    名古屋市内M保健所において通常行われている3才児健康診査の項目に重心動揺計による検査を加え,3才児の重心動揺の測定を行った結果以下の様な成績を得た。
    1)重心動揺計による3才児の検査では約半数の者が検査を完了することができ,その割合は男子より女子の方が高かった。
    2)重心動揺面積ならびに重心動揺距離において開眼,閉眼とも性差が認められ女子の方が小さい値を示した。
    3)重心動揺面積ならびに重心動揺距離の分布は男女とも近似的に対数正規分布を示している。
  • a
    富田 守
    1979 年 87 巻 2 号 p. 113-118
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    水平方向および垂直方向の随意的または受動的姿勢変化を生体負荷として与えた時の主として下肢筋の活動様式を表面筋電図により観察した。直立姿勢を維持するのに働く主要な筋活動は動揺を阻止ないし補正するようなものであると考えられる。
  • 佐藤 陽彦
    1979 年 87 巻 2 号 p. 119-123
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    15名の大学生に足の位置不動の立位姿勢で30分間追跡トラッキング作業を行わせ,重心線の位置,下腿筋の筋電図,心拍数,作業成績を連続記録した。重心線が作業中最後まで両足の中央付近に位置する人と,途中から左右の足への重心線の移動がみられる人がいた。作業中の心拍数は全体的には増加の傾向を示したが,この傾向は重心線の移動が少ない人で著しく,重心線の移動が比較的よくみられる時には心拍数は一定のレベルを保つか幾分減少した。下肢筋の収縮による筋ポンプの働きと関連した重心線の移動と心拍数との関係は,立位姿勢保持における静脈還流の不利に対する補償機構を反映していると考えられる。
  • 谷井 克則
    1979 年 87 巻 2 号 p. 124-129
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    注意力をかなり必要とする60分間の反復検索作業を立位でおこなわせ,その際の姿勢および身体の動きを観察によって調べた。
    立位姿勢は疲れの発展とともに変化し,60分中に7種類の立位姿勢が観察された。37分目までの立位姿勢は,自然立位姿勢および両腕を垂直に伸ばし,左足または右足を斜め前に出しての一足支持姿勢であり,足の疲れが全身へ波及しはじめた37分以降の立位姿勢は左右どちらかの手を腰においた一足支持姿勢であった。前半30分と後半30分の身体の動きの頻度は,それぞれ67回および126回であった。
    これから,その時々の姿勢および身体の動き数は疲れの程度をよく説明してくれると思われる。
  • 小木 和孝
    1979 年 87 巻 2 号 p. 130-134
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    実生活中の姿勢保持では自発行動として内発してくる姿勢転換が重要と考えられるので,長時間立位ないし坐位を保持して連続作業を行ったときの姿勢転換のおこり方について検討を行った。長時間の連続緊張事態における1~数分間隔の姿勢転換の変動パターンをみるため,いす坐位で数値点検作業を行わせると,決して一様な推移をとらず,短期的変化の上に,作業経過にしたがっておこる大きな増減の波が重なっていた。印刷作業者の連続立位作業中の姿勢転換も職種により異なり,とくに固定位置の立位で姿勢保持の疲労に対応して補償的に増加していたほか,それ以外の複合的な要因がからんでいた。行動課題や姿勢条件の差のほか長時間にわたる中枢機能状態の変化などを含めて論じていく必要があろう。
  • 早弓 惇
    1979 年 87 巻 2 号 p. 135-140
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    女子体育大学生において,呼吸周期を4ないし12秒の間で規定したときの,呼吸性心拍数変動RSAの振幅を,立位と臥位とについて比較した。1回換気量は,呼吸周期の延長につれてほぼ直線的に増加し,姿勢による差はなかった。
    RSAの振幅を瞬時心拍数の変化として表わすと,短周期呼吸では臥位で大きく,長周期呼吸では逆に立位で大きかった。これは心拍数レベルの差によるみかけのちがいを含むが,1回換気量に対するRSA振幅の回帰の勾配が,立位で大きい傾向のあることも一部関与するとみられる。振幅を心拍間隔の変動でみると,長周期呼吸では姿勢差がなく,その平均心拍間隔に対する比率をとると姿勢差はさらに小さかった。
  • 佐藤 方彦, 高崎 裕治
    1979 年 87 巻 2 号 p. 141-145
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    10種の基本的姿勢を維持している際の酸素摂取量と心拍数の性差について気温効果への配慮のもとに検討した。同じ姿勢を維持している際の両項目には明らかに性差が存在し,同一気温下では,酸素摂取量は男性が,心拍数は女性が,それぞれ,高い値を示した。10姿勢にわたって求められた酸素摂取量に対する心拍数の回帰の性差は常温でのみ有意であり,高温ではその性差が消失することが認められた。
  • 勝浦 哲夫
    1979 年 87 巻 2 号 p. 146-152
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    12名の男子学生を被検者とし,20°C, 30°C, および40°Cの各気温条件下で,仰臥,胡坐,踵鋸,筒坐,前屈立位,浅屈膝中腰,弛緩型直立の7姿勢維持中の心拍出量をCO2再呼吸法によって測定した。心拍出量は姿勢因子によって有意(P<0.005)に影響され,酸素摂取量の相違によって修正した各姿勢の修正心拍出量は概して投影高の高い姿勢程低い傾向が認められた。心拍出量に気温因子の系統的な主効果は認められず,心拍出量一酸素摂取量関係にも気温による相違は認められなかった。安静時心拍出量を推定するために姿勢および気温条件を考慮に加えた重回帰式を試作し,検討した。
  • 石井 勝
    1979 年 87 巻 2 号 p. 153-156
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    尿量と尿組成に影響を及ぼす要因として,立位•臥位による姿勢変化,昼•夜による時刻差,運動の有無による差の3因子を設定し,要因実験を組んだ。測定項目に尿量,尿比重,尿pH,尿温,及び5種の尿中コルチコイド排泄量を選んだ。立位,夜間における尿量の減少の他,尿pHに対して姿勢,姿勢と運動の交互作用及び日内変動と運動の交互作用が,尿温に対して日内変動が,数種のコルチコイド排泄量に対して日内変動及び姿勢と運動の交互作用が有意な影響を示した。これらの結果を立位時の下肢への血液貯留,日内変動機構との関連から検討した。
  • Parkinson 病の Frozen gait に対する重心動揺を指標とした一考察
    大久保 仁, 渡辺 〓, 小高 修司, 松本 勲, 池園 悦太郎
    1979 年 87 巻 2 号 p. 157-163
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    Parkinson 病の歩行障害としてすくみ足(Frozen gait)現象がある。此の現象は振戦による筋の強剛がその一因と考えられる。即ち重心図などから観察すると6~7Hz近辺の振戦の power spectrum を得る。実験的に下肢筋の電気刺戟を行い筋の強剛を作るとやはり自動制御的機構の抑制が5Hz~7Hz刺戟で起る。これは中枢からのFeedforward する情報が freezing される状態で Parkinson 病のすくみ足現象もこの辺りに1因があると考えられた。
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