Anthropological Science (Japanese Series)
Online ISSN : 1348-8813
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107 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 自然史から健康を視る
    岡田 守彦
    1999 年 107 巻 2 号 p. 103-104
    発行日: 1999年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
  • 井上 直彦
    1999 年 107 巻 2 号 p. 105-119
    発行日: 1999年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
  • とくに体脂肪分布に着目して
    服部 恒明
    1999 年 107 巻 2 号 p. 121-128
    発行日: 1999年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
  • GSTM1, ALDH2 および CCK 遺伝的多型を例にして
    原田 勝二
    1999 年 107 巻 2 号 p. 129-143
    発行日: 1999年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    Glutathione S-transferase (GST) は多くの分子種からなり, 各遺伝子のいくつかは遺伝的多型を示し, 民族•人種により遺伝子頻度が異なるデータが報告されている。GST 分子種のうびGSTM1 は2種の対立遺伝子 (A, B) のほか, gene deletion (O) が多型として, どの人種からも検出される。GSTM1 は発癌性の強いベンツピレンのエポキシド化合物などをグルタチオン抱合により解毒する機能を持つ酵素である。大気汚染物質, タバコ, 工業廃棄物の中には発癌性物質が含まれる。これまでの研究でび GSTM1 gene deletion は肺癌の遺伝的ハイリスク因子となっている。
    北海道から沖縄まで, 各県ごとに合計5,000名以上の日本人を対象にALDH2*2遺伝子頻度を調査した。秋田, 山形, 青森の東北地方, 鹿児島, 沖縄の南九州地方や四国南部ではALDH2*2遺伝子頻度が他県に比べ低く, そのためアルコール消費量は高くなっている。逆に, 中部地方, 近畿地方ではALDH2*2遺伝子頻度が高く, アルコール消費量は低い。しかもALDH2*2遺伝子は中部地方を最高に東西に向かうにつれて低くなっている。別な表現をすれば, び紀質のあるALDH2*1遺伝子頻度は中部地方が最も低く, そこから距離的に遠ざかるにつれて高くなっているのである。ALDH2 からみても日本人の2重構造の一端がうかがえる。
    Cholecystokinin (CCK) gene の遺伝子型は, 男性についてび CC 型びTridimentional Personality Questionnaire (TPQ) のうち, Noverty Seeking (NS) の無秩序の項目で高得点を示し, 特びHarm Avoidance (HA) の不確実性および易疲労性の項目びCC 型びCT, TT 型より低い得点を示した。また, 男性び CCK genotype と末梢血中びCCK ペプチド濃度は相関し, CC 型びCT, TT 型より有意に高い値を示しび(p<0.001)。女性に関しては有意差が見られなかった。CCK promoter 領域びSp1 cis-element の変異びCCK濃度に男性では影響を与えるらしい。中枢神経系におけるこの濃度差び椀Dopamine との相互作用の違いを反映し, TPQ びの得点差と関連する可能性を示唆する。
  • 途上国に焦点をあてた生態学的検討
    大塚 柳太郎
    1999 年 107 巻 2 号 p. 145-153
    発行日: 1999年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    人口転換は先進国では終了したが, 途上国ではさまざまなレベルで現在進行である。1973年, 1983年, 1993年における普通死亡率と普通出生率を, 世界の10地域別に比較すると, アフリカで人口転換の進行度がもっとも遅いこと, 西アジアと東南アジアでは出生率の低下度合が前半の10年間に比較し後半の10年間で鈍化したことが見出された。一方, 著者が調査したパプアニューギニアのギデラ集団では, 近代化の影響で顕著な死亡率低下と出生率上昇がおこり, 人口増加率が著しく上昇していることが認められた。人類学的集団における人口分析は, ヘルスサイエンスと人類学の視点が必要で, 地球人口問題の理解にも関連し, ますます重要になると考えられる。
  • 形態計測値とDXA法による骨密度測定について
    鈴木 隆雄, 大竹 尚人, 谷畑 美帆
    1999 年 107 巻 2 号 p. 155-164
    発行日: 1999年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    脊椎における骨粗鬆症あるいは骨量減少は, 変形性脊椎症とならんで骨の老化を代表する疾病と考えることが可能である。この両者は, しかし環境や生活習慣の変遷に伴い, 顕著な時代的変遷が存在する。本研究では, これまで多くの制約条件の存在から診断の困難であった古人骨における骨粗鬆症に対し, 近年臨床的汎用性の有効性の確認されている二重エネルギーX線骨吸収法 (DXA法) を用いて脊椎における骨密度を測定し, 本症の診断に役立てることを目的とした研究を行った。その結果, DXA法による腰椎骨密度は, 形態計測から算出された立方骨密度と高い相関を示し, また変形性脊椎症の存在とは独立に, 真の椎体内骨密度を測定することが可能であり, 古人骨への応用が十分可能であることが示唆された。
  • 佐々木 佳世子, 金澤 英作
    1999 年 107 巻 2 号 p. 165-178
    発行日: 1999年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    エナメル質歯冠表面 (OES) においては不明瞭であった形質でもエナメル質の発生の起点となるエナメル象牙境 (DEJ) では比較的鋭く明瞭な隆線や突起として観察される。そこで歯冠に見られる10の形質について出現頻度を調査し, 下顎第2乳臼歯(m2) のDEJとそのOES, m2のDEJと下顎第1大臼歯 (M1) のDEJ29) を比較した。さらにこの4グループ間の距離分析を行い, 類縁性を明らかにした。その結果, m2の頬側面での各形質の多くは, OESよりもDEJで有意に出現頻度が高く, m2とM1のDEJの比較では, 近心頬側面辺縁隆線Protostylid でm2のほうが有意に出現頻度が高かった。咬合面では, 第7咬頭を構成す?Metaconid distal accessory tubercle m2のOESよりもそのDEJで有意に出現頻度が高く, m2とM1のDEJの比較では, Middle trigonid crest, Distal trigonid crest, 第6咬頭, 第7咬頭, 近心副結節でm2のほうが有意に出現頻度が高かった。距離分析ではDEJ同士あるいはOES同士の距離が近く, 特にm2のDEJとM1のDEJの類縁性が際立って高かった。
    以上のことからm2のDEJは, m2のOES, M1のDEJ, M1のOESのいずれよりも, 系統発生的に古い歯の形質を多く保有していること, また4グループ間で, m2とM1のDEJの類縁性が最も高いことが判明した。
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