Anthropological Science (Japanese Series)
Online ISSN : 1348-8813
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123 巻 , 1 号
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追悼文
原著論文
  • 瀧川 渉
    2015 年 123 巻 1 号 p. 15-29
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/20
    [早期公開] 公開日: 2015/01/14
    ジャーナル フリー
    筋骨格ストレスマーカー(MSM)は,加齢に応じて進行することが確認される一方,生前の活動の激しさとも関連して集団間の進行度に相違が生じることが指摘されている。本研究では,縄文時代人5地域集団(北海道・蝦島・姥山・吉胡・津雲)と弥生時代人3地域集団(北部九州・土井ヶ浜・種子島)のMSM15項目の出現状況を調査し,その地域的多様性と縄文・弥生時代間における相違を検討した。縄文時代人では,男女とも多くのMSMで5地域集団間に有意差が認められることが判明した。特に北海道集団のMSMスコアは高くなる傾向にあり,主成分分析でも男性の北海道集団は他の本州集団と若干離れて位置付けられた。弥生時代人3地域集団と縄文時代人5地域集団との間の比較では,北部九州および土井ヶ浜集団において縄文時代人集団との有意差が確認された項目が多く,種子島集団では縄文時代人集団との有意差が確認された項目が少なかった。主成分分析の結果,北部九州集団は縄文時代人集団とはかなり離れて位置付けられ,土井ヶ浜集団は両者のほぼ中間に,種子島集団は縄文時代人集団と近接した領域にプロットされることが示された。これらの結果から,縄文時代人では生態環境に基づく北海道と本州の生業活動の相違がMSMに反映されたことがうかがえ,弥生時代人では水稲農耕を導入した集団と狩猟や漁撈に従事した集団との間でMSMパターンの様相が異なることが示唆された。
資料研究報告
  • 日下 宗一郎, 佐宗 亜衣子, 米田 穣
    2015 年 123 巻 1 号 p. 31-40
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/20
    [早期公開] 公開日: 2015/05/22
    ジャーナル フリー
    本研究は,國府遺跡と伊川津遺跡から出土した縄文時代人骨の放射性炭素年代測定と炭素・窒素安定同位体比による食性解析を行った。國府人骨は,土器などの副葬品や抜歯風習などから,縄文時代前期と晩期の二つの時期に,伊川津人骨は晩期に帰属すると考えられてきた。この従来の年代推定を検証するとともに,食性の時代による変化や,抜歯型式に対応した食性の差違を調べることを目的とした。國府人骨は28個体について分析を行い,伊川津人骨は6個体について分析を行った。年代測定の結果,國府人骨は,5440–5990 cal BP, 4410–4520 cal BP, 2960–3070 cal BPの年代を示した。伊川津人骨は,2440–3070 cal BPの年代を示した。國府人骨の年代は,従来の前期と晩期という二つの時期の分類に加えて,一部中期の個体を含んでいる可能性を検出した。また,國府集団の食性は,陸上・淡水資源の摂取を特徴とし,晩期において淡水魚摂取の割合が下がっていた。伊川津集団の食性は,海産・陸上資源の摂取を特徴とし,晩期の國府集団よりも海産資源をより多く摂取していた。晩期においては,同位体比と抜歯型式の間に明確な関係は見られなかった。このように,人骨資料の年代を確かにすることは基礎的な情報として重要であり,一遺跡内でも食性の時期間変化の検討が可能となる。
短報
  • 西岡 佑一郎
    2015 年 123 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/20
    [早期公開] 公開日: 2015/05/30
    ジャーナル フリー
    高知県高岡郡佐川町西山耕にある穴岩の穴から,完新世の哺乳類遺骸群集が見つかった。遺骸群集の中には,ヒトの遊離歯が4点含まれており,縄文人に特徴的な咬合面の著しい磨耗が観察された。その他,シカ属の一種やイノシシをはじめ,多種多様な哺乳類の遺骸が産出したが,全て現生種で構成されており,絶滅種は含まれていない。産出した遺骸群集の中から,ニホンザルとシカ属の一種の骨を用いて,加速器質量分析法による放射性炭素年代測定を行った結果,8278 ± 29 yBPと9499 ± 31 yBPという縄文時代早期に相当する14C年代値が得られた。さらに,南向きに開口した洞口,密集した動物遺骸,強く摩耗したヒトの歯,剥片や二枚貝といった人為的遺物の産出を総合的に考慮すると,穴岩の穴は洞窟遺跡である可能性が高い。穴岩の穴の近隣には,不動ガ岩屋洞窟遺跡や城ノ台洞穴遺跡のような縄文遺跡が点在しており,これらとの関連が示唆される。
雑報
シンポジウム報告:歯の人類学分科会 平成26年度シンポジウム「歯の付着物をめぐって」
シンポジウム特集:シンポジウム「『生物基礎』と『生物』で教える人類の遺伝と形質」
  • 松村 秋芳, 太田 博樹
    2015 年 123 巻 1 号 p. 59-60
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/20
    ジャーナル フリー
  • 芥川 昌也
    2015 年 123 巻 1 号 p. 61-66
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/20
    ジャーナル フリー
    新教育課程では,これまで高校で学習したメンデル遺伝を中学校で履修することになったが,一遺伝子交雑しか扱わず,検定交雑や特殊な遺伝は扱わない。高校低学年で履修する「科学と人間生活」では遺伝の内容は全く扱わない。高校の低学年で90%以上の生徒が履修する「生物基礎」では遺伝学関連分野は,旧課程のメンデル遺伝から分子生物学へと内容がシフトし,DNA,染色体の基礎,遺伝子の発現,ゲノムについて学習する機会がある。選択で約20%の生徒が履修する「生物」では遺伝子と染色体,遺伝子による発生の制御,全能性といったテーマを扱うこととされている。分子生物学の基礎から応用までを教える過程で,DNAとバイオテクノロジー,ヒトの染色体と病気の遺伝子,出産に関わる案件,遺伝子差別と情報管理の問題に触れる等の工夫が可能である。その中で,教員は生徒たちに,知識以外に必要な倫理的な判断能力を育成する必要がある。
  • 中山 一大
    2015 年 123 巻 1 号 p. 67-73
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/20
    ジャーナル フリー
    過去10年における核酸解析技術の爆発的進歩は,ヒト全ゲノム塩基配列解読に掛かる費用と時間を劇的に減少させた。ヒトゲノムの全容が明らかになるにつれて,ヒトの生物学的特徴および進化史に関する新しく,そして驚くべき知見が次々と蓄積されつつある。さらに,ヒトゲノム多様性情報利用の社会実装が,医療分野を中心にいよいよ現実のものとなりつつある。一方で,我が国の中等教育におけるヒト遺伝学の学習内容は依然として薄弱であり,学協会を中心にこれを是正しようというはたらきが活発化している。人類学には,ヒトの形質と進化についての長い研究の歴史があり,ヒト遺伝学教育のための魅力ある教材を提供することができるかもしれない。本稿では,「生物基礎」「生物」でも理解可能教材として利用可能と思われる遺伝人類学の研究成果を紹介するとともに,人類学がヒト遺伝学教育の普及に果たす役割について議論する。
Anthropological Science(英文誌)掲載論文・報告紹介
日本人類学会「若手会員大会発表賞」受賞対象発表要旨
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