Anthropological Science (Japanese Series)
Online ISSN : 1348-8813
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126 巻, 1 号
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追悼文
原著論文
  • ―身分階級による違い―
    金澤 英作, 坂上 和弘
    原稿種別: 原著論文
    2018 年126 巻1 号 p. 5-13
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/28
    [早期公開] 公開日: 2018/05/09
    ジャーナル フリー

    江戸時代の遺跡から発掘された甕棺被葬者(武士階級)と早桶被葬者(庶民階級)の頭蓋196例について第三大臼歯の欠如率を調査した。欠如率は調査歯数に対する欠如歯数の割合として算出し,その結果は,順に早桶男性23.8%,早桶女性26.5%,甕棺男性30.0%,甕棺女性36.0%であった。女性が男性より欠如率の高い傾向にあったが,男女を総合した欠如率は早桶群が24.8%,甕棺群が33.2%であった。この率には5%レベルでの有意差があった。これまでの研究から早桶群が幅広く比較的頑丈な顎を持つこと 甕棺群が狭い顔面と華奢な顎を持つことが知られており,今回得られた結果を考察すると,早桶群では発達した上下顎骨に第三大臼歯を容れる十分なスペースがある一方で,甕棺群ではそのスペースが足りないということがその要因として考えられる。

  • 河野 礼子, 岡崎 健治, 仲座 久宜, 徳嶺 里江, 片桐 千亜紀, 土肥 直美
    原稿種別: 原著論文
    2018 年126 巻1 号 p. 15-36
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/28
    [早期公開] 公開日: 2018/04/24
    ジャーナル フリー

    石垣島・白保竿根田原洞穴遺跡からは保存のよい4個体を含めて20個体近い更新世人骨が出土している。このうち,現地調査最終盤に出土し,保存状況も最良の白保4号個体の頭骨について,実物の骨をできるだけ接合したのちに,X線CT撮影により3次元形状データを取得してデジタル形状データとして全体を復元した。その結果,鼻根部の強い陥凹や,顔高が低く額が幅広であるなどの特徴が明らかになった。さらに実物の頭骨で直接測った計測値とデジタル復元結果を利用して求めた計測値を合わせて,予備的な形態解析を実施したところ,白保4号頭蓋の形態は,日本列島の旧石器時代人や縄文時代人,そして中国南部やベトナムなど琉球列島よりもさらに南方系の先史時代の人々に近いことが示唆された。デジタル復元した頭骨をもとにして生前の顔貌の復元を試みたので,その経過と復元結果についても報告する。

  • 木村 佳乃, 岡崎 健治
    原稿種別: 原著論文
    2018 年126 巻1 号 p. 37-54
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/28
    [早期公開] 公開日: 2018/05/24
    ジャーナル フリー

    顔面軟部組織の厚さについては,近年,開発が著しい3Dデジタル復顔に必要なため,欧米人の計測データの更新は著しい。これに対して,日本人については,復顔に必要な計測点が十分に網羅された報告は半世紀にわたり途絶えている。本研究の目的は,日本人の計測データを追加・更新し,顔面軟部組織の厚さとBMIと性別との関係を検討することにある。まず,解剖遺体3体に対し,超音波法と針を用いた穿刺法によって顔面軟部組織を測定した。両測定方法間の平均誤差は0.8 mm,平均誤差率は14.1%となり,先行研究で示された値と大差なかった。つぎに,被験者男女各29名に対し,超音波診断装置を用いて顔面計測21項目を測定した。その結果,前頭部,鼻部,口部,オトガイ部では男性が女性より厚く,眼窩部,眼窩下部,頬骨部,耳下腺咬筋部,頬部では女性が男性より厚い傾向が示された。BMIに基づき体型を分類した結果,男性は21項目中9項目において,やや肥満型がやや痩せ型より有意に厚かった。共分散分析の結果,BMIと性別の相乗効果が,Lower Lip Marginにおいて認められた。最後に,本研究の計測値について,過去に報告された日本人およびアフリカ・ヨーロッパ系集団と比較した結果,先行研究で指摘された“日本人の顔面の皮膚は薄い”傾向は見られなかった。本研究の計測値は,今後の日本人頭蓋骨の復顔への応用が期待される。

技術報告
  • 蔦谷 匠, 久保 麦野, 三河内 彰子
    原稿種別: 技術報告
    2018 年126 巻1 号 p. 55-62
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/28
    [早期公開] 公開日: 2018/05/24
    ジャーナル フリー

    人類学・先史考古学の教育普及において博物館展示は特に有効だが,展示解説には常にさまざまな制約があり,さらに興味を抱いた来館者に対して効果的に展示を補足する工夫が求められる。既存のウェブサービスを活用すれば,大きなコストやスキルを必要とせずに,博物館展示を補足する解説システムを構築できる。本稿では,東京大学総合研究博物館の2009–2013年の人類学・先史考古学を扱った常設展示「キュラトリアル・グラフィティ―学術標本の表現」において実施した,Twitterやブログを利用した展示解説の取り組みについて報告する。2011年9月から2013年5月までの21ヶ月間に,ふたつのシステムを比較し,利用者にアンケートをとって解析した。その結果,以下の3点が明らかになった。(1)来館者の所持する携帯電話端末から閲覧できる展示解説は,多数の来館者から利用を希望されていたものの,モバイル通信ネットワーク経由で接続することを前提としたシステムでは,提供する情報量を絞り,軽量性を重視することも重要である。(2)2011–2013年時点の状況として,10代20代の若い世代の利用率が高く(それぞれ17%,24%)60代以降の利用率が低かった(7%以下)。(3)来館者のニーズは多様であり,どのような範囲のニーズに応えることを目指しているのかを明確にしていく必要がある。

寄書
  • 河野 礼子, 土肥 直美
    原稿種別: 寄書
    2018 年126 巻1 号 p. 63-78
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/28
    ジャーナル フリー

    ここに寄せる文章は,沖縄の新聞・琉球新報に,2016年2月17日から2017年5月31日にかけて計30回にわたり連載された『旧石器人研究最前線』の記事の後半部分である。沖縄には港川や山下町など人骨出土遺跡があり,さらにこの数年は白保竿根田原洞穴遺跡やサキタリ洞遺跡での成果が報道され,三万年前の航海再現プロジェクトがスタートして注目されるなど,沖縄の旧石器人研究がひときわ盛り上がりを見せていると言っても過言ではなかろう。そうした中で地元への啓発・還元の意味で開始した連載記事を,沖縄外の人類学会員や,広くは関心のある全国の読者にも読んでもらいたく,再発信するものである。もともとが新聞の連載記事である性質上,その時点で進行中の時事ネタが多分に盛り込まれているが,その時その時の「今」を記録する意味で,あえて改稿せずほぼ新聞掲載時のまま全文転載させていただくこととした(各記事の筆者の所属も掲載時点のものである)。

    今回の転載を快諾してくださった筆者の皆様と,連載の趣旨に賛同し牽引してくださった琉球新報社の米倉外昭氏に心より感謝する。本寄書のこれ以降の内容はすべて,琉球新報社の提供によるものである。

    (なお,連載17~19回の記事については,筆者の希望により掲載しない。)

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書評
Anthropological Science(英文誌)掲載論文・報告紹介
日本人類学会「若手会員大会発表賞」受賞対象発表要旨
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