Anthropological Science (Japanese Series)
Online ISSN : 1348-8813
Print ISSN : 1344-3992
ISSN-L : 1344-3992
127 巻 , 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
原著論文
  • 小宮 孟, Mio Katayama Owens, 濵田 信吾, 羽生 淳子
    原稿種別: 原著論文
    2019 年 127 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/26
    [早期公開] 公開日: 2019/03/08
    ジャーナル フリー

    遺跡の魚類構成は先史漁撈研究の基礎データの一つであり,その信頼性はサンプリングと同定の精度に関わっている。魚類遺存体の同定には頭骨を構成する顎骨などが多用されるが,調理され食べられた魚の骨は原形を失っており,日本近海だけでも約4,000種に及ぶ魚種を考古学者が正しく同定するのは困難と思われる。一方,脊椎骨の椎体は遺跡堆積物中でも保存状態が良好であるにもかかわらず,これまで種同定に不向きだと考えられ,ほとんど研究利用されてこなかった。しかし,近年の魚類解剖の成果を応用すれば考古学者でも椎体を使った同定が可能と思われる。そこで今回は,青森県三内丸山遺跡の堆積物サンプル(縄文時代前期中葉)合計約71,400 gから水洗分離した魚類椎体約1,400点を同定した。その結果,全体の約83%は4 mmメッシュを通過する小形椎体が占め,若齢のニシンやサバなどが多く含まれることが判明した。このことから,この遺跡の漁撈の特徴の一つは特定の種類の小形魚の大量漁獲にあると考えられる。

資料研究報告
  • ―祐天寺阿弥陀堂地下埋設物の調査・研究成果―
    佐藤 孝雄, 巌谷 勝正, 長瀬 忍, 森 茂樹, 能城 修一, 吉永 淳, 米田 穣
    原稿種別: 資料研究報告
    2019 年 127 巻 1 号 p. 15-23
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/26
    [早期公開] 公開日: 2019/04/23
    ジャーナル フリー

    東京都目黒区祐天寺に所在する阿弥陀堂は,五代将軍徳川綱吉・八代将軍徳川吉宗の養女であった竹姫が,1724(享保九)年,厄除けの為に造営・寄進した堂宇と伝えられる。寺録にはその由来と合わせ,寄進時,施主竹姫の御髪を収めた石箱が須弥壇の下に埋設されたことも記されている。2014年,改修工事のため阿弥陀堂が一時移設されたところ,寺録に記されている通り,須弥壇の真下に当たる位置に基壇に埋設された石箱が現れ,その内部から頭髪と板材片,白色の粉塊,懐中鏡ほか若干の遺物を発見するに至った。小稿では,それらの観察所見・分析結果を報告し,将軍家養女の中でもひときわ著名な竹姫の食性と厄除け行為について推測し得た事柄を記す。

原著論文
  • ―佐世保市下本山岩陰遺跡出土人骨の核ゲノム解析―
    篠田 謙一, 神澤 秀明, 角田 恒雄, 安達 登
    原稿種別: 原著論文
    2019 年 127 巻 1 号 p. 25-43
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/26
    [早期公開] 公開日: 2019/06/08
    ジャーナル フリー

    佐世保市下本山岩陰遺跡から出土した2体の弥生人骨の核ゲノム解析を行った。これらの人骨は,遺跡の地理的な位置と形態学的な研究から縄文人の系統を引く西北九州弥生人集団の一員であると判断されている。しかし,次世代シークエンサを用いたDNA解析の結果,共に縄文系と渡来系弥生人の双方のゲノムを併せ持つことが明らかとなった。これらの人骨の帰属年代は弥生時代の末期にあたる。本研究結果から,この時期には九州の沿岸地域でも,在来集団と渡来した人々との間で混血がかなり進んでいたことが明らかとなった。このことは,これまで固定的に捉えられていた渡来系弥生人と西北九州弥生人の関係を捉え直す必要があることを示している。また本研究によって,古人骨の核ゲノムの解析で得られたデータは,このような混血の状況を捉えるのに有効であることも示された。今後,北部九州の弥生人骨のゲノム解析を進めていけば,日本人の成立のシナリオは更に精緻なものになることが期待される。

Anthropological Science(英文誌)掲載論文・報告紹介
日本人類学会「若手会員大会発表賞」受賞対象発表要旨
feedback
Top