1. 宇都宮地方の水田で,ウンカ,ヨコバイ類の天敵として働いているクモ類を知るため, 1966年から1968年までの3年間,クモ類の個体数を調査した.
2. 水田内で生息が確認されたクモ類は14科38種であり,個体数の多いクモは,ニセアカムネグモ,キバラ劉クグモ,ヤホシヒメグモ,ハマキフクログモ,ヤマトコノパグモ,ヤサガタアシナガグモ,セスジアカムネグモ,アゴブトグモであった.
3. クモ類全体の生息密度は田植え直後は低く,稲の生長と共に高くなり,最高密度は稲刈り期前後の10月頃に現われた.
4. クモ類各種の密度も,ほとんどの種において, 10月に最高に達した,しかし,キバラドクグモでは, 5月頃の密度がある程度高いと8月に最高密度が現われた.
5. 薬剤散布がよく行なわれる石井町の水田と,十分でない峰町の水田を比較すると,ほとんどのクモ類では,石井町では極端に低密度であった,しかし,キバラドクグモだけは例外で,石井町においても高い密度を示した.
6. 当地の水田でウンカ,ヨコバイ類の天敵として,厳も役立っているクモは,率バラドクグモと考えられる.
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