谷とそれから 100m 程離れた山の中腹において, ジョロウグモの網に侵入していたクモ類を採集し, ビーティングとスイーピングによって採集されたクモ類と比較した。68種がビーティングとスイーピングによって, 10種がジョロウグモの網から, それぞれ採集された。後者は円網を張る種 (6種) とイソウロウグモ属の労働寄生者 (4種) からなり, 他の生活形をもつ種は全く侵入していなかった。ビーティングとスィーピングによって採集されたクモの個体数に対するジョロウグモの網に侵入したクモの個体数の比を侵入した10種について比較した結果, 円網を張る種は, 労働寄生者とほぼ同じ頻度で侵入していることがわかった。これは, 円網を張る種の侵入が偶然的なものではなく, それらがかなり労働寄生的な習性をもつことを示唆している。
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