Acta Arachnologica

To the Memory of Takeo YAGINUMA

Yoshiaki NISHIKAWA, Hirotsugu ONO

1995 年 44 巻 1 号 p. 1
発行日: 1995年
公開日: 2007/03/29

DOIhttps://doi.org/10.2476/asjaa.44.1

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ジョロウグモとナガコガネグモの網のデザインと餌捕獲能力

宮下直, 新海明

1995 年 44 巻 1 号 p. 3-10
発行日: 1995年
公開日: 2007/03/29

DOIhttps://doi.org/10.2476/asjaa.44.3

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網のデザインと餌捕獲能力との関係をジョロウグモとナガコガネグモを用いて調べた. 大型の厚紙のフレームでクモの網を枠取りし, 同じ微生息場所に設置した. ジョロウグモの網はナガコガネグモの網より多くの餌がかかる傾向があったが, これは前種で粘着糸が多いからである. しかし, 比較的大きな餌 (2-6mm) の比率はナガコガネグモの方が大きかった. これはおそらく網糸に付着している粘着物質の量が多いからであろう. 大型の餌 (20-25mm) に対する網の捕捉能力を評価するため, 大型餌を網に付加する実験を行った. 餌が網に捕えられている時間は, ばらつきが大きいものの種間で似かよっていた. ジョロウグモの網は, 非常に小型の餌とともに大型の餌を捕獲する機能も有していると考えられた.

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Araneidae of Buxa Tiger Reserve, West Bengal

Sumana SAHA, Vivekanand BISWAS, Subhash Chandra MAJUMDER, Dinendra RAY ...

1995 年 44 巻 1 号 p. 11-14
発行日: 1995年
公開日: 2007/03/29

DOIhttps://doi.org/10.2476/asjaa.44.11

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This paper deals with 5 araneid species from Buxa Tiger Reserve, West Bengal, of which Neoscona raydakensis is described as new to science. Other species, Argiope pulchella THURELL, Gasteracantha diadesmia THORELL, Gasteracantha kuhli C. L. KOCH and Neoscona pavida (SIMON) are reported as new from Buxa forest.

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A New Name for Heteropoda acuta SAHA, BISWAS et RAYCHAUDHURI, 1994 (Araneae: Heteropodidae)

Sumana SAHA, Vivekanand BISWAS, Dinendra RAYCHAUDHURI

1995 年 44 巻 1 号 p. 15-16
発行日: 1995年
公開日: 2007/03/29

DOIhttps://doi.org/10.2476/asjaa.44.15

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Roncus ivanjicae, a New Epigean Pseudoscorpion from Serbia, Yugoslavia (Pseudoscorpiones: Neobisiidae), with Notes on the Validity of Some Diagnostic Characters

Bozidar P. M. CURCIC, Srecko B. CURCIC

1995 年 44 巻 1 号 p. 17-25
発行日: 1995年
公開日: 2007/03/29

DOIhttps://doi.org/10.2476/asjaa.44.17

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A new species, Roncus ivanjicae CURCIC et CURCIC (Pseudoscorpiones: Neobisiidae) is described from western Serbia, Yugoslavia. It is illustrated and compared with its nearest known congener, R. satoi CURCIC et DIMITRIJEVIC, from southwestern Serbia (Yugoslavia). Notes are given on the habitat, distribution and validity of some diagnostic characters of some Roncus species.

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日本産ネオンハエトリグモ属 (クモ目: ハエトリグモ科) の分類学的研究

池田博明

1995 年 44 巻 1 号 p. 27-42
発行日: 1995年
公開日: 2007/03/29

DOIhttps://doi.org/10.2476/asjaa.44.27

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日本産ハエトリグモ科ネオンハエトリグモ属に次の5種を認めた. Neon reticulatus (BLACKWALL, 1853) ネオンハエトリ, Neon kiyotoi sp. nov. キヨトネオンハエトリ (新称), Neon nojimai sp. nov. ノジマネオンハエトリ (新称), Neon minutus ZABKA, 1985 コガタネオンハエトリ (新称), Neon ningyo sp. nov. ニンギョウネオンハエトリ (新称). これらはそれぞれ生殖器の構造や雄の第I脚によって識別できる.

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日本新記録のワシグモ科の1種, Phaeocedus braccatus (L. KOCH)

加村隆英

1995 年 44 巻 1 号 p. 43-46
発行日: 1995年
公開日: 2007/03/29

DOIhttps://doi.org/10.2476/asjaa.44.43

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ワシグモ科の Phaeocedus braccatus (L. KOCH, 1866) タソガレトンビグモ (新称) を日本新記録種として報告した. Phaeocedus タソガレトンビグモ属 (新称) のクモが日本から記録されたのは初めてである.

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日本産カイゾクコモリグモ属 (クモ目: コモリグモ科) の1新種

田中穂積

1995 年 44 巻 1 号 p. 47-49
発行日: 1995年
公開日: 2007/03/29

DOIhttps://doi.org/10.2476/asjaa.44.47

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北海道豊頃町大津湿地より得られたコモリグモ科カイゾクコモリグモ属の1新種をPirata shibatai sp. nov. エゾカイゾクコモリグモ (新称) と命名して記載した. 本種は全北区に広く分布する P. piraticus およびヨーロッパから報告されている. P. tenuitarsis に近似するが, 頭胸部の側斑の有無によって容易に区別できる.

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日本産ムツボシオニグモ属の検討

谷川明男

1995 年 44 巻 1 号 p. 51-60
発行日: 1995年
公開日: 2007/03/29

DOIhttps://doi.org/10.2476/asjaa.44.51

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日本産 Araniella ムヅボシオニグモ属のクモ類について検討した結果, 2種の生息を再確認した. この2種は八木沼 (1985) や千国 (1989) によって Araniella sp. A ムツボシオニグモおよび Araniella sp. B ムツボシオニグモの1種とされたものであった. このうち Araniella sp. A とされていたものは, 新種と認められたので Araniella yaginumai sp. nov. ムツボシオニグモと命名して記載した. また, Araniella sp. B は, Araniella displicata (HENTZ, 1847) トガリハナオニグモに再同定した. ムツボシオニグモという和名は誤同定の結果として Araniella displicata に対して使用されたこともあったが, 現在この和名は Araniella yaginumai sp. nov. にあたるクモに対して広く使用されているので, Araniella yaginumai sp. nov. の和名をムツボシオニグモとしたい. また, Araniella displicata (HENTZ, 1847) の和名には, 吉倉によって最初に使用されたトガリハナオニグモ (八木沼, 1985) を再使用したい.

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台湾のツブダニ科の新属新種

大久保憲秀

1995 年 44 巻 1 号 p. 61-64
発行日: 1995年
公開日: 2007/03/29

DOIhttps://doi.org/10.2476/asjaa.44.61

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台湾宜蘭縣福山植物園から得られたササラダニをツブダニ科の新属新種 Damaeoppia formosana として記載した.

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四国産フクログモ属 (クモ目: フクログモ科) の1新種

林俊夫

1995 年 44 巻 1 号 p. 65-69
発行日: 1995年
公開日: 2007/03/29

DOIhttps://doi.org/10.2476/asjaa.44.65

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徳島県から Clubiona kasanensis PAIK として記録されていたバンドウフクログモを, 愛媛県および高知県産の雌雄の標本に基いて研究した結果, 新種と認め, Clubiona bandoi sp. nov. として, 記載した. 本種は corticalis 種群に属し, 韓国産の C. kasanensis PAIK や台湾産の C. bonicula ONO に似ている.

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日本産フクログモ科およびカニグモ科 (クモ目) のクモ3種

小野展嗣

1995 年 44 巻 1 号 p. 71-78
発行日: 1995年
公開日: 2007/03/29

DOIhttps://doi.org/10.2476/asjaa.44.71

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日本産フクログモ科の2新種, Clubiona ogatai sp. nov. (オガタフクログモ-新称-) および C. iharai sp. nov. (イハラフクログモ-新称-) を記載した. カニグモ科の1種 Xysticus transversomaculatus BÖSBNBERG et STRAND, 1906 (ヨコフカニグモ) の雄を初めて記載した. 同種の雄の触肢の形態的特徴をもとに検討した結果, 従来の luctans 種群から, locuples 種群へ所属を変更した.

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希少種オノゴミグモ Cyclosa onoi の生活史特性

宮下直

1995 年 44 巻 1 号 p. 79-82
発行日: 1995年
公開日: 2007/03/29

DOIhttps://doi.org/10.2476/asjaa.44.79

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希少種オノゴミグモ Cyclosa onoi TANIKAWA の成長, 繁殖, 造網場所, 個体数の変動について調査した. 本種は年2世代であり, 6-7月と9-10月に繁殖を行うことが明らかになった. また造網場所が非常に低いという特徴があった. 集団のサイズは非常に小さく, 3世代調査した後に絶滅した. 本種の生活史の特徴を近縁種との比較により議論した.

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環境保全型水田におけるクモと被食者に関する研究

栽培管理が発生消長に与える影響

村田浩平

1995 年 44 巻 1 号 p. 83-96
発行日: 1995年
公開日: 2007/03/29

DOIhttps://doi.org/10.2476/asjaa.44.83

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水田の栽培管理が水稲害虫の有力天敵であるクモおよびその餌昆虫の発生消長に与える影響を明らかにするために, 農薬および化学肥料を使わない保全田と慣行田において調査を行った. 1990年と1991年に, 水田内および畦畔においてクモおよび餌昆虫の個体数をスイーピソグ法によって調査し次のような結果を得た.
1. 畦畔を含む水田環境では, 10科から14科のクモが採集された. 各水出とも水田内のクモの個体数はアシナガグモ科, カニグモ科, フクログモ科の順に多かった.
2. 保全田の水田内では慣行田に比べてクモの個体数が明らかに多く, その差は2倍以上であった. 特に保全田では慣行田に比ベアシナガグモ科, カニグモ科, ハエトリグモ科の個体数が多かったのが特徴である. 保全田と慣行田のこのような違いは, 栽培管理の違い, 特に水管理によると考えられた.
3. 水田内と畦畔のクモ相を比較すると, 両年とも畦畔が科数, 個体数ともに多い傾向がみられた. このことは, 畦畔が天敵としてのクモの温存場所として重要であることを示唆すると考えられる.
4. 全ての調査水田でウンカ, ヨコバイの発生消長とクモの発生消長が重なる傾向が見られ, この傾向はウンカに比べヨコバイに対してより強かった.
5. 保全田では慣行田に比べてユスリカの個体数が多く, これはクモの密度を維持するうえで重要であると考えられた.
以上のことから, クモを天敵として有効に活用するためには, 農薬の使用を避け, 春期にはゲソゲを栽培し, 落水時も水田内を完全に干上がらせないことによって, ウンカ, ヨコバイの発生の間隙においても餌昆虫の安定した供給を計ること, 畦畔の除草回数を減らしクモの温存場所を確保することが重要であると考えられた.

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