公的分析は、サシツズマブ ゴビテカンの製造販売業者(ギリアド・サイエンシズ株式会社)より提出された、化学療法歴のあるホルモン受容体陰性かつHuman Epidermal growth factor Receptor type2(HER2)陰性の手術不能又は再発乳癌の患者を対象としたサシツズマブ ゴビテカンの追加的有用性及び経済評価に関する報告についてレビューを行った。本報告書では、その結果と公的分析が実施した再分析の内容を要約している。分析対象集団は、化学療法歴のあるホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌患者である。評価対象技術はサシツズマブ ゴビテカン、比較対象技術はエリブリンであった。
追加的有用性の評価に際して、製造販売業者がシステマティックレビュー(SR)を行った結果、エリブリンを含む治験担当医師が選択した治療(TPC)と比較した場合におけるサシツズマブ ゴビテカンの有効性・安全性を評価したランダム化比較試験であるPivotal試験(ASCENT試験)が特定された。製造販売業者は、ASCENT試験の結果から、エリブリンを含むTPC群と比較してサシツズマブ ゴビテカン群において、全生存期間及び無増悪生存期間の改善が認められたうえ、TPCに含まれている化学療法別のサブグループ解析においてもサシツズマブ ゴビテカンの一貫した有効性が認められた。これらから製造販売業者は、サシツズマブ ゴビテカンがエリブリンに対して追加的有用性を有すると判断した。公的分析は、独自に実施したSRの結果、製造販売業者が実施したSRと同様にASCENT試験が同定され、試験結果の解釈及び追加的有用性についても製造販売業者の評価は妥当であると判断し、サシツズマブ ゴビテカンはエリブリンに対する追加的有用性が示されていると評価した。
製造販売業者は、分析対象集団におけるサシツズマブ ゴビテカンの費用対効果評価において、Progression-free survival、Progressive disease、Deathの3つの健康状態を考慮したPartitioned survival modelを構築し、エリブリンを比較対照技術、質調整生存年(QALY)をアウトカムとする費用効果分析を実施した。この分析では、ASCENT試験におけるIntention-to-treat集団のデータをもとに、各パラメータを推定した。公的分析は、製造販売業者が実施した分析に課題があることを理由に再分析を実施した。分析に用いたQuality of Life(QOL)値について製造販売業者は、患者報告型アウトカムの結果からQOL値へのマッピングを実施した。その際に、多変量解析の結果に基づき、同じ健康状態であっても治療法によって異なるQOL値を採用した。公的分析では、同じ健康状態において、同じQOL値を用いて分析を実施することが適切であると判断した。なお、分析対象集団に該当するQOL値に関する先行研究が限られていることから、製造販売業者が提示したASCENT試験からのマッピング及び多変量解析からの推定値を活用することとし、各健康状態について両群のQOL値の平均値を採用して再分析を行った。
公的分析による再分析の結果、サシツズマブ ゴビテカンはエリブリンと比較して、0.396 QALYsの増分効果と13,741,192円の増分費用が生じ、増分費用効果比(ICER)は34,735,200円/QALYであった。以上より、本邦における公的医療の立場において、本分析対象集団のエリブリンに対するサシツズマブ ゴビテカンのICERは「1,500万円/QALY以上」の区間に所属する可能性が高いことが示唆された。
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