AUDIOLOGY JAPAN
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32 巻 , 3 号
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  • 宮崎 誠, 隈上 秀伯, 中田 孝重, 中尾 善亮, 海江田 純彦, 嶋本 昭
    1989 年 32 巻 3 号 p. 159-166
    発行日: 1989/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    さまざまな時期に蝸電図検査をした突発性難聴患者168名を, 検査日別に5群にわけて, CM検出域値と純音聴力 (蝸電図検査時と聴力固定時) との関係を周波数別に検討した。 早期より, どの周波数においても検査時純音聴力とは関係なく, CM検出域値に応じて聴力の改善がみられた。 CM反応からみた突発性難聴の病態は, 主としてらせん器周辺の障害と考えられた。 固定時聴力を決める不可逆性CM発生機構障害 (主に有毛細胞と考える) と聴力改善の可能性を示す可逆性刺激伝達ブロック (シナプス-聴神経) の両者が種々の割合で存在し, このらせん器周辺の障害の程度により, 特に発症時のCM発生機構の障害の程度により, 予後がほとんど決ってしまうと考えられた。 CM反応をみることにより早期より予後を推定することが可能である。
  • 小川 郁, 大内 利昭, 國弘 幸伸, 井上 貴博, 小関 芳宏, 神崎 仁
    1989 年 32 巻 3 号 p. 167-171
    発行日: 1989/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    聴力正常耳27耳を対象として0.5kHz-4kHzのトーン・バーストによる誘発耳音響放射 (OAE) について検討し, emission cochleogramの作成を試みた。 得られた結果は以下の通りである。 (1) 0.5kHzでは明らかなOAEは誘発されなかったが, 1kHz-4kHzでのOAEの誘発率は高く, 全耳でemission cochleogramの作成が可能であった。 (2) 個々のemission cochleogramは山型, 高音漸傾型または高音急墜型を示した。 (3) emission cochleogramの作成により, より広い周波数範囲での蝸牛機能の評価が可能であり, OAEの臨床的有用性はより高まると考えられた。
  • 佐藤 信清, 土田 伸子, 吉鶴 博生
    1989 年 32 巻 3 号 p. 172-181
    発行日: 1989/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    聴力正常で自発耳音響放射を有する者を中心にした9例18耳を対象に, 自発耳音響放射と誘発耳音響放射を測定した。 自発耳音響放射を有する耳では誘発耳音響放射が遷延する傾向にあったが, いずれの例でも耳鳴は感じなかった。 この誘発耳音響放射の遷延は自発耳音響放射の周波数あるいはそれより高い周波数刺激で観察されやすい傾向にあった。 誘発耳音響放射の波形は刺激後早期 (-10ms) は刺激音に同調するが, その後 (12ms-) 自発耳音響放射に同調する。 そしてこの自発耳音響放射への同調が遷延する誘発耳音響放射であると推定された。 そして自発耳音響放射より高い周波数で刺激することで, 基底板の自発耳音響放射特徴周波数領域より短い部分を振動させ, その力が加わることにより, 基底板が自発耳音響放射の位相で振動するのではないかと推察された。
  • 榊原 淳二, 竹内 真理子, 庄司 和彦, 児嶋 久剛, 本庄 巖
    1989 年 32 巻 3 号 p. 182-189
    発行日: 1989/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    コクレア社製人工内耳装着者で子音弁別検査を行ったところ, 有声子音と無声子音の弁別は良好であったが, 有声破裂音, 無声破裂音, 通鼻音の中では異聴が多くみられた。 その理由を探るため, 人工内耳の電極発火パターンをサウンドスペクトログラムと比較した。
    有声子音では電極20の発火が常にみられたが, 無声子音ではみられなかった。 電極20の発火はスペクトログラムのbuzz barに相当すると考えられ, 有声か無声かの認識は電極20の発火によると考えられた。 しかし破裂音では, スペクトログラムの破裂音に対応した電極発火が不十分であり, そのために異聴が生じたと考えられた。 また, 有声音の一部にはスペクトログラムに対応しない電極発火がみられた。 いずれも, ホルマント抽出による複雑な音声処理が原因と推定された。
  • 鈴木 篤郎, 小林 潔子, 青木 記美恵
    1989 年 32 巻 3 号 p. 190-194
    発行日: 1989/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    500Hz amplitude modulated tone (SAM音) 及び500Hz短音によるSSR, 500Hz短音によるABRとMLR (Pa) の両耳相互作用 (BI) を聴力正常の成人13名について測定した。 記録の大部分は被検者の睡眠中に行なわれた。 左右単耳刺激反応の合算振幅 (M) と両耳刺激反応の振幅 (B) との比, B/MをもってBI値とした。
    SAM音SSR, 短音SSR, ABR, MLR (Pa) の平均BI値は, 0.898, 0.871, 0.945, 0.773で, 反応相互間ではMLR (Pa) と他の3反応それぞれとの間に有意差があり, MLR (Pa) を除く3反応間には有意差は認められなかった。 この結果から, SSRのBI値がABRの値に近いということは, 睡眠中のSSRの構成成分としてABRが高い比重を占めていることを示すものだと推論した。
  • 舩坂 宗太郎, 城間 将江, 福田 由美子, 湯川 久美子, 伊藤 真郎, 高橋 整, 永瀬 茂代, 熊川 孝三
    1989 年 32 巻 3 号 p. 195-199
    発行日: 1989/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    先に人工内耳患者の単音節子音の弁別能について発表したが, 単語や文では脳の統語・統辞作用のため, 単音節とは異なったものとなる。 そこで16名の人工内耳患者において単語や文の弁別能を追求し, 単音節と比較検討した。 単音節では人工内耳のみ読話のみの正答率はともに人工内耳+読話の正答率と高い相関が認められなかった。 単語においては人工内耳のみの正答率が人工内耳+読話の正答率と高い相関を示した。 聴覚情報・視覚情報は単音節ではそれぞれ相互補完的であったが, 聴覚信号は単語知覚においては, 主たる情報を提供するものであり, そのとき視覚信号は単に補助的なものではなく意味同定に大いにあずかるものと推定された。
  • 大内 利昭, 小川 郁, 國弘 幸伸, 井上 貴博, 小関 芳宏, 神崎 仁
    1989 年 32 巻 3 号 p. 200-206
    発行日: 1989/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    聴力正常な6名12耳を対象として前額部骨導刺激による誘発耳音響放射 (BC-OAE) を検討し, 気導刺激誘発耳音響放射 (AC-OAE) と比較して以下の結果を得た。 1) 全12耳の1.0kHz-4.0kHzの全5周波数でBC-OAEの誘発が可能であった。 2) BC-OAEの周波数は刺激周波数にほぼ対応していた。 3) 見かけの閾値の平均値はどの刺激周波数でもAC-OAEのそれより低かった。 4) 見かけの閾値の個体差はAC-OAEのそれより小さかった。 5) 見かけの閾値の両耳差は80%で5dB以下であった。 6) 平均emission cochleogramは高音急墜型を示した。
  • 麻生 伸, 水越 鉄理, 渡辺 行雄, 吉田 行夫
    1989 年 32 巻 3 号 p. 207-211
    発行日: 1989/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    メニエール病確実例128例と疑い例54例に対して静注法によるグリセロール・テストを施行し, その結果を種々の判定基準で分析した。 その結果厚生省特定疾患前庭機能異常調査研究班の判定基準と同様に, 「2周波数以上で各々10dBずつ以上の純音聴力域値の改善」 がみられた時に陽性とすることが最も妥当であるという結果を得た。 また, 経口法によるグリセロール・テストも施行し得た11症例についてその結果をグリセロール血中濃度, 血清浸透圧, 副作用の面から検討し, 当科の50g点滴静注法が1.5g/kg内服とほぼ同等の診断的価値を有することを示した。
  • 船井 洋光
    1989 年 32 巻 3 号 p. 212-220
    発行日: 1989/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    外耳道圧負荷によって生じる内耳へのエネルギー伝達の変化を被検者の聴覚域値を指標にして調べ, 通常のティンパノグラムと比較した。
    正常耳, 耳管機能不全耳, 癒着性中耳炎耳のティンパノオージオグラムは, 圧負荷による鼓膜のインピーダンス変化が反映されたものとして矛盾しない結果であった。
    しかし, 耳小骨連鎖に異常のある例, 特にキヌタ・アブミ関節離断例では, 鼓膜のインピーダンス変化から予想される結果と全く異なっていた。 すなわち, どちらも高インピーダンスとなるはずの±200mmH2Oにおいて, -200mmH2Oでは域値低下, +200mmH2Oでは域値上昇が観察された。 両者の域値差は250Hzで26-39dBに及んだ。
    ティンパノオージオグラムの結果は多彩で再現性は高く, 耳小骨病態診断法としてインピーダンス検査とは別の価値を有すると考えられた。
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