AUDIOLOGY JAPAN
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32 巻 , 4 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 東野 哲也, 河野 浩万, 狩野 季代, 牛迫 泰明, 森満 保
    1989 年 32 巻 4 号 p. 223-230
    発行日: 1989/08/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    側頭骨断層撮影やCT検査の普及に伴い, 錘体内側に突出する頸静脈窩を容易に診断できるようになった。 この内側型高位頸静脈球の多くは一側性であるが, その頻度は決して稀ではない。 今回, 患側に内側型高位頸静脈球を伴った感音難聴症例の純音オージオグラムを検討した結果, 種々の程度の中高音域障害とくに1000Hzと2000Hzの間で低下する中高音域急墜型の聴力像を示す例を多く認めた。 そこで中高音域急墜型一側性感音難聴症例に注目してX線学的検査を施行したところ, 難聴側に一致した側に高率に内側型高位頸静脈球が確認された。 これらのことより中高音域急墜型オージオグラムが内側型高位頸静脈球を素因とする内耳障害 (仮説) の一つの典型的な聴力像であることが推察された。 内側型高位頸静脈球を伴う中高音域急墜型一側性感音難聴症例に性差, 左右差は認められなかったが, 小児期発症の群と成人以後発症の群に分けられた。 前者の自覚症状は軽微であるが後者は難聴, 耳鳴の訴えが強く反復性めまいを伴う例もみられた。 自記オージオメトリーでその多くはJerger II型を示し内耳性難聴と考えられた。
  • 江渡 篤子, 市川 銀一郎, 上原 紀夫, 桜井 淳
    1989 年 32 巻 4 号 p. 231-237
    発行日: 1989/08/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    聴力正常と判定された乳幼児20名を対象に, 緩徐波成分の動態について速波+緩徐波成分のそれと比較検討した。 緩徐波成分に関してはフイルタ帯域を10-200Hzで, また速波+緩徐波成分に関しては10-2000Hzで記録した。 V波潜時近傍の緩徐成分における陽性ピークとそれに続く陰性ピークをそれぞれP, Nとし, 検討した。 これらの出現率は, 大きかったが, 安定性に関しては, どの年齢においてもばらつきが大きかった。 幼小児のABRの特徴としてII波に続く大きな陰性波を認めたが, このためか緩徐波成分は二峰性になる例が多かった。
  • 山川 卓也, 市川 銀一郎, 上原 紀夫, 江渡 篤子
    1989 年 32 巻 4 号 p. 238-243
    発行日: 1989/08/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ABRの速波成分中, IV波, V波は少からず, IV-V Complexの型をとる。 このIV-V Complexが生じる理由は未だ明らかではないが, 波間潜時 (IPL) の異常を判定する場合には, Complexの動態を十分に把握する必要がある。 今回我々は, 頭頂部関電極の位置のずれによるIV波, V波, IV-V Complexの変化と, 当科外来にてABR検査施行例においてのIV-V Complexの出現率について検討を加えた。
    頭頂部関電極を頭頂 (Cz) 及び, その前後左右3cmの距離をおいて設置し, ABRを記録したが, IV波, V波, IV-V complexを含め, 潜時, 波形にほとんど変化は認められなかった。 また, 音刺激間隔を短くすると, IV-V Complexの頻度は高くなった。
    次に, 当科外来にて, ABR検査を施行し, 正常と判断した症例に於て, IV-V Complexは30%以上に出現し, 3回連続記録を行なうとその65%にIV-V Complexが出現することがわかった。
  • 伊藤 真郎, 舩坂 宗太郎
    1989 年 32 巻 4 号 p. 244-255
    発行日: 1989/08/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    周波数特異刺激 (gaussian shaped tone pulse) を用いて, 聴性脳幹反応 (ABR) におけるBinaural Interaction (BI) を記録し, BIの周波数特異性 (周波数依存性) について検討した。 本実験に際しては, 単耳刺激と両耳刺激を反復しながら連続的に記録する音刺激のパラダイムを考案して, 耳小骨筋反射の波形に及ぼす影響を極力排除し, かつ各刺激条件の記録をほぼ同一のS/N比下で得られるようにした。 BIの潜時曲線は音圧変化に対して直線的に変化し, 刺激周波数順に平行に配列した。 BIの振幅曲線も同様に直線的な変化を示し, 刺激周波数の増加に伴って, 振幅の縮小傾向を示した。 すなわち, BIは低い周波数でより大きなpotentialをもつことが判明した。
  • 宇野 彰, 加我 君孝
    1989 年 32 巻 4 号 p. 256-262
    発行日: 1989/08/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    覚醒時のネコの頭頂部中間潜時反応 (MLR) と聴皮質よりえられる聴性誘発反応との関係を明らかにすることを目的に実験を行った。 成猫8匹についてMLRと左右各聴皮質誘発電位の同時記録を行い, 覚醒時におけるMLRと聴皮質誘発電位の刺激頻度による影響を調べた。
    その結果, 聴皮質の反応と考えられる聴皮質誘発電位の聴性脳幹反応 (ABR) 以後に出現する陰性ピーク (N1) から陽性ピーク (P1) の部分は, MLRのABR部分である8波から, それに続く陰性ピーク (NA) 部分に潜時がほぼ等しかった。 同時に刺激頻度を増大させると, 両者の振幅は比例して減少した。
    このことからMLRの8波-NAは聴皮質に関連することが示唆された。
  • 嶋本 昭
    1989 年 32 巻 4 号 p. 263-269
    発行日: 1989/08/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ナローバンドAPのいわゆる中心周波数について論じた。 この論文では主に中心周波数の偏位とマスキングレベルとの関係について検討したが, 中心周波数の詳細についても考察した。 中心周波数はハイパスフィルタの遮断特性や, 2つの遮断周波数の差である狭帯域の幅によって決定されるが, マスキングレベルの強さによっても変化する。 実験ではマスキングレベルが強くなるに従い, ナローバンドAPの第一波の潜時が延長する。 これはマスキングレベルの上昇に伴い, 中心周波数がより低域にシフトするために, その結果として潜時が延長すると考えることが出来る。 またそれ以外に, 聴覚閾値が変化した場合にも中心周波数が変動すると考えられること等を述べた。
  • 石川 正治, 市川 銀一郎, 上原 紀夫, 斉藤 秀樹, 江原 義郎
    1989 年 32 巻 4 号 p. 270-274
    発行日: 1989/08/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    動物実験により, 蝸電図とABRの同一時間軸上記録について検討した。
    1. 蝸電図は一般に内耳機能をよく反映し, 一方ABRは脳幹機能をよく反映すると考えられている。 この両者を同一時間軸上に同時に記録することにより, その両者の特徴を利用することができ, 内耳より脳幹に至る聴覚路の電気生理学的情報を同時に示すことができ, より臨床に即した記録が可能となると考えられた。
    2. 蝸電図のN1ピークは, ABRのI波と起源を同一とするが, 記録方法が異なるためN1ピークはI波と比べ, より明瞭に記録される。 従ってABR記録において, I波が不明瞭な場合, 蝸電図のN1ピークを用いることで, 波間潜時の測定が可能となり, より正確なABRの判定が可能となると考えられた。
  • 松島 純一, 熊谷 雅彦, 原田 千洋, 高橋 国広, 伊福部 達
    1989 年 32 巻 4 号 p. 275-279
    発行日: 1989/08/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ピッチパルスの間に第2ホルマント周波数に比例した時間的遅れでもう一個のパルス刺激を行う時系列信号処理方式を用いて, 36歳の聾の患者に岬角電気刺激実験を行い, 日本語5母音間の違いを60%弁別できた。 この実験から, 一本の刺激電極でも母音の第2ホルマント情報の伝達が可能であることが分かった。
  • 初鹿 信一, 舩坂 宗太郎
    1989 年 32 巻 4 号 p. 280-286
    発行日: 1989/08/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Multichannel intracochlear implantの発展のために, 鼓室階内の電極の位置および刺激電極間距離の違いに基づく聴神経の反応の差について, 聾の猫を用いてEABRを記録し, それらの閾値とIV波の入出力曲線とを蝸牛の組織学的評価と比較検討した。
    人工内耳の電極は刺激電極間距離が短く, ラセン神経節に近く設置するのが有利である。 また人工内耳の適応であるsensorineural deafnessの患者においては, ラセン神経節神経終末の強い変性や電極挿入による蝸牛内組織障害の危険性のため, 電極はラセン神経節細胞に近く置いた方が良いと結論された。
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