聴力正常成人の213耳に対し, ABRの陰性波の出現率, ピーク潜時, IPLの動態を検討した。 自覚域値上80dB-50dBのクリックを音刺激として用い, 頭頂-耳後部誘導におけるABRを検討対象とした。
その結果,
1. 陰性ピークは, 陽性ピークと同様に高い出現率を示した。
2. 各陰性波のピーク潜時は, 音圧の変化には安定性を示した。
3. 陰性波のIPLもまた, 音圧の変化には安定性を示した。
4. 陰性波の場合は陽性波と比較し, より緩徐波成分の影響を受けやすかった。
5. 陰性波のIPLは, フィルタ帯域を一定に保てばその安定性は陽性波に劣らず, 臨床応用に十分耐えうるものと考えられた。
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