AUDIOLOGY JAPAN
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33 巻, 1 号
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  • 1990 年 33 巻 1 号 p. 1-41
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 桜井 淳, 市川 銀一郎, 江渡 篤子, 井沢 浩昭, 斎藤 秀樹
    1990 年 33 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ABR VI波, VII波についてその性質, 出現率, 安定性について検討した。
    VI波の平均反応閾値は自覚閾値上42dB, VII波は60dBであった。
    VI波の出現率は自覚閾値上60dBで78%, 80dBで90%, VII波は自覚閾値上60dBで52%, 80dBで65%であった。 またVI波の平均ピーク潜時は自覚閾値上60dBで7.3±0.2msec, 80dBで7.2±0.2msec, VII波は自覚閾値上60dBで8.9±0.3msec, 80dBで8.8±0.3msecであった。 VI波, VII波に関するIPLとI-V IPL, III-V IPLと比較したところVI波は標準偏差0.2msecでV波とほぼ同等であった。
    今回の検討ではVI波は臨床応用できる可能性が高いが, VII波は臨床応用は難しいと思われた。
  • 自発的擬声語と耳鳴周波数及び純音・雑音性との関係
    大内 利昭, 岡田 行弘, 小川 郁, 藤井 みゆき, 神崎 仁
    1990 年 33 巻 1 号 p. 48-55
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    耳鳴患者自身の自発的擬声語と, 耳鳴周波数及び耳鳴同定音の純音・雑音性との関係を検討し, 標準耳鳴検査法1984の30の擬声語のそれとを比較して以下の結果を得た。 1) 使用された41の自発的擬声語のうち, 標準耳鳴検査法1984に提示されている擬声語は17 (41.5%) のみであった。 2) 使用頻度2%以上の12擬声語のうち標準耳鳴検査法1984に提示されている擬声語は6 (50.0%) のみであった。 3) 17擬声語のうち, 耳鳴周波数及び耳鳴同定音の純音・雑音性がともに標準耳鳴検査法1984に提示されているそれと完全に一致したのは6擬声語 (35.3%) のみであった。 4) 各耳鳴周波数における最多使用擬声語につき検討すると, 使用頻度は高いが, 耳鳴周波数特異性及び純音・雑音性特異性の低い擬声語が存在することが判明した。 5) 耳鳴周波数及び耳鳴の音色 (純音・雑音性) の客観的指標として提示すべき擬声語については再検討すべきであると考えられた。
  • 病因と成果
    玉井 ふみ, 加我 君孝
    1990 年 33 巻 1 号 p. 56-63
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    難聴を伴う重複障害児に補聴器装用指導を行い聴性・発声行動および言語発達の評価を行った。 補聴効果は6カ月以上観察された28例中17例に認めた。 音声にふりむく, 発声が増すから助詞を用いた会話ができるまで各症例の発達レベルに応じた補聴効果が認められた。 アテトーゼ型脳性麻痺では知的な能力が高いこと, 高音域障害型の中等度以下の難聴が多いことから, 補聴器装用は言語発達を促すうえで有効であった。 聴性行動に変化のみられなかった5例は重度の知能運動障害およびてんかんを伴っていた。 6例は耳型の装着をいやがる, またははずれやすいため補聴器装用が困難であった。 重複障害児であっても原疾患にかかわらず早期の診断および補聴器装用指導が必要であるとともに, 原疾患や合併症に配慮しながら個々の症例の発達レベルや行動特徴に合わせた指導を工夫することによってコミュニケーションを円滑にしていく努力が重要と考えられた。
  • 佐藤 信清, 吉鶴 博生, 土田 伸子, 犬山 征夫
    1990 年 33 巻 1 号 p. 64-68
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    既存の聴性誘発反応用システムを用いての乳幼児誘発耳音響放射測定の可否, および誘発耳音響放射の乳幼児難聴スクリーニング検査としての有用性について検討を加えた。 対象は, 難聴が疑われて当科を受診した0-4歳の乳幼児17例で, 3例を除き人工睡眠下でABRとEOAEを測定しその結果を比較した。 EOAEの測定は, 成人用の測定システムを改良し, 外径の細いプローべを使い, signal processor付属のARTIFACT-REJECTIONを作動させて呼吸音や体動等のnoiseを除去した。 また刺激音は35dBnHLと-10dBnHLを用いた。 ABRで正常聴力と判定された5例は, 全例EOAEで陽性反応が得られたが, 高度難聴と判定された12例では, EOAEは全例反応は陰性であった。 この結果から, 聴性誘発反応システムを流用してのEOAE測定は可能であり, 難聴乳幼児のスクリーニング検査としての有用性が示唆された。
  • 井沢 浩昭, 市川 銀一郎, 小野 一郎, 江渡 篤子
    1990 年 33 巻 1 号 p. 69-75
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    聴力正常成人の213耳に対し, ABRの陰性波の出現率, ピーク潜時, IPLの動態を検討した。 自覚域値上80dB-50dBのクリックを音刺激として用い, 頭頂-耳後部誘導におけるABRを検討対象とした。
    その結果,
    1. 陰性ピークは, 陽性ピークと同様に高い出現率を示した。
    2. 各陰性波のピーク潜時は, 音圧の変化には安定性を示した。
    3. 陰性波のIPLもまた, 音圧の変化には安定性を示した。
    4. 陰性波の場合は陽性波と比較し, より緩徐波成分の影響を受けやすかった。
    5. 陰性波のIPLは, フィルタ帯域を一定に保てばその安定性は陽性波に劣らず, 臨床応用に十分耐えうるものと考えられた。
  • 大内 利昭, 藤井 みゆき, 國弘 幸伸, 岡田 行弘, 佐藤 彰芳, 小川 郁, 神崎 仁
    1990 年 33 巻 1 号 p. 76-83
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    純音性耳鳴計68を対象として, 耳鳴周波数を中心とする3検査周波数でラウドネス・バランス検査を行い以下の結果を得た。 (1) 3検査周波数でのラウドネスには統計学的有意差は認められなかった。 (2) 3検査周波数でのラウドネス一致率は約30%であった。 (3) 隣接する2検査周波数でのラウドネス一致率は約50%であった。 (4) 耳鳴周波数で測定されたラウドネスと耳鳴周波数の聴力レベルとの間には軽度の負の相関が認められた。 (5) 耳鳴の自覚的大きさと耳鳴周波数の聴力レベルとの間には明らかな相関関係は認められなかった。 (6) 各検査周波数でのラウドネス間には正の相関が認められた。 (7) 各検査周波数でのラウドネスと耳鳴の自覚的大きさとの相関係数は0.260以下であった。 (8) 耳鳴の自覚的大きさの評価法の再検討が必要であると考えられた。
  • 横山 俊彦
    1990 年 33 巻 1 号 p. 84-90
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アブミ骨筋反射域値から聴力を推定するJerger式, Niemeyer-Sesterhenn式は聴力算出式が非常に複雑なために普及しにくい面があった。 今回, これらの算出式を簡略化したHyde式ならびにSilmanらのbivariate plotting法 (BP法) の有用性を129耳について検討した。
    その結果, Hyde式は2つの式とも実測値の聴域値に関係なく常に40dBHL前後の予測値を示したので, その有用性は認められなかった。
    他方, BP法は正常聴力群63耳の予測正確度は82.5%, 難聴群66耳86.2%と比較的高かった。 本法は定性検査の域を超えるものではなかったが, 幼児の軽中等度感音難聴の早期発見にも有効と思われ, とくに成人の詐聴, 年長児の機能性難聴の診断手法の一つとして有用性は高いと考えた。
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