1kHzから2kHzの周波数帯域内で, 100Hz毎の狭帯域に区切って誘発耳音響放射の周波数成分を取り出す, 100Hz狭帯域誘発耳音響放射 (100Hz狭帯域EOAE) を, 突発性難聴新鮮例5耳に施行し, 聴力改善過程に見る100Hz狭帯域EOAEの変化を検討した。
一般に誘発耳音響放射は40dBHLを越す難聴では, 検出するのは困難であるが, 100Hz狭帯域EOAEを測定した5症例では, 発症初期において, 又は聴力回復過程の中で, 40dBHLを越す中・高度難聴にもかかわらず, EOAEの検出が可能であった。 検出されたechoは, まず1.0-1.3kHzを中心として, 短い潜時を持って出現する。 その後, 聴力の回復につれて, 振幅が増大, 長い潜時を持つechoも出現, 一見, 潜時が延長する傾向を示すと同時に, より高い周波数域でもechoが検出されるようになった。 これら, 明確なechoの検出が可能であった5症例では, 少なくとも1kHz以下の低音域ではほぼ正常聴力に回復した。
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