聴覚における遠心性のolivo-cochlear bundleの破壊による蝸電図への影響を観察するため, モルモットを用い, 実験Iでは, COCBを第四脳室底で, 実験IIでは, COCB及びUCOCBを含む前庭神経をそれぞれ切断し, 蝸牛正円窓よりAP及びCMを記録した。 その結果, 第四脳室底でのCOCB切断に伴う蝸電図の変化は認められなかったが, 前庭神経を切断したモルモットでは, APのP1成分の減少, あるいは消失が特徴的に観察された。 しかし, CMには変化がみられず, また, 前庭神経切断後の蝸牛コルチ器の形態にも異常はみられなかった。 このことから, 遠心性聴覚系のうち, 求心性の聴神経と結合するLOCシステムが, 聴神経の活動, 特にP1の起源を制御していること, また, P1が, 何らかの神経活動をあらわしていることが示唆された。
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