AUDIOLOGY JAPAN
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35 巻 , 3 号
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  • 大内 利昭, 小形 章, 増野 博康, 吉原 重光, 佐藤 靖夫, 神崎 仁
    1992 年 35 巻 3 号 p. 211-222
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    一企業 (第3次産業) で1990年に行われた選別聴力検査 (総受検者数1,697名) の結果を分析し, 以下の結果を得た。 1) 全従業員に対する選別聴力検査受検率は約90%であつた。 2) 有所見率は10.1%であつた。 3) 有所見者の85.5%に標準純音聴力検査を施行し得た。 4) 有所見率は加齢と共に高くなる傾向が認められた。 5) 選別聴力検査の精度は1kHzでは89.1%, 4kHzでは82.0%であつた。 6) 有所見耳の難聴の種類は感音難聴が最多であつた。 7) 有所見耳の聴力型は高音漸傾型が最多であつた。 8) 有所見耳の最終診断名を検討すると正常は18.4%のみであり, 残りの81.6%では何らかの耳疾患が認められた。 このうち約1/3で原因が明らかとなつた。 9) 有所見耳に占める外科的治療適応耳の頻度は6.1%であった。 10) 老人性難聴が選別聴力検査で所見ありと判定される頻度は40・50歳代男性では17-25%と推定された。
  • 苅安 誠, 奥村 まみ子
    1992 年 35 巻 3 号 p. 223-227
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    老人施設における65-100歳の高齢者219名について簡易聴力検査と質問法によって難聴の実態を調査した。 この結果, 約半数は主に痴呆のために検査不能であった。 難聴の程度は, 軽度63名, 中等度33名, 重度と正常各5名であった。 聴力型は主に高音漸傾型で, 加齢による難聴と考えられる。 また, 難聴の自覚は低く, 介護者の認識はさらに低かった。 域値上昇と明瞭度低下の自覚があったが, 補聴器の装用は2名のみであった。
  • 田口 喜一郎, 青木 記美恵, 梅垣 油里
    1992 年 35 巻 3 号 p. 228-232
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    身体障害者福祉法の定めるところにより身体障害者手帳を交付された者は, 数々の利益を受けることができる。 しかし, 同法の意義は更生医療と更生への援助であり, 同法15条指定医は正確な聴力検査に基づく等級判定を行う義務がある。 難聴を有する身体障害者が一旦手帳を手にすると, 後日障害等級の改善が確認されても手帳の返還ないし書き換えを求めることが困難となる傾向がある。 このような問題に関する実情は必ずしも解明されているとは限らない。 筆者は県から補装具装用判定の委嘱を受け, 聴力障害者の聴力を再検する機会に恵まれているので, 手帳を所有している障害者の聴力を精検し, 初回検査との関係を調べ, 問題点の解明を試みた。 結果として, 特に高齢者の聴力検査に問題点があることを強調した。
  • 山川 卓也, 芳川 洋, 浪越 里香子, 金 永順, 市川 銀一郎
    1992 年 35 巻 3 号 p. 233-239
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    現在まで社会問題としての聴覚医学は工場騒音やダイバーなどの気圧変化による職業性難聴が論じられてきた。 しかし近年, 趣味としてのダイビングやディスコ, ヘッドホーンによる難聴が話題になっている。 今回我々はスポーツ選手における聴力レベルについて調査を行ったので若干の文献的考察を加えて報告する。
    対象は順天堂大学体育学部学生である。 その水準は全日本クラスであり, 競技に勝つことを目標とし, スポーツ医学を取入れ, 機能向上, 体力増進, 生活管理まで計っている。
    内訳は主力選手を中心とした陸上競技部員 (短距離, 中距離) 21名, 野球部員22名, 水泳部員22名, 剣道部員25名の計90名である。
    対象90名中38名に聴力域値の上昇が見られ, 陸上, 野球部は高音域, 水泳部は低音域, 剣道部は全周波数に認められた。
  • 松村 高洋
    1992 年 35 巻 3 号 p. 240-245
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    剣道の練習を永年続けている集団において難聴の発生率が高いか否かの調査を行った。 調査は主に中学生・高校生・大学生・社会人の剣道部部員に対するアンケート調査と純音聴力検査を, さらに協力を得られたものに対しては自記オージオメトリー及び蝸電図検査を行った。 その結果この集団においては主にC5-dip型を含む高音障害型の難聴者が多くその程度は剣道の経験年数によることが判明した。 またその原因として面を受けたときの音響の可能性があることも判明した。
  • 沖津 卓二, 吉田 真次, 三好 京子, 堀 富美子, 佐藤 直子, 中山 和彦
    1992 年 35 巻 3 号 p. 246-252
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    小学校学童の難聴の実態の推移について, 仙台市における20年間 (昭和43-昭和62年度) の検診結果にもとづいて検討した。
    1) 難聴者の発見率は昭和47年度の1.94%をピークに急激に減少し, 昭和60年度には0.6%台に減少し, その後0.7%台で推移していた。
    2) 難聴者は伝音難聴, 感音難聴ともに男子に多く, 全体としての男女比はおおよそ6:4であった。
    3) 感音難聴の減少がかなり緩やかであるのに対して, 伝音難聴は昭和47年度の1.26%から急激に減少していた。 両難聴の発見率の差は縮小し両者は59年度以降は0.3-0.4%台で推移していた。
    4) 滲出性中耳炎による難聴者は昭和47年度までは0.85%と急激に増加し, その後は59年度の0.2%前後まで漸減していた。
    5) 慢性中耳炎による難聴は昭和40年代の0.1%台から徐々に減少を始め, 60年代には0.02%台に大幅に減少していた。
  • 村井 和夫, 樋口 明文, 小原 能和, 小野寺 耕, 浅野 義一, 立木 孝, 村川 康子
    1992 年 35 巻 3 号 p. 253-264
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    急激に発症する感音難聴には強大な音響曝露後に見られるように, 原因の推定されるものの他に原因が明らかでない突発性難聴がある。
    今回, 音楽聴取後に聴覚の異常を訴えて受診したいわゆるコンサート難聴症例の聴覚障害の臨床像を検討し, コンサート以外の音響によって起こった急性感音難聴および原因不明急性感音難聴, いわゆる突発性難聴と主にその治療成績について比較検討した。
    その結果, コンサート難聴の予後は良好であったが, コンサート以外の音響の曝露によって見られた急性感音難聴の予後はいずれも突発性難聴より低値であり, 音響が原因で発症した急性感音難聴は, 突発性難聴と比較してより早期に治療を行う必要があると考えられた。
  • 江渡 篤子, 芳川 洋, 桜井 淳, 山川 卓也, 市川 銀一郎
    1992 年 35 巻 3 号 p. 265-275
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    聴力正常と判定された生後1ヵ月より5歳までの乳幼児177耳を対象にそのABRを検討した結果, 緩徐波成分は二峰性を示すことが多く, それらの速波緩徐波成分ではII波の後ろに大きな陰性成分 “NII” を認めた。 生後3日の男児におけるABRのパワースペクトルとデジタルフィルタによる解析により, “NII” の構成周波数帯域はおよそ400-700Hzにあると推測された。 各波振幅動態の検討では, I-V波は加齢に伴って振幅の増大を認めたが, “NII” においては減少を認めた。 経時的にABRを施行した5例につきII波振幅を1とした時の “NII” の振幅比を検討したところ, 加齢に伴いその減少を認めた。 “NII” の加齢変化は, 乳幼児聴覚伝導路の発達及びその前後の波の起源から推測するに, 蝸牛神経核より上オリーブ核の間, 特に腹側核, 背側核あたりの成熟過程に関与しているものと考えた。
  • 前田 知佳子, 小寺 一興, 長井 今日子, 三浦 雅美, 矢部 進
    1992 年 35 巻 3 号 p. 276-282
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    CD (TY-89) の57語表と, 57Sテープについて, 校正用純音と検査語音との関係を求めた。 検査語音のVUメータ相当レベルは, 校正用純音に対して, TY-89では10.2dB小さく, 57Sテープでは2.1dB大きかった。 検査語音のVUメータ相当レベルに比べたTY-89の語音の最大振幅は13.1dB高く, 57Sテープでは5.0dB高かった。
    ついで, 正常者8例の雑音下の明瞭度をTY-89と57Sテープで, SN比を一致させて検討した。 全体明瞭度および無声子音, 有声子音, 半母音の明瞭度は, TY-89の結果は57Sテープより良好な傾向があった。 鼻音については, TY-89の結果は57Sテープより悪い傾向があった。
    CD (TY-89) の57語表を雑音下の明瞭度検査に用いる際には, 本研究結果を考慮すべきである。
  • 小形 章, 大内 利昭, 井上 貴博, 増野 博康, 吉原 重光, 佐藤 靖夫, 井上 泰宏, 神崎 仁
    1992 年 35 巻 3 号 p. 283-289
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    5周波数平均気導聴力レベルが80dB以上の一側性高度難聴聴神経腫瘍15症例の術前の誘発耳音響放射 (e-OAE) と岬角電気刺激検査 (PST) の結果を分析し以下の結果を得た。 1) e-OAE見かけの閾値両耳差の平均値は1.0kHz; 16.0dB, 2.0kHz: 8.0dBであった。 2) PST陽性率は40.0%, 平均PST scoreは0.93であった。 3) 1.0kHz, 2.0kHzのいずれかの周波数でe-OAE見かけの閾値に10dB以上の両耳差を認めた症例を内耳障害ありと判定し, これとPSTの結果を組み合わせることによりその聴覚障害の病態を推定すると, 内耳障害: 33.3%, 後迷路障害: 13.3%, 内耳・後迷路混合性障害: 46.7%という結果が得られた。 4) e-OAEとPSTを組み合わせることにより, これまでその聴覚障害の病態が不明であった高度難聴聴神経腫瘍の個々の症例の聴覚障害の病態を解明できる可能性があると考えられた。
  • 飯田 悦子, 加我 君孝, 都筑 俊寛
    1992 年 35 巻 3 号 p. 290-296
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    内耳奇形を伴う難聴児, 8症例を聴覚医学的側面, 言語発達と聴能言語訓練について検討したので報告する。 8症例は 「音声言語を有している群」 と 「音声言語をまだ有していない群」 とに分け, 比較した。 「音声言語を有している群」 は, 蝸牛の骨迷路は残存しており, 内耳奇形の程度も比較的軽度である。 聴力は60dB-80dBと比較的良好, かつ, 精神発達も軽い遅れから正常範囲であった。 一方, 「音声言語をまだ有していない群」 は重篤な精神発達遅滞を合併しているか, あるいは, 難聴の程度が極めて高度であるかであった。 また, 8症例すべてに合併奇形を認めた。 聴能言語訓練の方略としては, 内耳奇形の程度が重篤で, 聴力レベルが高度のものは, 身振り言語や文字など視覚的インプットを併用した訓練が望まれる。 さらに, 合併奇形の頻度が高いため, 1例1例ハンディキャップを考慮した訓練が必要である。
  • 古橋 靖夫, 草刈 潤
    1992 年 35 巻 3 号 p. 297-302
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    モルモットの内耳血流供給に関する解剖学的検討を行い, 効率のよい内耳の一過性アノキシア作製実験を考案した。 体重250-350gのモルモットの頭蓋底を腹側より開放後血管走行を観察し, その後頭蓋骨を摘出して内耳道入口部の位置を調べた。 その結果迷路動脈が脳底動脈より分岐する位置は内耳道入口部よりやや頭側にあることがわかった。 またこの体重の範囲内では頭蓋骨内の内耳道入口部の位置はほぼ同じところにあることがわかった。 これらの結果を参考にして内耳道入口部で迷路動脈を圧迫して内耳の一過性アノキシアを作製した。 蝸牛血流はレーザードップラー法で測定したが, アノキシアを確認するには大変有用であった。
  • 大和田 健次郎, 中西 靖子, 粕谷 由美
    1992 年 35 巻 3 号 p. 303-306
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    静かな補聴器を目的として伸長 (expantion) 回路を組入れた箱形補聴器を作り, 語音検査を行うと共に, 使用補聴器と装用感の違いを述べた。
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