AUDIOLOGY JAPAN
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35 巻 , 6 号
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  • 暁 清文, 平田 義成
    1992 年 35 巻 6 号 p. 627-631
    発行日: 1992/12/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    生体内に埋め込み可能なマイクロホンを検討する目的で, 段階的鼓室形成術の第二回目手術時に, 鼓室内に一時的に試作マイクロホンを挿入し, その周波数応答や感度について検討した。 その結果, 外耳道音圧を基準とした時の鼓室音圧は, 5.5kHzまでの帯域で20-30dB程度低く, 高音域ではさらに低かった。 鼓室に埋め込む方式は, 1) 生体反応を受けて音響特性が変化する可能性がある, 2) 外耳道皮下への埋め込みと比べ感度が低い, 3) 鼓室内の生体雑音を拾う, 4) 埋め込む空間が狭い, といった問題点がある。 しかし, 外部へ露出しにくい, 外耳に触れても大きな音がしない, といった長所もあり, 全植込型の人工中耳や人工内耳を設計する際には考慮すべき方式と考える。
  • 米本 正明, 堀越 秀典, 太田 豊, 谷野 徹, 内藤 丈士, 小田 恂
    1992 年 35 巻 6 号 p. 632-634
    発行日: 1992/12/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ある醸造工場の従業員1346名に対し, 平成2年度施行した選別聴力検査につき検討したところ, 約24.1%に当たる325名に 「所見あり」 という検査結果が認められた。 現在, 精密聴力検査を順次施行中であるが, 従来からいわれているように, 高音障害型感音難聴が多くみられ, また, 難聴発症と関係があると推定される高い騒音レベルが, この醸造会社を構成している12の工場のうちのいくつかの工場で測定された。 有所見者の騒音下作業年数はおよそ30年前後が多かった。
  • 小島 正, 渡部 香, 竹沢 裕之, 児玉 広幸, 浜本 誠, 形浦 昭克
    1992 年 35 巻 6 号 p. 635-644
    発行日: 1992/12/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    障害児 (主として脳性麻痺児と精神運動発達遅滞児) の聴力を判定するために, 聴性誘発反応 (ERA) とCOR, BOAを測定し比較検討した。 対象55例を, I群COR成功群, II群CORがBOA相当となった群, III群COR不成功でBOAのみを施行した群に分類した。 I群-II群間およびI群-III群間に, 年齢構成で差が認められたが, 疾患に差異はなかった。 III群でやや重度な例が多かった。 I群では, COR閾値はややERA閾値修正値より高いが, 両者はよい相関を示した。 II群では, COR閾値はさらにERA閾値修正値より高いが, 相関性は保たれ, BOA閾値は, ERA閾値修正値とCOR閾値より近く, よい相関を示した。 III群では, BOA値は, ERA閾値修正値と有意な相関を示さなかった。 障害児においても, BOA, CORは有用な検査であり, ERAと良い相関を示すことが多く, その聴力判定にこれらの結果は十分参考になると思われる。
  • 木村 寛, 麻生 伸, 上田 晋介, 渡辺 行雄, 水越 鉄理
    1992 年 35 巻 6 号 p. 645-651
    発行日: 1992/12/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    内リンパ水腫の病態を示す疾患に200mlのグリセオール®を30分間で静注し, 静注開始前, 点滴開始後30分, 60分後に純音聴力検査を行う200mlグリセロール静注試験を施行した。 経時的に血中グリセロール濃度, 血清浸透圧も測定し, その有用性について検討した。
    200mlグリセロール静注試験を施行した内リンパ水腫22耳のうち, 11耳 (50%) に有意の聴力改善を認めた。 200mlグリセロール静注試験と既に報告されている500mlグリセロール静注試験を共に施行した内リンパ水腫の病態を示す疾患17耳中15耳の判定結果が, 一致した。 さらに200mlグリセロール静注時と500mlのグリセロール静注時の患耳の聴力改善量には, 有意の差はなかった。 200mlグリセロール静注時の血中グリセロール濃度の点滴開始後30分値は, 同時期の500ml静注時のその濃度と有意差を認めず, 1.5g/kg相当のグリセロール経口投与群のそれより上昇していた。 血清浸透圧については, 上記の他の2法と比較して有意差を認めなかったものは, 点滴開始後30分値が経口法に比してのみであった。 悪心, 頭痛の副作用を22例のうち, 1例ずつに認めた。 200mlグリセロール静注試験は検査時間の短縮が可能であると推察された。
  • 青柳 優, 喜連 照夫, 金 慶訓, 鈴木 豊, 布施 健生, 小池 吉郎
    1992 年 35 巻 6 号 p. 652-658
    発行日: 1992/12/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    聴性定常反応の反応検出法の感度について検討することを目的として, 正常成人10名と正常幼児10名を対象として覚醒時と睡眠時に正弦波的振幅変調音による聴性定常反応 (AMFR) を検査した。 刺激音は搬送周波数1kHz, 音圧50dBnHLとし, 変調周波数を20-200Hzに変化させてAMFRを記録し, 視覚的波形判定, 位相スペクトル解析, 及びBatraの方法, 即ち反応周波数成分波形の振幅と雑音レベルを比較する方法 (spectral amplitude法) による判定結果について比較検討した。 視覚的波形判定と比較して, 位相スペクトル解析, spectral amplitude法とも明らかに感度は高かった。 又, spectral amplitude法より位相スペクトル解析の方が若干感度が良かったが, 反応検出の感度を上げるには, 位相スペクトル解析とspectral amplitude法の併用がよいと考えられた。
  • 平田 恵啓, 伊福部 達, 坂尻 正次, 松島 純一
    1992 年 35 巻 6 号 p. 659-665
    発行日: 1992/12/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    我々は, 蝸牛外刺激型人工内耳の開発を行っており, 音声情報を時系列信号に変換して蝸牛を刺激する方法を提案している。 本論文は, このような時系列信号がどのような刺激として知覚されるかを, プロモントリーテストで調べたものである。 結果から, 刺激閾値の個人差は極めて大きく, 刺激電流を35μAで感じた患者もいたが, 8名の患者については400μAでも刺激を感じなかった。 生じた感覚を大別すると2種類あり, 第一は音のような感覚であり, 第二は振動のような感覚やチクチクする痛みのような感覚であった。 このことから, 我々のプロモントリーテストでは聴神経ばかりでなく迷走神経や顔面神経も刺激されている可能性がある。 ダブルパルス列からなる時系列信号の弁別テストの結果から, 3名の患者については, ダブルパルスの時間差を僅かに変えただけでも生じる感覚に差がでた。 従って, 音声情報を時系列信号にして伝達する方法は蝸牛外刺激型人工内耳における信号処理方法の一つのアプローチといえる。
  • 大山 健二, 佐藤 利徳, 和田 仁, 高坂 知節
    1992 年 35 巻 6 号 p. 666-674
    発行日: 1992/12/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Distortion-product otoacoustic emissions (DPOAE) の測定をモルモットで行い, f2=0.5-16kHzでのdistortion-product (DP) audiogramの正常像を検討した。 さらにbullaの開放を主とする中耳環境の変化がDP audiogramに及ぼす影響を観察し, 以下の結論を得た。
    1) 正常のモルモットではbullaの操作を行わない場合にはf2=2-16kHzの広い周波数範囲にわたって, 十分なS/N比でDPOAEが検出されたが, これよりも低周波数域では検出が困難であった。
    2) DP audiogramはbullaの開放によって大きく変化し, 一般に約2kHzよりも低域ではDPOAEレベルが著明に上昇し, 2-6kHzでは逆に低下した。 この効果は可逆的なもので, middle ear analyser (MEA) による中耳動特性の測定結果から中耳共振周波数の変化によって引き起こされるものと考えられた。
    3) DPOAEの測定値は, 中耳動特性の変化によって大きな影響を受けることを認識する必要がある。
  • 工藤 多賀, 小寺 一興
    1992 年 35 巻 6 号 p. 675-682
    発行日: 1992/12/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    中等度感音性難聴者を対象に, カナルシミュレータの検査に基づきカスタムカナル型補聴器を作製した。 そのあと, 適合するまで調整や再作製を行った。 最終的に適合した補聴器の音響特性と, カナルシミュレータによる検査で難聴者が選択した特性および閾値法で算出した特性を比較検討して以下の結果をえた。 (1) カスタムカナル型補聴器の適合において, 水平型と高音漸傾型および平均聴力が60dB以上の難聴群の周波数特性は閾値から算出してよいと考えられる。 (2) 低音障害型や高音急墜型の難聴者においては, カナルシミュレータによる検査で特性を選択するのがよいが, 加えて, 音質調整器を設置する必要がある。 (3) 最大出力音圧レベルは, カナルシミュレータの環境騒音による検査でその値を設定することが望ましい。 (4) 聴力レベルが多様な難聴者の検査に対応するために, 利得, 最大出力音圧レベルなどが広範囲に調節できるカナルシミュレータが必要である。
  • 松村 高洋, 宮崎 誠, 中田 孝重, 平野 康文, 坂口 寛, 塚崎 尚紀, 隈上 秀伯
    1992 年 35 巻 6 号 p. 683-689
    発行日: 1992/12/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    過去10年間に長崎大学耳鼻咽喉科を受診し, 蝸電図あるいは聴性脳幹反応Auditory Brainstem Response (ABR) を施行して詐聴と診断し得た82名について検討を行った。 昭和54-58年の前期5年間と昭和59-63年の後期5年間を比較すると, 症例数は約2倍, 当科にて蝸電図またはABRを行った全症例に対する比も約1.5倍と増加しており, 70歳以上の高齢者症例も増加していた。
  • 奥野 秀次, 小松崎 篤
    1992 年 35 巻 6 号 p. 690-694
    発行日: 1992/12/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    骨導蝸電図を用いて, 同側及び対側刺激によるAP (聴神経複合活動電位) の動態を観察し, その差異を検討した。 その結果, 正常耳では対側刺激によるAPと同側刺激のAPとの比較で, 閾値・潜時・振幅が基本的に対側刺激で低下する形で定量的な差を示すことが認められた。 この結果は, 主として, 対側刺激の伝達時間の遅れと刺激量の減衰, それと, 大きい音圧時の気導音によると考えた。 伝音障害耳における検討においてはさらに, 波形の歪みや雑音の増加, 外耳道内音波の左右差や位相差, 気導音の影響の問題等を考察する必要があると思われた。
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