AUDIOLOGY JAPAN
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36 巻 , 3 号
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  • 船井 洋光, 林田 哲郎, 北原 伸郎
    1993 年 36 巻 3 号 p. 155-163
    発行日: 1993/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    蝸牛神経または下部脳幹障害とABR診断された50症例 (51病巣) について, 各症例の波形パターン, 反応域値, 波間潜時, 潜時音圧曲線, 左右差などを分析した。 そして特に, 聴神経腫瘍を他の下部脳幹障害例から分離診断できるか否かを中心に検討した。
    患側波形パターンでは, 各疾患に特有な所見は観察されなかった。 純音聴力レベルとABR域値との関係, 潜時音圧曲線, 波間潜時, 左右潜時差にも聴神経腫瘍を他の疾患から判別するにたる特徴的所見は観察されなかった。
    ABRは蝸牛神経, 下部脳幹疾患にたいして高い陽性率を示し, 臨床上極めて有用な検査法であるが, ABR検査といえども万能ではない。 本研究の結果から, 蝸牛神経または下部脳幹障害とABR診断された例において, さらに詳細な鑑別診断は困難であることが示された。 一つの検査のみに頼ることなくその他の自覚的, 他覚的検査結果を総合して診断をすすめる必要があろう。
  • 木村 裕, 寺山 善博, 獅山 富美子, 太田 豊, 佐々木 智, 内藤 丈士, 小田 恂, 佐藤 直美
    1993 年 36 巻 3 号 p. 164-167
    発行日: 1993/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    小学校健診で, ティンパノメトリー, 音叉聴力検査 (Weber法) を用い, ティンパノグラムA型以外の症例に対して精密聴検を施行した。 治療勧告を出すにあたって, 問題となるのはティンパノグラムC1, C2型を示すような滲出性中耳炎の症例であると思われた。 今回の結果をみると, 鼓膜所見を十分に把握することがやはり必要かつ重要であり, 拡大耳鏡の利用は有効であった。 ティンパノメトリーも診断のひとつの手段として非常に有効と考えられた。 しかし, 健診未施行の学校も多く, 施行している学校でも耳鼻咽喉科医の不足から, 一人にかけられる時間はごくわずかという現状, また, ティンパノメトリーは医療保険法に規定されている検査法であり, 検査の施行および結果の判定を誰がするかなどの点で, その導入には十分な検討が必要と思われる。 音叉聴力検査は学校健診のスクリーニング検査とするには, 検査法の説明のしかた, どの周波数の音叉を用いるかなど十分な検討が必要である。
  • 辻 純, 榊原 淳二, 高木 明, 本庄 巖
    1993 年 36 巻 3 号 p. 168-174
    発行日: 1993/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    内耳はactive processの存在で非線形な入出力系になっているため, f1, f2の二つの音が入った時は, 入力音に加えていくつかの周波数成分が歪成分 (distortion product) として発生し得る。 ヒト聴覚系では, これらの歪成分のなかの2f1-f2が蝸牛基底膜上に発生し, 音として聴取できるだけでなく, 歪成分耳音響放射 (distortion product otoacoustic emissions: DP-OAE) として外耳道に放出される。 正常者及び感音性難聴者20名39耳において, DP-OAEを4kHz近傍で測定した。 その結果4kHz近傍DP-OAEば4kHzでの純音聴力と相関し, クリック刺激e-OAEで検索しにくい高周波数領域の内耳機能検査として臨床応用が期待された。 耳鳴の有る群と無い群では, DP-OAEのエネルギーに有意な差は見られなかったが, 耳鳴群ではばらつきが大きく, 耳鳴を来す内耳病変の多様性が示唆された。
  • 江原 義郎, 市川 銀一郎, 芳川 洋
    1993 年 36 巻 3 号 p. 175-181
    発行日: 1993/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    聴性脳幹反応 (ABR) の瞬時スペクトル (時変型スペクトル) 分析を行った。 従来のスペクトル (時不変型スペクトル) 分析はABRの特徴を周波数のみの関数として捉えていくものであり, 時間 (潜時) という情報は全く含まれていない。 一方, 時変型スペクトルは, ABRを潜時と周波数の関数として表わす手法であり, 従来不明であったABRの構成周波数と各反応成分との関係を明らかにすることが可能となった。 正常ABRの時変型スペクトルでは, 主たる構成周波数は200-300Hz, 400-550Hz, 800-1000Hzの帯域であり, その時間変動は次のようであった。 (1) スペクトルピークはABR各成分の潜時付近に存在した (特にスペクトルの値がレベル60以上で顕著)。 (2) 800-1000Hz帯域成分のエネルギーは, I-III波の潜時に集中していた。 (3) 550Hz以下の2帯域では相対的にエネルギーがより遅い潜時まで減衰せず, 特に200-300Hz帯域は波形全体に関与した成分と思われた。
  • 松島 純一, 藤村 裕, 林 光夫, 永橋 立望, 酒井 昇, 犬山 征夫, 栗城 真也, 伊福部 達
    1993 年 36 巻 3 号 p. 182-190
    発行日: 1993/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    岬角電気刺激を行なった10名の耳鳴患者に対し聴性誘発脳磁界測定行ない以下のことが明らかとなった。
    片側性耳鳴患者では, 岬角電気刺激により耳鳴が一過性に消失し, 自覚的に改善した場合は, 聴性誘発脳磁界が改善した。 この時, 特に潜時200msに現れるP2mといわれる大脳聴覚野における反応が潜時100msに現れるN1m反応より著明に良くなった。 しかし, 耳鳴が消失しない例では変化はみられなかった。
    両側性耳鳴患者では, 片側性耳鳴患者と異なり, 片側だけの岬角電気刺激により刺激側の耳鳴が消失した場合でも, 聴性誘発脳磁界の改善はみられなかった。
    両側性耳鳴患者, 片側性耳鳴患者共にP2mとN1mの振幅比は0.5より大きかった。
  • 宇野 彰
    1993 年 36 巻 3 号 p. 191-201
    発行日: 1993/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    覚醒ネコの頭頂部中間潜時反応 (MLR) と左右の聴皮質から誘導した聴皮質誘発電位 (EP) の同時記録を行った。 両側下丘や聴皮質の破壊実験前, 聴皮質誘発電位では, 聴皮質の成分と考えられるP1の潜時は, 聴性脳幹反応 (ABR) の直後に出現するMLRの陰性ピーク (NA) の潜時に近似していた。 両側下丘破壊後, ABRでは5波と5波以降のABR成分の振幅が減少した。 MLRではNAの潜時が有意に短縮し, 振幅が有意に減少した。 聴皮質誘発電位のP1, P2の振幅は破壊前に比べ60%以下に減少した。 NAとP1の振幅の減少は, 有意に高い相関係数を示した。 両側聴皮質破壊後, NAの振幅が有意に減少した。 両側聴皮質と下丘双方の破壊後, ABRでは5波と5波以降のABR成分の振幅が減少した。 MLRではNAの潜時が短縮し, 振幅が破壊前に比べ約40%に減少した。 以上から, NAは聴皮質が起源であり, 破壊実験後も保たれていたMLR波形は非特異的聴覚伝導路に由来していると考えられた。
  • 大内 利昭, 増野 博康, 小形 章, 井上 泰宏, 吉原 重光, 佐藤 靖夫, 鄭 雅麗, 神崎 仁, 佐藤 彰芳
    1993 年 36 巻 3 号 p. 202-208
    発行日: 1993/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    耳鳴を有する一側性聴神経腫瘍 (AN) 41例を対象として, 耳鳴の自発的擬声語表現とピッチ・マッチ検査成績を分析して以下の結果を得た。 1) 使用された自発的擬声語の種類数は計16種類であった。 2) 16種類の自発的擬声語の使用頻度及び使用頻度順位を検討すると, 無難聴性耳鳴耳や内耳性難聴に伴う耳鳴耳における最多使用擬声語であるキーンの使用頻度が低下していた。 3) 耳鳴同定音の相対頻度を検討すると, 無難聴性耳鳴耳や内耳性難聴に伴う耳鳴耳のそれと比較して, 純音の頻度が低下し, バンドノイズ, ホワイトノイズの頻度が上昇していた。 4) 自発的擬声語と耳鳴同定音との関係を検討すると, 無難聴性耳鳴耳や内耳性難聴に伴う耳鳴耳と比較して, 純音性擬声語の頻度が低下し, 雑音性擬声語, 純音・雑音性擬声語の頻度が上昇していた。 5) ANでは, 雑音性耳鳴の頻度が比較的高く, その原因として, 内耳・後迷路障害の混在による複雑な病態が関係していると考えられた。
  • 増野 博康, 大内 利昭, 小形 章, 井上 泰宏, 鄭 雅麗, 佐藤 靖夫, 吉原 重光, 神崎 仁
    1993 年 36 巻 3 号 p. 209-216
    発行日: 1993/06/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    耳鳴の音色の純音・雑音性に関する直接的自覚的表現と自覚的ピッチ感が6ヵ月以上の長期間不変であった, 聴力の固定した内耳性難聴に伴う耳鳴症例43例57耳鳴耳を対象として, 3回の検査の耳鳴自発的擬声語, ピッチ・マッチ検査成績を比較検討し, その長期再現性につき分析を行って以下の結果を得た。 1) いずれの2回の検査の組み合わせでも自発的擬声語の一致率は87%以上であった。 2) いずれの2回の検査の組み合わせでも耳鳴同定音の一致率は90%以上であった。 3) いずれの2回の検査の組み合わせでも耳鳴周波数の一致率は, 自発的擬声語, 耳鳴同定音のそれと比較し, やや低下していた。 しかし耳鳴周波数不一致例における2回の検査の耳鳴周波数のずれは全て1オクターブ以内であった。 4) 以上の検討結果より, 自発的擬声語及び耳鳴同定音の長期再現性は良好であるが, 耳鳴周波数はその20-30%で1オクターブ以内の変動を示し得ると結論した。
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